三浦沙良さん逝去

先日の夜、郵便受けにお手紙が届いていて、まさかと思いその場で封をあけたところ、三浦沙良さんhttps://twitter.com/saramiuraのお母様からで『娘は黄泉に旅立ちました』と記されていました。

三浦沙良さんの経歴ですが、2012年『大島弓子の話をしよう』編集・発行、『大島弓子 fan book』(青月社)『ネコマンガ コレクション』(立東舎)にライターとして参加。他ユリイカやTH等にも文章を書かれており、SCOPEBOY BOOKSというリトルプレスレーベル主宰。漫画にまつわる書籍を独自に製作、販売されていました。今年の六月、アニメーション映画『犬王』を三浦さんは絶賛されて、ツイートもその事を沢山投稿されていました。ただ最後の投稿が六月十八日で、書き込みが止まってしまったので気になっていたのですが、その後DMやメールで連絡しても返事が無く、とても気になっていたのですが最近になって他の友人知人とも音信不通になり、本を委託されているシェア書店さんにも連絡がなくなったとの事、とても胸騒ぎがして教えていただいてたご住所にはがきを出したのですが、しばらくしてお母様からご連絡があり、急に旅立ってしまったことを知らされました。

思い返してみても不思議なご縁で、私は三浦さんとは面識がなく、五、六年前にTwitterで知り合い、わたしの漫画『アニマルX』『ファンタジウム』が好きな事、世代はたぶんわたしより若いと思うのですが、三原順先生、森川久美先生、青池保子先生、竹宮惠子先生、萩尾望都先生、そして大島弓子先生がお好きなことで意気投合し漫画話をしておりました。
そして私はいつでも仕事があるほど人気のある漫画家ではないので、
仕事にあぶれていた時、Twitterに映画の絵を描いて投稿していたところ
映画の本を作りませんかとお声がけくださったのは三浦さんでした。
台割とデザインをすぐに作ってくださり、すてきな本に仕上げてくださったのが『杉本亜未のシネマタマシイ』で、色々なイベントや書店さんで販売してくださり、そこからのご縁も生まれました。


『杉本亜未のシネマタマシイ』

また三浦さんご自身がスイーツや街情報に詳しく、むかし地図の情報誌の編集に携わっていたことなど知りました。私もあまいおやつが大好きなので、お互いにお薦めのスイーツを送付したり、遠くにありながら親しくさせていただいていました。その後、私の原画展が開催され、三浦さんも私も仕事があり、やはりこのときもお会いできなかったのですが原画展会場でシネマタマシイを販売していただき、好評だったのも嬉しかったのですが、お忙しい中展示会場に来ていただき、ご感想をノートに記してくださったのも嬉しかったです。

三浦沙良さんの自筆

その後『ブラッディチャイナタウン』が連載になり、この時も私はとてつもないひどい目に遭って、裁判も考えていたのですが「こんな目に遭う位なら本当は私は漫画なんてもう描かない方がいいのだろうか」とさすがに目の前が暗くなったのですが、この時も三浦さんがはげましてくださり、Twitterにも感想を投稿してくださり、最後まで応援してくださいました。
『ブラッディチャイナタウン』には、三浦さんご自身が横浜中華街に思い出があり、なくなったお父様が中華街を大好きだった事なども聞かせていただき、いつか一緒にいきましょうね、とふたりで語り合っていました。
そして今年になって、ブラチャイのカラーが沢山たまったので出来心からこれをまとめて同人誌を作ろうと考え、三浦さんにアドバイスを求めたところ、無償で校正をやらせてほしいと申し出てくださり、申し訳なく、しかしありがたかったのでお願いすることになりました。

『かなやと柘植のブラチャイ横浜さんぽ』

こちらの校正作業がとにかく凄くて、三浦さんの実力には驚かされました。ふつうは気が付かないところもズバっと指摘されたり、言葉や文章を訂正されたり、ほんとうにつぶさで鋭いところまで読んでくださり、また「この本に関われてうれしい」と喜んでくださいました。
本当にありがたくて、奥付にお名前を入れたいと話したところも当初遠慮されたのですが私からお願いして入れさせてもらいました。

校正協力に三浦さんのお名前を入れました

まさかこれが三浦さんとの最後のお仕事になるとは思っていませんでした。
こんなに早く世を去ってしまうとは今でも信じがたいのですが、思い返して三浦さんのTwitterを遡って見ると、いつも三浦さんの好きな事、愛する事、楽しい事、美しい事、美味しい事に満ちていて、楽しい時間を沢山味わっていらしたと思います。しかしできれば心から私の作品を愛してくれて、苦しい時にも支えてくださった三浦さんと、もうすこし一緒に過ごして、出来れば中華街に行きたかったです。後悔しないように人生を生きるのはなかなか難しい事ですが、人との出会いはやはり何よりも大切な事だと、三浦沙良さんの事を思うたびに心でかみしめています。ありがとうございました。

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