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子供が遊ばない公園

職場近くに、子供が一切いない
スーツを着たサラリーマン達が敷地を囲うようにして集う公園がある。

喫煙の傍ら、談笑する上司と部下らしき2人。
眉間に皺を寄せながらPCと向き合う社員。
警備員のおじさん。
会社という息の詰まるようなディストピアからの一時的な逃避行。

有り余った遊具は誰も必要としていない。

コンビニで買ったものを食べるひともお弁当を食べる人も、わざわざ職場ではなくこの場所で食べるのには何かしらの理由があるのだろう。

かつて幼い頃、
遠い夏、息をころしトンボを採った
まさにあの時のように、社外に自分の居場所や
小一時間の心の拠り所を捕まえに行く、
その為に存在する大人の為の公園なのかもしれない。

不透明な自身や仕事の未来に対するインスタントな逃避行こそが
ビジネス街における公園の存在意義でありながらも
儚くも不安定で、いつもゆらゆら揺れているような。

不確定かつ不明瞭な事実を囲い込むカオスな大人のユートピアであり続けるのだと、
徒歩での帰社時間を気にしながら歩く。

今日もハトに餌をあげるいつものサラリーマンがいて何も言えなくて…秋



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