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2023年5月2日の夢 急に風呂場に変わる部屋と頼りになる先輩方

 夢のなかで、サークルの懇親会だか親善旅行だかで、旅館だか料理屋だかに来ている。床の間や欄間の凝ったつくりに往時の繁盛がしのばれる、しかし今や長年の埃がぬぐい切れないほどに降り積もった和室の畳の上で、高齢の先輩方とくつろいでいた。そこに、緊急地震速報が鳴り響いた。
 これは大変、津波が来る前に高台に避難しなくては。この古びた木造の料理屋はいかにも心もとない。隣の古ビルはまだマシではないか、あっちに避難タワーもあったが間に合うだろうか。手早く身支度をして、荷物をまとめて、慌ただしいなかでも先輩方はいつもどおり冷静で頼もしい。
 ところが、いっこうに揺れがこない。先に外に出ていた人たちが、戸惑ったようにざわめいている。どうも誤報だったのではないか、テレビでもラジオでもなにも言っていない、そんな声が聞こえてくる。緊張が緩みはじめた。
 とはいえ、念のためすぐに逃げられるようにしておいたほうが安心だ。靴下を履こうと手に取ると、なぜか急に部屋が風呂場に変わった。奥にある大浴槽から湯気がもうもうと立ちのぼるなか、タイル張りの洗い場に並んだ椅子に腰掛け、靴下を履こうとしている。こんなに水浸しのなかでは履きにくくて仕方がない。
 隣に最近サークルに入ったばかりの若い人がいて、どうしたらいいでしょうかねぇなどとうろたえている。落ち着いて、まずは風呂場から出よう。
 先輩方はもうすっかり普段どおりで、楽しそうにおしゃべりをしながら身支度をしている。笑い声も出る。それでいて手際は良く、てきぱきと荷物を抱えると、私たちよりも先に外へ出ていった。
 夢のなかの私は、先輩方はさすがだなぁと感心している。その先輩方のあとを追って、私たちも狭くて急な木の階段を降りる。しかし、この夢はどうにも収拾がつきそうもないな。そう考えながら目がさめた。

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