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土曜にzoomのある詩の教室に参加した。タイトルはゲストだった伊藤比呂美さんからの詩を書く私たちに向けたアドバイスのひとつだ。有名なブッダの言葉で『読み解き「般若心経」』(朝日新聞出版/朝日文庫)を出している伊藤さんらしいな、と思ったりした。
その本を出版される2010年過ぎだったと思う。博多の冷泉荘で伊藤さんの般若心経にまつわる講演があってお話を聞きに行った。昔付き合っていた男からもぎとった?『わたしはあんじゅひめ子である』(1993年/思潮社)にサインをいただいた。
そのとき初めて般若心経も詩なのだと知った。だから、伊藤さんの詩に関してのお話を聞くのはこれで二回目だ。
今回の教室ではフランクに松下さんが質問してくださったので伊藤さんの人となりがより深く伝わってきて私も勝手な「伊藤比呂美像」を創り上げていたなと反省したりした。

ひとつだけエピソードを書くと
「全身全霊で否定したい」とご本人が話されていたことが
「あけすけに書いている」と言われることについてだ。
そんなわけはない!強く否定されていた。
そうか…読む人が読めばそう思われるよな…。
私でさえ今だに最近の作品でさえ「詩に書いてること、感情、全部リアル」と思われがちなのだ。そりゃあ全身全霊使いたくもなるわ、
深く共感してしまった。

肝心の詩の講評について。今回は中座はあったものの伊藤さんも最後まで講評にお付き合いくださってたまにコメントもされていた。
(私は人数が少ないだろうとわざわざ平日午後を空けて25日の講評を選んでしまった…やっちまった)
詩の会話について。行の空けかたについて。観光先で書く詩について。散文詩の言葉の選び方について。などなど。メモを取る手の走ること走ること。
松下さんの講評でも
名詞止めについて。詩の中に入れる動作を書くことの効果。言葉にもたれかかるとは。松下さんの講評の核になっているのではと密かに私が考えている「素直さと適応力」について。ざっと箇条書きにしてもお宝の山だ。

どうだったか感想を教えてください。
フォロワーさんからも言われていた言葉だ。

上記のことを具体的に説明してシェアすることは親切なことなのかもしれない。読み手の時間の節約にもなるだろう。
ごめんなさい。
以前茶化して「お金がかかってるんだから合評会について具体的にはnoteには書かない」
なんて書いたけど本音は少し違う。

やはりまず、どんなものでも酷評も覚悟して詩を書くプロに
作品を書いて提出して
(とても勇気のいること。特に初めてだとしたら余計に)
そこが、スタート地点だと思っている。のだ本心は。

昨日は13時から17時過ぎまで。Zoomとはいえそれぞれの書き手が辛抱強くPCの前に座っていたに違いない。土曜日の午後に遊びにいくこともせず。
対談も、他の方の詩の講評も(自作の講評の順番が終わっても去らない人たちの名前を確認した。自作だけでなく、詩を心から好きな人達ではないかと私は思うから)、余すことなく全てを聞いていた人たちのものなのではないか?

昨日を終えてさらにそう思ったのだ。

ほんとうにありがたいことにこの詩の教室はレベルとか初心者だからとかがない場だ。詩を書きたい人が少しの勇気で飛び込めるように敷居を低くしてくれている。講評の言葉もあたたかい。
これを読んで次回も参加できたらなと思っているこの教室で
誰からもなかなか批判を受けない場所から
(これは馴染みの場から出ない人や詩歴が長くなったりする人だとあるあるだったりする。もちろん私も含めてだ)
飛び出してくる見知った人の名前を見つけることが出来たらとても嬉しく思う。

惜しむらくはゲストへの質問が今回なかったので
働く女性を語る上で、特にりんさんの詩を語る際引き合いに出されやすいガラスの天井問題について(やはりチラッと伊藤さんの話に出てきた)深掘りしてお聞きしたかった。これには私にも私なりの意見があったりするので。
しかしかなり本題から外れるし長くなりそう。満腹にならないからこそまた次も!と思えるものだから。ね。

心を動かされたのは
松下さん、伊藤さんがそれぞれに
「詩を教える立場からの戸惑い・疑問」
をずっと抱え続けていること。
そのことまで正直に対談で話してくれたことだ。
学ぶ側の私たちが迷っているように
教えようとする側もまた迷っていることを隠さず、違う立場のもの同士が
これでいいのだろうか?

という問いを失くさないまま
「詩を書くことをやめられない」という共通項に立ってPCの
こちらがわ と あちらがわ に居る。ということ。

うれしかった。とにかく、うれしかった。

「人生を棒に振ってこれをやっているんですよね私たち」
そう言って笑った伊藤さんと大きく頷いていた松下さん

もちろん私も笑って
出来損ないで不器用でいいから
1頭の犀になりたいと願う。

                    (了)

アンビリーバーボーな薄給で働いているのでw他県の詩の勉強会に行く旅費の積立にさせていただきます。