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活動日記 2023/08/21-奥多摩合宿

 今期2度目の奥多摩合宿。前半はラットの解剖、山口旅行と予定が重なってしまったため、不運なことにも3日しかいることが出来なかった。でも、そんなことを聞いて落ち込んでいたとき、一つ新たな情報が舞い込んできた。
 合宿開催に十分な人数が集まるのなら、第2次合宿というものをやるという。これ以降は「後半合宿」としよう。この後半合宿は、8月21日から27日まで。予定だけは昔から存在していたものの、盆明けということで参加者が少なく今まで開催されたことはなかったという。
 それゆえこれまでは「品川カヌー教室」、「奥多摩カヌー合宿」などの様々な企画で穴埋めされてきた。けれども最近、これらの企画はコロナの影響で急速に下火になってきていた。
 さて。話は逸れるが昨年夏。僕はこの「カヌー合宿」に応募した。この年は8月上旬の学習合宿には5日間参加した。この年は中学数学を主に進めたが、一次方程式、一次関数、二次方程式、二次関数とこれらxyを使う立式にさんざん悩まされた挙げ句時間の大部分を吸われ、目標としていた中学数学修了はついに叶わず帰宅した。だが、そこから帰ってしばらくは合宿にて体に染みついた感覚が抜けずに苦労をした。
 この時既に、夏休みにやるつもりであった課題はその大部分を終わらせていた。ほぼ唯一残った課題は自由研究のみ。しかしこれは、未だ方法が確定していなかった。実施が可能になったのは、少し前に書いたとおり夏休み終了の2,3日前。結局星を見ることは出来ずに終わるという悲惨な結末に終わった。
 さて、この時既に僕は上記のように予定をほぼ達成。8月下旬の24日ごろの予定がなくなっていた。そこで、合宿へ行く前の7月下旬。多摩川で例年開催されるという水上教室への参加を決めた。2泊3日のカヌー合宿だという。
 さて、期待して待っていたのだがたしか学習合宿中だったか。カヌー教室運営スタッフのハラッパラッパに意外なことを告げられた。カヌー教室に複数のキャンセルが相次ぎ、ついに参加者の些少につき2泊3日の予定を取りやめて日帰りのコースにしたという。
 けれども、僕は慌てなかった。奥多摩焚き火の会にて当時まだそれほど関係のなかった龍角散にばったり遭遇し、その会話の中で彼がカヌー合宿に参加予定であると口に出していたからだ。大丈夫。彼曰く他にも何人か来る。1人ではない問題ない。そう思っていた。
 当日。ハラッパラッパの送迎の車に乗り込んで現地へ向かったのだが、車中にて衝撃的なことを聞かされた。
「参加者?ああ、お前だけだよ」
 なんということだ。龍角散のあれは全て「fake」だったのか。いや、まさか。あいつはそこまで嘘をつくような奴ではない。まさかあいつまでキャンセルしたのか……
 カヌーはとても楽しかったが、唯一残念だったのが合宿ではなくなってしまったことだった。元来僕は放置されてしまうと無意識のうちに本を取り出してしまう。それがないよう本の数を制限して何日も何日も学習するために合宿に挑みたかったのだ。
 そんなわけで、後半合宿を開催すると決まったとき僕はすぐさま応募した。そうして参加が決まって有頂天になっているとき、とある情報がフリースクールメンバーの中で密かに伝達されていた。
「今年の夏、試みに1泊2日で旅行に行くらしいぜ」
「8月に、山奥の山荘に泊まってくるらしいよ」
密かに龍角散やΧαοσからそういった情報を伝え聞いた。気になってイマンモにある日訪ねてみると、なんとこれは本当のことで既に開催期間は決まったという。聞いてみると、「8月の24日だ」と……
 その期間は、丁度僕の合宿期間と被ってしまう。途中早退してまた復帰してみるか?いや、駄目だ。そんなことをしたならば、たった7日しかない合宿期間中3日も無駄にしてしまう。結局その旅行には、不参加となった。
 参加していないとわかっているメンバーも、幾人かいる。彼らも同じだからと自分を慰めようとしたが、よくよく考えてみれば不参加がわかっているメンバーは2人。そのうちの1人はベトナムにいる京秋で、もう1人は今ロンドンにいるのだから、比較対象にすらならない。彼らは参加できないとはっきり明言できるのだが、僕は。
 僕がいる位置は奥多摩。一応、東京都だ。皆と同じ東京都。その気になれば約2時間で皆と合流することは出来る。それなのに、行くことが出来ない。理不尽だ。
 こうなっては期待できるのは、応募人数の減少による奥多摩合宿開催中止。けれども期待したとおりにはならず。合宿の開催が決まり、フリースクール旅行への不参加が決まった。
 そうして迎えた当日。予め事前情報として来るメンバーを何人かは知っていたものの、その直前になって参加を決めた者が多数いるらしく未だ全体像はわからない。そうして電車に揺られていると、ふと気がついた。目の前にいる人物。あれはよくよく見れば知り合いだ。前半合宿にも参加した「無敵」である。じっと見つめていると彼がふとこちらを向いた。けれども気がつかないのか、また窓の外を眺め出す。
 駅に到着して降りると、初めて彼が驚いたかのようにこちらを見た。しばらく待って送迎の車が来ると、僕と「無敵」だけではなく車内で僕の向かいの席に座っていた少年が進み出る。見たことがない顔だ。初参加か。
 プチ合宿にはほぼ毎回来ているが、彼のような人物を見たことがない。基本この合宿はプチ合宿参加を前提としている。初参加で合宿に来る予定を立てたものの大半は、途中体調不良を理由に引き返すか、合宿の10時間学習という事に耐えきることが出来ず2度と来なくなるかのどちらかだ。他に、トラウマ級の体験をしてこなくなることもある。
 かくいう僕もその1人だ。初参加の際、河原での投石によって瞼に裂傷を負い、病院に運ばれた経験がある。それ以来しばらく、コロナの影響もあるが合宿参加をしなくなった。再び来たのは中学生になってからである。
 そんな事を思い返しながら、珊瑚荘へと到着した。今度こそはいつでも学習に取りかかれるように準備をして戦々恐々としていたのだが、まず最初のオリエンテーションが始まらない。それは、何故か。人が来ないのである。この時点での参加予定者は6人。
 中学生の僕と小学生の「無敵」、初参加のメロン大好き人間こと仮称「メロン」君。高校生で「内藤とうがらし」のTシャツを着ていることから付いたあだ名が「内藤君」。4時の段階でこれだけしか集まってきていなかった。予定では、あと2名来るはずだったのだ。内1名からはその後すぐに連絡が来たが、最後の1人。柳さんからはいつまでたっても連絡が来ない。しばらく待ってようやく連絡が付いたが、そこには「前回と同じぐらいに着きます」と。これには皆(スタッフと、前半参加者である僕と「無敵」)が頭を悩ました。
 前回と同じということは「前半と同じ」ということだろう。だが、前半では柳さんは2日目の午前8時頃に来たはずだ。ということは、到着は明日の8時か?いや、それならば今日連絡する必要はないだろう。今日の20時頃ということではないのか。
 様々な意見が交錯し、とても学習に取りかかる気が起きずに結局この日の学習時間はなかった。話し合っている間に時間が過ぎ去ってゆく。気がつけば5時になろうとしている。京都土産のぶぶ漬けに柴漬けなどを、「山口旅行の土産だ」と称して(嘘は言っていない)渡した。
 焚き火を囲み豚肉を焼いて食べた後、夕食。かますを焼いたのと茄子の揚げ浸し。シャワーを浴びて本を読んで20時になったのだが、柳さんは来なかった。やはり、明日の朝ということだろう。
 いつものように畳の上で寝たかったのだが、今年の2月に龍角散によって成されたように、「無敵」に妨害されてしまった。彼は高校生に対しては。自分よりも3歳も上の連中には何もしないのだが、それ未満の奴らには遠慮なく妨害を仕掛けてくる。
 今回被害に遭ったのは僕とメロン大好きな小学6年生。彼は可哀想なことに「無敵」に追われた挙げ句ハンモックに避難することと成り、僕は2月にやったのと同じく押し入れに立てこもった。だが、その時と違って押し入れには様々なものが置かれ、一種物置の様相を呈してくる。
 窮屈になった分、落下の確率も高まり非常に心細かった僕に対して、非情な「無敵」は再び行動に出る。窮屈そうに縮こまって寝る僕に対して消灯後度重なる砲爆撃を浴びせかけてくる。そこらにある小さめの絨毯や座布団、果ては座椅子までを投げつけ落としてくる人間凶器と化したのだ。
 だが、幸いなことに頭部、腹部の被弾は皆無。それ以外の場所にはかなり受けたものの、転落を怖れていた僕は、より重みを増して転落為る確率が減ったこと‘のみ’を喜んだ。いい加減、彼も来年には中学生となるのだから、こういったことはやめてほしい。

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