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猫と人間合宿中

大学生の頃に出会った地域猫のおかげで猫が好きになり、いつか猫を飼うのが夢になった。そして、その夢が叶ったのは8月6日土曜日のことだった。

ジジ、1歳、オス。
猫のボランティア団体で保護された子で、猫エイズキャリアを持つため他の子と一緒に過ごせないということでうちで預かることに。
預かりボランティアなので、里親が見つかるまでの間、人間に慣れるための期限がない合宿をするような感じだ。

真っ黒なシルエットも黄緑色の瞳も可愛すぎる

元野良猫ということもあり、うちに来た初日は警戒心MAX。トイレに立て篭もり飲まず食わず、石のように固まって動かなかった。
こちらも猫初心者である。猫の一挙一動にいちいち反応してしまい、それがまた猫のストレスになっていたかもしれない。夜は少しでもリラックスしてもらうために猫のためのクラシック音楽をかけたり、なるべく大きい音を出さないように心がける。

日中静かだったので夜もおとなしいかと思ったら、夜中に子猫のような声で夜泣きした。その声があまりにも可愛くて寝不足になるが、外が恋しくて鳴いていると思うと切ない。

2日目には食事も排便もできるようになるものの、ケージ内を掃除する時など距離が近くなるとイカ耳になって静かにシャーと言う。私はビビリなのでそれに驚いてしまい、お互いの間で緊張感が生まれる。

3〜4日目もケージの中で過ごすものの、少しづつ力が抜けた寝相になってきた。風邪のような症状だけが気になるけれど、ご飯もよく食べ、排泄もある。食欲旺盛な高校生の息子を持つ親の気分。たんとお食べ。

平日の夜は私と猫が二人きりで過ごす時間が長いため、ジジにリラックスしてもらおうと猫のためのクラシック音楽を聴いて優雅に過ごすルーティーンができる。なるべく干渉しないように、でもたくさん話しかけて、同じ空間に人間がいることに慣れてもらうことを意識して。

その成果があったのか徐々にリラックスした寝相になってきたので、5日目の夜は思い切ってケージを開けっ放しにした。すると、ジジが警戒しながらもケージから出て、リビングや廊下を探索し始める。
子どもが立った時のような喜びを感じて叫び出したくなるも、ジジを驚かせないために冷静を装いながら様子を観察。この時スマホで撮った動画は興奮のためめちゃくちゃブレていた。

警戒心は強いけど、我慢強いのか大人しいクールな男の子。
子猫のような可愛い声で鳴くギャップがたまらない。


6日目もケージから出て部屋を探索するジジ。警戒しているからか、はたまたお行儀がいいのか粗相もせず、堂々とした歩みでパトロール。「昔からこの家にいた」ような雰囲気が漂い嬉しくなる。

7日目の夜は何度もケージから出て部屋を探索。特に外が恋しいようで、リビングの窓へ一直線に向かって何度も寂しそうな声で鳴いていた。

これまでペットショップで飼うのはちょっと・・・と漠然とした考えがあったが、今度は「外にいた子を人間の都合で室内飼いして、本人にとって幸せなのだろうか?」という問いが生まれ罪悪感を感じる。
この考えに納得のいく答えはまだ見つけられていないが、今一緒にいる以上、絶対に幸せにしてあげなければならないと改めて思った。

外を眺めるのが好きな様子。暑いけど窓を開けて外の風に当ててやる。
カメラはまだ苦手なので気づかれないように撮る。


8日目の土曜日。雨が降っていたからか、もしくは私や主人が鬱陶しかったのか、ケージから出なくなってしまった。5日目頃から「シャー」をしなくなっていたが、この日また言うようになる。何か不満があるのだろうけど、こちらがまだ理解できないのがもどかしい。

しかしよく考えると、まだ家に来て1週間。
そりゃお互いまだ理解しあえるはずないよなと思い直す。時間をかけて、ジジのペースで人間に慣れてもらわなければ。思春期の息子を持つ母親の気分はこんな感じなんだろうか。

猫の1歳は人間の約18歳と知り、ジジを勝手に擬人化する。
人間だったら間違いなくクールでかっこいい男の子。絶対モテる。
キャットタワー代わりに置いている椅子。まだ見向きもしてもらえない。

まだまだ距離は縮まらないけど、今はただうちに猫がいて、食べる音や寝息が聞こえるだけで幸せだ。

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