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活動日記 2024/01/27-奥多摩合宿

 この日、予想以上の人数に飽けた口を閉じることができなかった。翌日に予定が入っていたのだが、「ジビエパーティーだ」との情報が龍角散、まっつん、レイセン、χαοσなどからひっきりなしに入ってきていたため、行くことにした。
 もちろん、理由はそれだけではない。もしかすると、くいっぱぐれたヤマドリの肉が出てくるかもしれない。もしくは、季節外れでもナスが食えるかもしれない。そんなことも考えていた。
 ただし一つ心配だったのが僕の体調に関してだ。これまで参加した過去二回分のときには、共に翌日発熱した。おまけに、今日はその前回が11月であったのに対してより寒い1月。そして、よりにもよって更に数日前、皇居の池に僕は入水している。これで風邪をひかないほうがおかしいように思えた。
 でも、それがなんであろう。新しく発熱性の下着を購入し、寒さ対策も万全。着ていく服もいつもよりも多くして、なにより履いていく靴はスノーブーツ。ここまですれば、きっと風邪をひくこともないだろう。そう確信して青梅、御嶽と順調に電車を乗り継いでいく。
 そうして珊瑚荘に着いた時、同行していたχαοσたちの顔色が急激に悪くなった。予想以上に人の数が多かったのだ。
 スタッフ含めて、なんと17名。先年度が10名前後だったことを鑑みてもいっそ異常といえないこともない数だ。こんな人数の中、猪肉、シカ肉は足りるのだろうか。
 そんな心配をよそに着々と準備は進んでいるらしい。だから裏山の方へと行ってみると、驚いたことに龍角散、村長、まっつんなどどこにもいなかったメンバーが勢ぞろい。焚火を囲んで、ただただソーセージを串に刺しては焼いて、皆に配っている。もちろん僕は断固として断った。もちろん僕にはわかっている。これは、まっつんや他のみんなの策略だ。これを食べているうちに腹が膨れてきてジビエを食べることができなくなれば、めでたくその余った分を他の人がかっさらっていく。これはきっとそういう仕組みなのだろうから。
 けれども、よくよく考えてみればそんなことをいいながらパンを取り出しては食べる僕の行動も、先ほどの考えに合致していないように思われる。まあ、そんなことはどうでもいい。腹が減ったなら食べるまでよと自分を説き伏せ、黙々とパンを口に運んでは噛み千切って嚥下する。
 しばらくたって下に降りてみるとχαοσらが将棋を始めている。面白そうなのでしばらく観戦し、そのうち僕も参加しようかと新しい将棋盤を引き出そうとしていると、どうやら食事の支度ができたそうで声がかかる。作業を一時中断し食卓へと向かう。しかしながら今回、人数が多い都合上鹿肉が一人一切れしか与えられないのだという。仕方ない。焼いた鹿肉・猪肉を一切れずつ皿に取って用意されていたソース(大型ニンニク七個入)をかけ、ちびりちびりと食べ始める。そうして数分後、やっぱりもう少し猪肉が食べたいと思い机のほうを向いてみる。そこには何も、なかった。まるでイナゴのように、皆はどんどんと箸を伸ばして肉を掻っ攫っていってしまったのだ。
 しかたがない。そう思って僕やχαοσなどは傍らにある沢庵を食べて過ごすようになったのだが、これが存外に美味しいのだ。たちまち僕とχαοσとの間にて沢庵争奪戦が勃発。そして、レイセン曰く翌日の昼食まで持たせる予定だった30個以上の沢庵は、僕たちの手によってすべてが胃袋の中へと放り込まれていったのだった……
 ずいぶんと塩分を取りすぎたような気もするが、仕方がないことだと考えよう。なので少し後にはそんなこと、きれいさっぱりと忘れて将棋に熱中する。久しぶりの大人数。それも心なしかいつもよりも暖かいように感じた。本を読んだり先輩の体験談を聞いたりしながら蒲団をひき、寝袋を広げて寝る準備を整え、さっそく皆に先んじて潜り込んだ。明日は早いから今のうちに寝ておかなければ、と考える。この前もその前も、体調不良は急激な眠気とともにやってきた。十分に寝ておけば何も起こらないかもしれない。
 その翌日は、昨日の残りの鹿肉にスープ、うどんなど豪勢な食事。いつもよりも少しだけ多く食べた後、さっそく帰る支度をする。眼はばっちりと冴えている。これまでのように寝ぼけて吊革に頭をぶつけたり、電車の窓に後頭部をぶつけたりすることはないように思われた。実際このあと一日は体調を崩すことなく過ごすことに成功した。もっとも、家に帰りついてからはすぐに眠くなってしまったのだが。
 来月もまた、鹿肉が手に入ってジビエカレーだという。個人的には鹿の解体現場も見てみたい。僕はやはり血を見るのはそこまで好きではない。が、解剖合宿に参加する以上腑分けの知識は欲しい。その点、ハクビシンなどよりずっと大きい鹿や猪なら臓器の配列もしっかりと確認することができるだろう。来月も必ず参加して鹿肉を食べることに決めた。
 ※上の写真は過去のものを使っています。そのため、1月の川は決してこんなものではありません。絶対に入らないでください。

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