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2020映画鑑賞記録


1.ジョジョ・ラビット

2020年映画見始めはこれ。
1月。TOHOシネマズ川崎。

最初は普通の印象だったけど、思い返すとめちゃくちゃ良い映画だった。スカーレット・ヨハンソン強い。


2.1917

2月。公開をめちゃくちゃ楽しみにしていた作品。何を楽しみにしていたかというと、「ワンカット」という撮り方と、戦争をどう描いていたのかという内容。この作品についての感想をまとめているところなんだけど、なかなか日の光を見れないでいる。無念。色相が好き。

3.ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使い

2月…かな。Netflix。

ハリーポッター好きの人に推されたので見た。ニフラー可愛い。ハリーポッターの原作も読み進めてるところ。2020年4月21日現在で、不死鳥の騎士団まで読み終えた(知らんがな)。

4.ブレードランナー2049

3月。地上波の録画。

ブレードランナーを見ずに、ブレードランナー2049を見てしまった愚か者がここに。早くブレードランナー見ないと…。この映画見た後に『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』をポチったけどまだ読めてない。これがSFか〜!という感じで、スターウォーズと同じ括りにならないことがよく分かる。

5.キングダム

4月。Amazon prime。

ワンオクの主題歌を最初に聞いて、ついに邦画を映画館で観れるかもしれない…!と思った(今まで映画館で邦画を見た回数は、数えるほどしかない)。そんなワンオクの曲はWasted Night
映画自体はAmazon primeでポチった(母親が)。大学に合格したものの、一度も大学に行ってない、キングダムにハマってる妹が隣で解説してくれた。大沢たかお演じる王騎なかなか良かった。個人的に王騎が高笑いをしなかったのは、大沢たかおが断ったのではないかと思ってる(推量)。映画の尺の短さが惜しまれる。

6.HUSH(邦題:サイレンス)

5月。Netflix。

ホラーなのかなと思ったらスリラーだった。意外と考えさせられた。

7.スノーピアサー

5月27日。Netflix。

『パラサイト』が垂直的な格差なら、『スノーピアサー』は水平的な格差という感じ。あくまで視覚的に、なので意味までは正確じゃない。

地球温暖化を止めるために、地球を人工的に冷却するという水準までの科学技術が発展していた一方で、列車の中においては「昔」に戻っている。「秩序」のためには暴力も厭わないような感じ。

人間が「秩序」から解放される時が来るのかなと思う。結果として、ある人間がその役割を果たしていたということは言えても、「人間は皆平等である」という思想に基づくのなら、特定の役割を与える立場の人間というのは存在しないのではないか。

列車の中では、その逆が描かれていて、「反乱」も含め、車内で起こる全ての事象は一人(二人)の手の上にあった。その世界を抜け出すところに、この映画のテーマがあったのかなと思う。

トンネルを抜けて、生き残ったのが列車生まれの二人なのは希望、という感じなのかな。どちらも子供だし、子供には希望という印象が与えられがち。

いずれにせよ、列車という閉鎖的空間を生かしている作品だった(なんども「閉鎖的生態系」とか出てきたし、その辺は伏線だったのかな。)。

8.MEMENTO

6月2日。Netflix。

一度見ただけなので、かなり謎が残っている。また見ることにしたい。

通常のミステリー(この映画のジャンル分からないな)は時系列に沿ってストーリーが展開されていき、最後に犯人が分かる、というパターンだけど、この映画は逆再生的にストーリーが進んでいく。最初に(時系列的には最後に)人が殺され、最後に(時系列的には最初)に犯人が分かるという。難しかったんだけど、それがおもしろい。

「復讐」という点で見ると、同じ日に見た下記The Revenant とは対照的。現実を直視できないほどレナードは妻を愛していたんだろうけど、痛ましいね。

9. The Revenant 

6月2日。Netflix。

映画館で予告を見たときに惹かれたやつ。1820年代、アメリカに実在した人物を主題とした映画。山登らないといけないし、川には流される(しかも激流)、雪は深いし、寒いし、食料が手に入らない。自然の過酷さが印象に残った。あとバイソンの群れ凄かった。今じゃ数減ってしまっているんだよね。

アメリカ「開拓」の歴史と、キリスト教分からないと理解できない映画だなって感じ(分からなかった)。復讐が生き延びる活力だったのに、最後の最後で「復讐は神に委ねます」というのも印象的だった。

10. LEON

6月8日。Netflix。

誰かに勧められていた作品をやっと見た。米題は『The Professional 』だって(『LEON』は仏題。)。1994年の作品。マチルダが強い。

映画を見ると、タイトルの作品に与える印象は侮れないように感じる。Professionalだと仕事あるいは役割に目が行きがちでどこか遠く感じる一方、LEONの場合は、地球上のどこかに存在する誰かの物語という印象を強く受ける。めちゃくちゃ主観だけど。思い出したらまた感想を書こう。

11. Little Women

6月17日。TOHOシネマズ上大岡。

邦題はストーリー・オブ・マイライフ。"She's someone". が身に染みる。

ひっさしぶりの映画館!

12. Back to the Future

6月20日。地上波放送。

13. Back to the Future PART2

6月20日。地上波放送。

2015年には車が空を飛んでいて、臓器を交換することで寿命を伸ばしていたりする。現実にはならなかったね。

14. The King

6月26日。Netflix。ティモシー・シャラメが出演していたので見てみた。


15. Back to the Future PART3

6月。地上波放送。

過去は変えられないけど(変えてはいけないけど)、未来は変えられる。今はほんの少しの差であったとしても、時間が経つにつれてその差が大きなものになったりする。逆だけど、生物濃縮みたい(濃縮というよりは拡大?)。

ただ、ドク、タイムマシン壊すと言っておきながら、新しくタイムマシン作ってるじゃないかと突っ込みたくはなった。

16. Ready Player One

7月4日。地上波放送。これを見る前にシャイニングを見ておくべきだった。Netflixで見れるな…。うーん。とりあえずデロリアンめっちゃ活躍してた。

17. The Dark Knight

7月12日。TOHOシネマズ川崎。人生初のIMAX 4DMX。めっちゃ揺れる。友人から聞いてたけど、遊園地のアトラクションでした。途中、椅子からずり落ちそうになって、そっちに意識が行ってしまった。映画に集中したいときは普通に観る方が良い◎

ダークナイト自体は二度目の鑑賞だけど、映画館で観れてよかった。パンフレットも入手してきた。

夜明け前が一番暗い。

バットマンが好きと言うより、ダークナイトが好き、かな。

今回TENETの予告も見れた。これも絶対映画館で観たいね。

18. DUNKIRK

8月9日。横浜ブルク13。IMAX。

公開当時に一度映画館で見ているけど、その時から相変わらず好きな映画3本指に入る。

テーマと、構成と、色彩(コンセプト?)が好みなんだろうな。

ただのIMAXだけでも、音響がすごい…。欲を言うとするなら、エンドロールの後のIMAXについてのプロモーションみたいなやついらない…一気に現実に引き戻される…

19. VENOM

8月10日。Netflix。

トム・ハーディさん2回目まして(一度目はAmazon primeでみたINCEPTION)。アメコミやな。

20. INCEPTION

8月14日。横浜ブルク13。IMAX。連続でトム・ハーディだったことに気付いた。

ノーランの作品は、というかMEMENTOとINCEPTIONについては、「現在地」のようなテーマを節々で感じた。我々はどこから来てどこへ行くのか、ではなくて、我々(主人公)は今どこに立っているのか、ということを再確認する感じ?個人的にこれがすごく好き。

21. IT Chapter Ⅱ

8月14日。Netflix。スタンリーを自殺させたのは、自殺率とかと関係あるのかね。個人的には彼に生きていて欲しかった。

22. #生きている

9月9日。Netflix。

有給休暇を取ったので、家で映画を見ることにした。韓国のゾンビ映画。

ゾンビ映画というと、「新感染(原題:釜山行き)」が記憶に新しい。「新感染」が、移動する密室内での短期間サバイバルだとするなら、「#生きている」は、移動しない密室での、長期間サバイバルだ。劇中でのハッシュタグは、#生き残らねば。でもなぜ人間は生き残る必要があるんだろうね。何がそうさせるのか。

本作においては、あるウイルスに感染すると”ゾンビ”化し、より暴力的な存在となり、人の肉を食べないと飢えるらしい。

ゾンビ映画見てると、どうして人は人(ゾンビ、元・人)に人を食べさせようとするのかと思う。ゾンビに限らず、バンパイアでも鬼でもそうだね。人類淘汰みたいなテーゼなのかな。

そういえば劇中ではゾンビという言葉は使われてなかった気がする。もしかするとあれらはゾンビではなかったのかもしれない。

23. TENET

一回目は、公開日の9月18日に観たよ!公開日に映画を見るのって初めてで、テンション上がっちゃうね!映画館は最近お気に入りの?横浜ブルク13。一度体験しちゃうとやめられないのがIMAX。困る〜(金銭的に)。

難しすぎたので、復習してから二回目を観に行く予定。

「時間は相対的な物だ」っていうのがよく分かる映画。詳しくは個別に鑑賞記録でまとめます。

追記:二回目観に行ってきました(9月26日、TOHOシネマズ上大岡)。二回目にしてようやく「時間を逆行する」の意味が分かった。

だいぶストーリーを理解できたので、ネット上で溢れているネタバレとか考察とか漁ってみたら…マックス説を推したい…ニール好きすぎるよ…

気が早いけど、ロバート・パティンソンのザ・バットマン楽しみ。

24. Knives Out

9月20日。Netflix。

ミステリー系の映画って、誰が犯人なのかを考えさせるから難しめで、さらに人が死んでる訳だからシリアスなものが多いイメージがあるけど、本作は後半のコミカルさが特徴的?アガサ・クリスティの「ねじれた家」を思い出した。(映画しか見てないから何ともいえないけど…でもググるとたくさんオマージュしているみたい…いろんな作品に触れていると、こういう時により楽しめるね…!)

最後のナイフのシーンも、ハーランの言葉からちゃんと繋がっていて、同時にランサムはハーランのことを理解していなかった(劇中にランサムが、ハーランのことを理解しているのは主人公と自分だけだ、と言うセリフがある)という象徴にもなっているのかなと思った。

25. The Devil All The Time(悪魔はいつもそこに)

9月22日。Netflix。

悪魔はいつもそこにいるのねという呟きが、簡単な感想。
本作終盤で言及のあったベトナム戦争は、泥沼から撤退した、常に戦勝国であったアメリカにしては珍しい経緯を持つ戦争。

誰かの「暴力の円環からの脱出」というレビューを見て考えたけど、戦争という暴力の円環から自ら脱出(=撤退)したベトナム戦争をわざわざ終わりに持ってきたことを考慮すると、主人公アーヴィンのその後も多少は救われるものなんじゃないかと思う。

ただ、右の頬を殴られたら左の頬も差し出しなさいという、復讐はせず、神の御心のままにというキリスト教的な価値観とは打って変わった、めちゃくちゃ復讐のドラマだった(レヴェナントとは大違いだね)。

敬虔なキリスト教徒を描く一方で、劇中のフレーズを借りるなら、キリストの悪夢となる人間もいる。それでも、「理想郷」を諦めない人はまだまだいるっていう映画なのかな。

「善」側のキャスティングのイメージがある俳優さんたちが、「混沌」としている映画でもあり、人には多面性があるよなと思った(まぁ彼らは仕事な訳だけど)。

ナレーションがこんなに入っている映画を見るのは初めてだった。

26. ミッドナイト・ランナー

9月22日。Netflix。

今日は2本も映画を見てしまった。まぁ秋だし四連休だしいいよね。

主人公は警察大学の学生2人。彼らは限りなく警察に近いけど、まだ警察ではない。警察と自警団とか、掘り下げるとかなり深いことになりそう。

「今」事件が進行しているのに、他にも解決すべき事件があり、人手がない故に捜査ができないというのは、とても歯痒い。

秩序というものは、役にも立つけど、邪魔にもなることもある。秩序がやっかいなのか、それとも人間が厄介なのか。ほとんどのことはマニュアルに書いていない要素を孕んでいて、対応することが難しい。あとでもう少し感想をまとめたいところ。

27. The Rover(奪還者)

10月3日。U-NEXT。無料体験してみた。

「終末」というと、どんぱち戦って、「これに負けたらおしまいだ」というところに焦点当てられることが多いように思う。一方、本作は静かに衰退して行く模様に焦点が当てられてるように感じた。
終末というより、ディストピア?
衰えるというより、荒んでいる状態?
SFだと都市部が舞台になることが多いけど、本作は荒野を舞台として、「終わった」後の世界が描かれていた。「終わったとしても、無かったことにはならない」というのはこういうことをいうんだろうな、などと思った。そう思うと、主人公の、軍人(?)に対する「お前は終わったか?」(うろ覚え)という質問も意図されたものなんだろう。

主人公(そういえばこの作品も主人公の名前が出てこないな…)が車に執着した原因でもある「犬」については、中間地点らへんで登場した女性医師の家での出来事がヒントだったのか…。
主人公がトランクに手をかけた時、ふと「アルビノ」について、神聖視するかのような風潮を持つ文化を思い出した(死してなお、その体を狙われる)。
「閉じ込めてるの。食べられちゃうから」生きているのに、その「生」を謳歌できない。

音楽や情景、台詞回しから「生きている、ただそれだけ」の世界が描かれているようだった。

主人公が「床に足をつける瞬間の感情」が云々と言っていたけど、「今日も死ねなかったから生きている」っていう感じ。ただそこにも少しばかりの感情は残っていたのかな。それがレイと犬だった。

とりあえずロバート・パティンソンはよかった。

28. Mad Max: Fury Road

 10月3日。Netflix。今日も映画を2本も見てしまった。明日も見たいと思ってる。

The Roverのレビューで、Mad Maxについて触れている人がいたので見てみた。

確かに同じく「終わった後の世界」を舞台に、カーチェイスしているんだけども、こちらの方は、生きるためにガツガツしてる。前者は色々削られまくった人間の心理に迫るようなところがあるけど、後者は「これ以上削られるもんか!」という感じ。Netflix流に表現すると、「気骨がある」になる。

車の隊列で、ギターをかき鳴らすウォー ボーイズのカットが割と多かったのはどうしてだろう。確かにオスマン帝国の軍楽隊とか有名だけど、そういうことなのかな…?

主人公たちが、一旦は砦から逃げ出したのに、引き返して、戦って支配体制を変えることにしたのは、現実の社会にも通じそうなところがある。

国外へ逃げることもできるけど、その先が暮らしやすいとも限らない。声を上げて、社会を変えることもできる。みたいな。その辺、マックスが元警察官みたいな設定も関わってくるのだろうか。社会の秩序維持に関わっていた存在からの視点、的な?

劇中に「故郷」という表現があったけど、あれは人間が唯一生きることのできる場所、という本能的な(原始的な?)意味であって、心の拠り所といった精神的な意味での故郷ではないように思った。

「緑の地」とか最後に引用されていた「約束の地」とか、キリスト教チックというかヨーロッパチックというか。ウォーボーイズ含め、支配体制側の存在の肌をとことん白くしているのは、現実の社会(アメリカとかオーストラリアとか)へのアイロニーということでいいんだろうか。

ウォーボーイズの「俺は蘇る!」みたいなくだりはよく分からなかったけど、死後には「英雄の館」なるものがあるらしいし、合わせて考えると、それは神(イモータン・ジョー)の思し召しで天国へ行けるよ!ということにでもなるのだろうか。よく分からんな。

同日に27.28.の2作とも、オーストラリアの映画というのはなんだか興味深くもある。

トム・ハーディを見るのはこれで3作目(単なるメモ)。

29. Kingsman:The Secret Service

10月4日。U-NEXT。

映画館に行くたびに最新章の予告を見せられるから見た。コリン・ファースが見たかったというのもある。彼が主演を務める『英国王のスピーチ』はおすすめ。うん。

コードネームがアーサー王と円卓の騎士じゃん…!!!なのに肝心のアーサーが……マイケル・ケイン好きなのにショック…マーリンはマーリンなの納得。コードネームがモードレッドのエージェントとかいるのかな。というか席は全部で10?(メモ:劇中で確認できたのは、アーサー王、マーリン、ガラハッド、ランスロット、パーシヴァルの5人かな…ガウェインとベディヴィエールも有名だし多分いるでしょ…)

ガラハッド(ハリー・ハート):師 エグジー:弟 という描かれ方で、エグジーが(円卓の物語上ではガラハッドの父親である)ランスロットの座を目指すという「師を越す」かのようなモチーフは印象的だった。まぁエグジーはランスロットにはなれないんだけど。

選民思想をめったうちにする映画だった。革靴に仕込まれた刃を出す時に、エグジーが取った行動(ヒトラーのあれ……)に対してのガラハッドの台詞「違う、そうじゃない」というのも印象的だったし、否定してくれてよかった。

インド神話とか聖書とかをかじっていると「地球の滅亡(あるいは大地の荒廃)を阻止するために、人間の数を減らそう」というシナリオは、昔からあるんだなとしみじみ。でも、主語が「神」から「一人の人間」に変化しているのは人間の傲慢さなのかなんなのか。

ノアの方舟を否定するような台詞もあったし、脱キリスト教!的な映画にも読み取れる。(追記:でもこれはきっと、(神ではないただの)人は人を選べないということだ。)

大量に人が死んで、その印象は色付きの煙でぼかされちゃうんだけど、スパイ!アクション!ちょっとコメディ!って感じでおもしろかった。おそらく生きているであろうコリン・ファースを観に、2作目も観たい。

30. Kingsman:The Golden Circle

10月4日。U-NEXT。

完璧にネタバレだけど、前作のアーサーに続き、今作ではマーリンも亡くなってしまうなんて…残ったのがダブル・ガラハッドという…世代交代なんかな…でもハリーの復帰からのダブル・ガラハッドでのアクションシーンは爽快だった!!

年上ガラハッドが、ウイスキーの裏切り(?)に気付く伏線とかあった…?ちょっとその辺すっ飛ばしたのかな…?

本作では、麻薬中毒の問題を核にストーリーが進んだ。日本で暮らしている分にはあまり身近に感じられないけど、アメリカだと麻薬中毒の問題というのは、とても身近なんだろうか。アルコール中毒の危険性を喚起する映画もあるくらいだからな…

麻薬売買の会社のボスであるポピーは、表社会に「合法的に」名乗りを上げるため、致死性のウイルスを麻薬に含有させてばら撒き、麻薬使用者(≒法を守らない人≒善良でない人)を顕在化させた。大統領はこの問題を、ポピーとの取引を反故にして、さらに感染者≒麻薬使用者を一掃することで解決しようとした。

今回のキングスマンは、この問題を解決するための、「善良でない」人を切り落とすという手段にストップをかけていた。というか結果的に抑止力として働いていたって感じ。善良でない人を削ぎ落としても、残った社会の構成員のなかでさらに善良でない人は生み出されていく、みたいな論説もあったような気がする。

余談だけど、マーリンがあの場面で「カントリーロード」を歌ったのは、彼の心情だけでなく、野外病院に収納されてしまった感染者全体の心情も描写していたのかな、と。帰りたいのに、帰れない。マーリン…追悼…。

結局のところ、前作に引き続き人は神ではないし、人は人を裁けないってところに落ち着きそうだ。

31. WERK OHNE AUTOR(ある画家の数奇な運命)

10月17日。kino cinema 横浜みなとみらい。

トム・シリング主演。お初にお目にかかりました、多分。

3時間という長尺…。お尻が痛かった…。でも長い映画こそ、映画館で観るべきな気がする。

32. WHO AM I (ピエロがお前を嘲笑う)

10月20日。Netflix。

トム・シリング繋がりで鑑賞。ドイツ語の勉強がしたくなる。

ハッカー集団CLAYの存在やその活動は、どことなくバンクシーを想起させる(と個人的には思った)。

この映画は、最後に種明かしをするために、「トリック」を使ってストーリーが進行していくようなイメージ。

「人は見たいものを見る」(そして事実を誤認する)という台詞が強調されていたけど、ここでいう「人」というのは登場人物である捜査官のハンネのことであって、観客は想定されていないように感じた。

ハンネについては、主人公の話だけを聞いて判断している。この「話」、というのはあくまで事実を細切れに出したもので、どこにも嘘はない(劇中でそういう描写がある)。主人公がハンネに完璧なストーリーを伝えるのではなく、事実を並べて、主人公にとって都合の良いストーリーをハンネに作らせる。

一方で、観客には見せられているものの真実性が担保されていない。事実を誤認する以前に、「あれ、どっちが真実?」となってしまう(私はなった)。それによって、「同じ世界に立てていない」かのような置いてきぼり感があった。

でも「目に見えるものが真実とは限らない」という意味にはなるのかな…私も事実を誤認しているだろうな…

33. I’m thinking of ending things (もう終わりにしよう。)

10月25日。Netflix。

本筋があるんだろうけど、どれが本筋なのか全然分からなかった。ただ、鑑賞後にサイトを巡って、考察を読むと「ああそういうことだったのか」と納得できた。

TENETは頭にモヤモヤが若干残るような「分からなさ」(考える余地がある)だけど、本作は分かればスッキリする映画のように思う。

会話が印象的でおもしろかった。議論できる土壌があるのって大事だよね。

タイトルの「I」(主語)が誰なのかを考えながら見てたら、もう少し自分でも内容を読み解けたのかなと思う。

どうも私は話の構造とか考えるの苦手らしい。映画見るのに向いてないのかなー

気が向いたら「オクラホマ!」でも見てみよう…

34.The Trial of the Chicago 7.(シカゴ7裁判)

11月1日。Netflix。2020年も残り2ヶ月しかないけど,この作品から映画に対する総合的な印象(漠然としすぎているけど)をレーティングすることにしよう。本作は★4くらいかな(最高は★5で。)。

映画自体の感想は別のnoteにまとめるので派生して……映画のインタビュー動画で,エディ・レッドメインが題材となった裁判を知らなかったこと,自国だけでなく世界中の歴史を知る必要があることに言及していた。

日本において,芸能人が政治的・社会的意見を発信することは忌避されがちだけども,一般的な人が見逃してしまっている事柄について,彼らは職業柄触れやすかったりもする(例えば今回の場合,俳優が脚本で史実を知るとか,そういったこと)。そこから様々な考えを持つのは当然ではないかと思うし,むしろ発信してくれることで,一般的な人(大衆?)が知ることができるように思う。

確かに今日のSNSにおける著名人の発信力は,私よりも遥かに高いけども,この発信力を危惧して芸能人の意見を制限するという状態は,受け手側の問題でもあるのではないかと思う(ある程度の知識を持ち合わせていれば,相応の判断はできるだろうけど,そこに達していない状態?)。

『スノーデン』の主人公を務めていた検事役は好印象だった。本当に最後の陳述で検事が敬意を表したのかどうかは知らないけど,法の適用だったり,良識だったり,物事の「バランス」を弁えている役のように感じた。

35. 罪の声

11月3日。TOHOシネマズ上大岡。
★3.5くらい。

とりあえず映画を観終えた足で原作を購入したんだけど、まだ読んでいない。

印象的だったのは、記者である小栗旬の「聞いてください」。記者なのに「聞かせてください」じゃなかった。

エンタメである映画で、実際の事件を、被害者たちの苦悩を「エンタメとして消費」されてしまうことへの葛藤が描かれていたのも印象的だった。

声の罪。罪の声。だけど、生島の弟にとっては姉の形見でもある。物事は多様な面がありすぎる。

36. 鬼滅の刃

11月16日。横浜ブルク13。
★4くらい。混み合うのが嫌だったから、月曜日の仕事終わりにレイトショーで。桜木町なのにめっちゃ空いてたな〜。

漫画はまだ読んでないから何ともいえないけど、アニメよりも映画の方が「強さ」というテーマを重々しく感じた。

今の時代の「強さ」ってなんだろう。本作については別にnoteでまとめる。

邦画は邦画でも、アニメーション映画の方が登場人物の台詞がはっきり聞こえる。(口の動きを省略化する、そして声優がいる)アニメーションだからこそかな。先日観た「罪の声」は、台詞が所々聞こえないところがあった。日本語字幕付きの邦画もあればいいのに。

37. Låt den rätte komma in/Let the Right One In(僕のエリ 200歳の少女)

11月22日。U-NEXT。友人にお勧めされたので見てみた。★3くらいかな(映画への総合的な印象)。本作のジャンルはよく分からないけど、一応ホラーなのかな?

スウェーデンの映画。小説の作者が映画の脚本を担当したらしい。めっちゃ鬼滅の刃だった。いや全然違うんだけど。

誰かの家に入る際の、少女エリの「入っていい?」という台詞が強調されていたけど、これは映画の原題とネット上の解説を見るとすぐ分かるし、妙に納得してしまった。「入っていい」という許可は明言されなければならず、暗黙の了解は許可としての役割を果たさない(そしてこの許可がないと身体的苦痛を味わう事になる)。人を殺す性質を持つのに、人の社会に紛れて暮らす吸血鬼へ課された一種の呪いみたいだ。

小説の題名は「MORSE」らしい。これはモールス信号のことだね。このモールス信号の使われ方が、劇中で一番切ないように感じた。

静的な映画という印象を受けた。殺人やらなんやら発生しているから、穏やかではないんだけど、激しい展開ではない。深々と雪が降るなか、気づかずに通り過ぎてしまうような雰囲気。

38. ABOUT TIME

11月22日。Netflix。「ただのロマンスかと思っていたら、女性が主人公だと思っていたら、違った」というツイートを見て、「あれ、そうなの?」(自分も映画の内容を全く同じように捉えていた)と思い、見ました。映画に限らず、プロモーションって大事だよ…。届くべきところに届かないからね…。

★4で。心に引っかかったのは、「人生」というテーマを扱っていたからかな…。ここのところ、「変わらない毎日」を繰り返すことが苦痛でしかたなかったから、タイミングよくこの映画に出会えたと思う。実際、毎日が変わらないことよりも、自分に進歩がないことが嫌なんだろうけど、その話はまた今度。「”人生”じゃなくて”生活”が存在するだけ」という誰かの言葉も身に染みる。

衣装ケースの中から過去へタイムスリップするの、めっちゃナルニアを思い出した(ナルニアにおいて衣装ケースは異世界への扉となる)。

主人公の一族の男性は、謎の性質でタイムスリップできるとは言え、行き先は「過去」だけで、「未来」に行くことはできない。タイムスリップと言えばたいてい未来に行くだろうに。これは「現在を生きよう」というテーマがストーリー世界の設定にもたらした制約なんだろうな、と思う。

未来へ行くことができるとなると、ほとんどの人はより良い未来、失敗しない未来を目指して生きることになると思う。例えば、未来へ行って借金に四苦八苦している様子を確認したとすると、現在においてそれを回避するような行動に走るんだろう。現在の生活なのにも関わらず、未来の感情のようなものがその生活の主体となる。

であれば、過去へ行けるとなると、現在のために行動することになる。

近代化に伴い多くの人が経済的に安定するようになって、人の一生について、「その日暮らし」から「先(将来)を見据えた暮らし」へと客観的・長期的な視点が含まれるようになった。確かに長い目で見れば、人生の季節のようなものは移り変わっていくから、人生計画なんて言葉があるのだろうけど、「毎日を生きる」という主観的な意識のようなものは変わっていない気がする。

家族として生活をしてきているのに、タイムスリップしてやり直すかやり直さないかを決めるのが主人公一人だけ(家父長制かよとは思った)、という点は引っかかったけど、最終的に妻の「人生には天気がある」、タイムスリップをして悟った「タイムスリップをせず、毎日を(何度目かのうち)最後のように生きる」という落とし所は、”普通”な私を安心させてくれたように思う。

”TIME"って聞くと「時間」を連想してしまうけど、本作においては「人生」だったりその「瞬間」だったり、「季節」だったりと結びついていて、単純に見える単語こそ奥が深いなと思った。

39. THE CALL

11月。Netflix。韓国の映画。

これは★4.5。すごく……おもしろかった!っていうとサイコみたいだけど、おもしろかった。

時間を移動する系の作品って、「過去に干渉しない」「未来を変えない」といったお約束があるけど、本作は違う。過去からぐいぐい攻めてくる。これがおもしろい。

あとパク・シネちゃん可愛かった。

40.Fate/Grand Order 神聖円卓領域キャメロット前編

12月12日。チネチッタ川崎。初チネチッタ。

★2くらい。
ゲームのシナリオを元にした映画。映画よりもアニメ向けの脚本のように感じた。場面の切り替わりが早くて早くて…。尺が足りてないせいで、ストーリーが薄くなってしまっている感じ。

なにより、心情の変化についていけない。というか心情描写が粗い…?やっぱりストーリー展開が早すぎるせいだよな…

宝具を使ったバトルもいまいち迫力に欠けたし、少し物足りなかった。

「私は王を殺さなければならない」
分かるよ、ゲームを知ってるから。でも映画の描写だと、動機付けのインプレッションが薄すぎたんだ…。

後編に期待したいです…。

41. The Fall(落下の王国)

12月13日。地上波(映画天国)の録画。★4くらい。

衣装すごい。背景(舞台?)すごい。ストーリーほんわか。優しい感じ。こんなふうに世界が優しければいいのに。

映画のストーリーの予備知識なしに見たから、入院している彼は誰だ(どんな人)?と探りながら見ていたけど、そのおかげでじっくり彼と付き合うことができたように思う。

想像に現実が混ざってくるあたり、おもしろかった。そして、現実(女の子)がスタントマンの彼の想像(物語)に介入してくるというのもまた、ストーリー上重要なポイントなんだなと感じた。

手元に置いておきたい作品ってあるけど、本作もそのうちの一つに入る。残念ながら流通してないみたいだけど。

ターセム監督の他の作品も見てみようかな。

と、いうわけで2020年に観た映画は41本!2021年はもう少し数を見たいな〜!

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