【月寿】過去、現在。

🖋300字小説🖋
【越知月光×毛利寿三郎】
「過去、現在。」

初めて毛利と出会ったのは試合をした時だった。
完膚なきまでに叩きのめした自覚はある。
けれど次に合宿所で出会った時、毛利はへらりと笑って言った。
「おかげで目ぇ覚めましたわ。ありがとうございました」
「そうか。それは良かった」
「これから俺もここでお世話になるんでよろしゅう頼んます」
笑顔なのに目だけは笑っていない。
いつか俺を倒すつもりだということはよく分かった。
「あぁ。よろしく」
あの頃のことを思い出す。
まさか今ダブルスを組んでいて、しかも恋人になっているとは思わなかったけれど。
「月光さーん!」
名前を呼ばれて振り返る。
今ではもう──これが日常。

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