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2023年11月25日の夢 蝶のお姫様を捕まえる

 夢のなかで、大きな白い蝶が部屋に舞い込んできた。
 白い薄紙を十三夜の月の形に切ったような翅の全面に、金色の線で繊細な虎斑模様が入っている。大きさはアゲハ蝶とそう変わらないくらいだが、翅の面積が広いため、もっと大きいように見える。
 これは、蝶のお姫様と称される珍しい蝶だ。光の加減によってはほとんど白一色にしか見えず、派手でこそないものの、この大きさならではの存在感があり、そこのところがお姫様なのだろうか。
 この蝶は飛ぶのはあまりうまくないらしい。部屋に入り込んだのも風に流されてのことらしいし、そのまま天井に張り付いてもたもたしているところを、メダカをすくう用の小さな網であっさり捕まえてしまった。
 網の上から手に取ると、意外にも力強く羽ばたこうとする。向こうが透けるほど薄い翅にも、パラフィン紙のようなしっかりとした質感がある。見た目どおりの儚い生き物ではないようだ。
 さて、それなら元気なうちに外へ逃がそうか。そう思って振り向くと、おもむろに横から男が口を出した。
 「よく捕まえた。さっそく駆除しよう」
この男は蝶の王子様だという。そのくせ、とんでもないことをいうヤツだ。

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