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ピオフィオーレの晩鐘1926 楊ルート感想

【ネタバレありです】
ニコラ→オルロック→ギルバート→オルタナ(大団円以外)→アンリ→楊
の順で進めています















ベスエン後のストーリーとはいえ相手は楊だからな…選択肢まちがったら普通に楊の手で殺されそうだな…って怯えながらプレイしてたんだけど、全然そんなことはなかった。

1926の楊、めちゃくちゃ情があるな!?!?!

ピオフィ無印楊の攻略直後にプレイしたからだろうか、とにかく前作とのギャップがすごすぎて驚きっぱなしだった。
お前だれだよ!!!!!!って十数回叫んだ気がする。

あの、ほとんどのことに興味を示さないと思っていた楊が、実は人間観察に秀でた人だったなんて意外すぎる!!
リリィのちょっとした変化に気がつき声をかけてきたり、部下をねぎらったり…
楊って細やかな気遣いのできる人だったの???
君がそんな普通の人間っぽい振るまいできるなんてびっくりだよ…
楊の変化が逆に恐くてさ、「楊がこんなにまともなわけがない」って影武者説をまじめに疑ったし、睿にご馳走を振る舞ったときは「毒を盛っているのでは…」って思ったよ。ごめんね?でも君の普段の素行が悪いのがいけないんだよ?

ラン&フェイと袁も「楊は変わった」って言っていたから、楊に人らしい感情が芽生えたのはリリィの影響なんだろうな。
少なくとも、リーは一切楊からねぎらいを受けてないと思います(断言)。

楊とリリィはまわりから見たら相思相愛のベタ惚れカップルなのに、本人たちは距離感をはかりあぐねて素直になれないのがかわいすぎましたね…
楊はリリィを手放す気がないけどそれを言葉にしないから、リリィは「楊のこと怖いな、いつか自分も捨てられるんだろうな」って思っていて「あれ??付き合ってるのに両片思いみたいだな??」って思いました。

そんな二人の距離が近づくあのシーン。

この背中合わせのスチルヤバくないですか…
素直になれないふたりの気持ちが伝わってくる!!!エモ!!!!!!

あの楊が!!謝った…だと…????
リリィの「大事なことははぐらかしてばかり。何を考えているのかわからなくてときどきすごく不安になる」って言葉に対してまごつきながらも誠実に言葉を紡ぐ楊…

お前だれだよ!!!!!!!
他人の都合なんて歯牙にもかけないあの楊が!!!思考を重ねることを嫌い本能で動くあの楊が!!!自分の行動を顧みて反省している…?????
そんな情緒もちあわせてたの????好きだが????

リリィの「楊に捨てられたら寂しい」という言葉に対し楊は「なぜあの調子でいつも甘えない?たまにはかわいげを見せろ」と言う。

リリィは楊のことが大好きだけど、近づきすぎると疎まれるから「好き」って気持ちをあまり表に出さないようにしてたんだよね。
でも楊は「楊に捨てられたら寂しい」って言われて嬉しかったみたい。もっと素直に甘えてほしい、と…

ついに…ついに!!楊がデレた!!!!!!!
って全私がスタンディングオベーションをかましました。
楊リリ!!!エモいぞ!!!!好きだ!!!!



■BAD
「誰かを守る行動は死の確率をあげるだけ」
「俺はお前のために一緒に死んではやれん」
って言ってた楊が、身を呈してリリィを守って死ぬとは…!
戦いを楽しんでる様子もないし、もはや前作の楊とは別人じゃん…
本当にどちらさま!!??

結果的に死を迎えたものの、楊は袁が育んだ獣のような本能を捨て去り、人として死んでいったんだなぁと感慨深かった。
他人の思惑に踊らされ続け、神の使徒として生き斃れたオルロックとの対比よ…

あと、テオが全然部下を御しきれてなくておもしろかった。
根回しは上手なんだろうけど、求心力がまるでない。
上司としてのふるまいを楊のもとで勉強してきてください。


■TRUE
リリィが「楊を失うことがなにより怖い」と言うのに対して、楊は「お前のすべてが俺のものだ。飽きた、と思う日が来る前に。欲しいと思い続けてる間にこの手で殺してやる」などと物騒な台詞を吐く。

…夏目漱石がI love youを「月が綺麗ですね」と訳したように、私もこの台詞を楊なりのI love you だと解釈してもいいですか??
「楊を失いたくない」の対しての回答が「お前が俺を失うことはない」なの、最高すぎる。
しかもこの台詞、「教会で誓う永遠」の代わりの約束なんでしょ?
実質プロポーズみたいなもんじゃん!!

楊がこの先ずっとこの気持ちを保っていられるかなんてわからないけど、それって普通の夫婦でもそうですからね。現時点ではこう思ってるっていう決意表明としては、 最上のものなんじゃないでしょうか。
わざわざこれを教会でいう辺り、楊もなかなか演出家よね。
リリィの気持ちに最大限寄り添おうという優しさを感じて、不覚にもじーんとしてしまった。


袁との戦いの後、重傷を負ったリリィを気遣う楊。
リリィがふせっている間、他の女に目もくれず真摯に尽くしてたんだろうなって容易に想像できて胸が熱くなった。

傷跡を見せたくない、と楊を拒むリリィに対し楊は「すべて見せろ、お前のすべてはその傷でさえも俺のものだ」と告げる。
あの、傷見たときの楊の小声の「きれいだ」ヤバくない??
「守ってくれてありがとう、大好きだよ」って解釈してもいいですか!?
「痣の消えた身体に楊のための傷が刻まれている」って文章も綺麗すぎんよ~~~!!好き~~!!

このシーンのCGコメントがまた熱くて「お前という女の代わりが他にいない。知らずにいたこと、思わずにいたものを際限なく突きつけられる。
退屈を紛らわすおもちゃだと思っていたがそうではなかったようだ。俺はただお前がほしい」
と言っていてめっちゃリリィのこと愛してるし愛されてるじゃん!!!!!!って爆萌えしました。
楊リリ!!好きだ!!!!

ここのCGコメントをみて確信したんだけど、楊はリリィと出会って初めて人に心を許す心地よさを知ったのかなと思った。
ラン&フェイのことも信頼してるだろうけど、あの二人は部下だから気を許すわけにはいかないんですよね。
リリィは楊のすべてを知った上でなお、好きだと言って慕ってくれる唯一無二の絶対的な味方。
替えが聞かない存在だってことを楊は自覚しているので、よっぽどのことがない限り自らの手でリリィを手放すことはないんじゃないかな。なんだかんだ言いながらも死を迎えるその瞬間まで一緒にいつづけるんだろうなって気がしている。


■袁と楊について
袁が楊を育てたのは「自分と戦ってくれる玩具になってほしいから」。
それを「気味が悪い」と評する楊の感覚は正常だけど「気分が悪いから殺す!」とかやってた楊に言われても説得力ねぇな…と思いました。

楊は袁のことが大嫌いだけど、 考え方とか言葉選びが袁にそっくりなんだよなあ。
人のことを玩具呼ばわりしたり戦闘を遊びと表現したり…
自由気ままに振るまう楊が無自覚に保護者の袁に似てるの、めちゃくちゃ悲しい…

楊は他のルートでは一貫して戦闘狂として描かれてるけど、あれすらも袁の思惑に乗せられた結果なのかな、思うと本当にやりきれない。
悪役として描かれることが大半な楊だけど、袁の望むままに、獣のように生きて死んでいったのかな、と思うと見方が変わるな…


■睿について

楊ルートでリーが早々にリストラされてしまったこと、最初は残念に思ってたんだよね。
他のルートでおもしろ系小悪党苦労人キャラとしていきいきしてたからさ…
でも睿くんがきてからはリーのことは綺麗さっぱり忘れ去りました。

睿くんからおもしろ系常識人苦労人キャラとしてのポテンシャルの高さを感じる!!
老鼠に新しい風が吹くぞ!!

楊と同じく袁のもとで育てられたけれども、根は至極まっとう。親元で育った期間が長かったのかな?
最初はリリィに刺々しく当たるけれども、老鼠で暮らすうちに認識を改め素直にごめんなさいしてくる。
睿くんはツンデレなの?おもしろいね。

楊のわかりづらい言動に対して「あの人言葉下手すぎません…?」と言っていて、「そうなんだよ!!わかってくれるか!!??」って握手したくなった。

睿くんには楊とラン&フェイの間で永遠に振り回されててほしい~~!!
そしてそれを「悪くないな…」って思ってそうな睿。好きです。


■楊とニコラについて

仲が悪いことでおなじみのこの二人、私は「楊は本能で生きているのに対し、ニコラは理性で生きているから反りが合わないのかな」って思ってたんだけど、1926楊ルートをプレイして「もしかしたら同族嫌悪的な気持ちもあるのかな」と思った。

このふたり、とっても似てる。
共通点をあげるとこんな感じ。

①言葉はいくらでも繕えることを知っているから、愛は行動で示す(そして言葉が足りずリリィは不安になる)

②自分の生死にあまり興味がない。むしろ死にたがっている節がある

③女慣れしているが愛を知らない

④「俺(僕)と離れるのは諦めろ」と口説いてくる

⑤リリィを焦らして自分を求めるよう仕向けてくる

こうして並べてみると、まじで恋愛スタイル似てるな…
ニコラルートのリリィは素直に好意を示すことがニコラへの愛情表現なのに対し、楊ルートのリリィは好意を隠すことが楊への愛情表現になっているのが面白いな~と思いました。
なんかプレイスタイルも似てそう。
自分がしたいことをするってより、リリィが嫌がったり恥ずかしがってる姿に愉悦を感じてそうだなーと思いました。
時代や環境が違って、例えば同じクラスのクラスメートだったりしたら案外仲良くなれたり…しないか。


以上です。
楊は誰かに想いを向けられる幸せを知り、人らしい感情が芽吹いていく過程がエモすぎましたわ…

ダンテ・ギルバートのルートが「悪の道をいく光属性の男」を描いた正道のストーリーなのに対し、楊ルートはアウトローな筋書きなのかなと思ってたんだけど、1926まで通してプレイすると楊もド王道のストーリーだったな。
美女と野獣とかトゥーランドットみたいな、冷酷な人が愛を知り自分の人生を取り戻すっていう古典的なやつ。
前作の楊ルートは2周しても「楊ってよくわからないな…」って思ったんだけど、今作の楊は人間味マシマシですごいわかりやすかった。

私は前作の何考えてるかよくわからない楊も相当好きだったので、前作で楊に落ちた人が1926の楊をどう思ったのか、すごく気になる。

全部終わった後に感想めぐりに行くのが楽しみです。

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