向日葵
最近、速水御舟が気になり、いろいろな作品について調べています。
以前、私の母が美術関係の仕事をしていたこともあり、幼い頃に、家にあった日本画の本を見ていた思い出があったのですが、あまり詳しくは知りませんでした。
真摯な姿勢が感じられる、美しく素晴らしい作品がたくさんあり、その一つ一つに感動しています。
その中で、いま見ていたいのは、この作品です。
速水御舟《向日葵》1922年、64.5cm×49.7cm、霊友会妙一記念館
写実性や細密描写は、御舟の作品の大きな特徴ではありますが、リアリズムだけではないというところに、私は魅力を感じます。
花びらの細い筋、花芯の細かな点々、茎のうぶ毛、白い葉脈など、その緻密な描写には、確かな観察眼がうかがえます。ですが、葉の陰影に対して、花や背景にはあまり濃淡や陰影をつけず、やや平面的に仕上げていることもわかります。
その前年、1921年には「鍋島の皿に柘榴」で、まるで写真のようなスーパーリアリズムに到達していた御舟は、きっとこの「向日葵」では、写実と写実だけではない何か、という次の梯子を登り始めていたのではないか、と感じさせてくれるのです。
そして私は、御舟の作品から感じられる、静けさと穏やかさが、とても好きです。
皆が心穏やかに過ごせることを願います。
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