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街壁とダンスと散歩

入院6日目。だいぶ元気になった。
病棟や展望室を散歩したし、軽く体操もした。
会社が配信している、疾患に関する100問テストをやったり、薬剤師向けの動画を見たりもした。

街とその不確かな壁も、すこし読み進めた。
ヒロインが書いた不思議ちゃんめいた長い手紙を読んだあたりから感じていたのだけれど、こいつあヤバい女である。私が主人公の友達なら、悪いこといわねぇその女はやめておけと言うと思う。

でも、きっと主人公は外野にそういうこと言われたくないから彼女との仲を誰かに言ったりしないんだよね。好感の持てる青年である。

もし主人公が妻夫木聡だったら、彼女の持つ強烈な感受性と浮世離れした言動に振り回されて疲弊して、この子を支えていくためには俺もしかして他のもの全部捨てなきゃいけないのかなってことに気付いてゾッとして、抱えきれなくなって逃げてると思う。そして、あとになって愛を貫けなかった自分を恥じて後悔して、本当に俺はあの子のことが好きだったって気付いて、泣きながら雑踏を歩く羽目になると思う。(妻夫木聡さんご本人のことではなく、妻夫木さんがよく演じている役のイメージの話をしてます。ご本人様は、きっと素晴らしいひとだと思います)

しかし、そこは流石村上春樹主人公。
もしかして中に巨人埋まってる?とつい疑ってしまうような謎壁に囲まれた街を本当にあると信じて、ちゃんと辿り着いたらしい。すごすぎる。


午後は、シャルウィーダンス?を観た。
仕事一筋、家庭第一の真面目なおじさんが、社交ダンスを始める話。

出てくるひとたちが、みんな活き活きしてて、人間くさくて、観てて楽しい映画だった。ちょっと勇気を出して踏み出せば、そこには新しい仲間との出会いがあって、今まで当たり前にそこにあったものを見つめ直すキッカケにもなる。そんなことを考えた。

終わり方はちょっと意外だったけど、単純なサクセスストーリーというわけじゃなくて地に足ついてる感じなのがいいなと思った。

なにはともあれ、主演のリチャード・ギアが、ダンディーでチャーミングで笑顔が素敵で癒されました。

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