見出し画像

最適化コンピュータ開発に挑むAMOEBA ENERGYがエンジニアにとって”最高の環境”である理由

粘菌の特徴から着想し、最適化に特化した『アメーバコンピュータ』の開発に取り組むAMOEBA ENERGY。斬新なアイデアから生まれた同社のプロダクトの具現化には、長期的かつ高度な研究開発が求められる。エンジニアとして同社にジョインした若宮遼が、現場の視点から見たアメーバコンピュータの魅力と、AMOEBA ENERGYの職務環境について語る。

語り手 │ Amoeba Energy株式会社 エンジニア 若宮遼
聞き手 │ Amoeba Energy株式会社 CEO/代表取締役 青野真士

“世界初”を成し遂げた経験を活かし、『アメーバコンピュータ』の進化を担う一員に

――私と若宮さんが出会ったのは2013年、北海道大学の学部4年生のときでした。
若宮:当時は研究室で卒論を書くにあたって、『電子アメーバ』の研究に取り組んでいました。その後、修士課程に進んでからも電子アメーバの研究を続け、2016年には世界で初めてのアナログ回路によるアメーバコンピュータをつくることに成功しました。

――若宮さんの研究に取り組む姿が、とても印象に残っているんです。窓の外に雪が降りしきるなか、黙々と回路を組み立てていましたね。
若宮:当時粘菌というものはまったく知らなかったのですが、生物に着想を得たコンピューティングという点に興味を持ちましたね。3年間研究しているうちに、そのおもしろさがどんどんわかっていったんです。

『アナログ電子アメーバ』の特徴のひとつは、電子デバイスの個体差やノイズである“ゆらぎ”を計算に取り入れることです。従来は排除すべき対象であったゆらぎを逆に利用するということが特におもしろいと感じました。そういうアナログコンピュータが、将来的には最先端のコンピューティングのパラダイムを拓くことになるのではないかという期待感もありました。

AMOEBA ENERGYでいま取り組んでいる『デジタル電子アメーバ』をものにできれば、その先には私が研究していた『アナログ電子アメーバ』の世界が広がる可能性もあると思っています。そういう未来を想像して、いまからワクワクしています。

――昨年AMOEBA ENERGYにジョインしないかとお声がけしましたが、率直にどう感じましたか?
若宮:AMOEBA ENERGYのことは風の便りで聞いていたものの、まさか自分に声がかかるとは思っていませんでした。お話を聞いて、まずアメーバコンピュータの応用先がこんなにも具体化しているのか、ということに驚きました。私が研究していたアナログ電子アメーバがデジタル化し、さらには事業化まで進んでいることを知って感動しましたね。はじめは純粋に応援したいという気持ちでしたが、何度かお話を聞くうちに、その技術領域や将来性、応用先についてどんどん魅力を感じていって……。

――最終的に何がジョインの決め手になりましたか?
若宮:アメーバコンピュータを軸に事業を展開しようとするAMOEBA ENERGYは、アメーバコンピュータの進化がそのまま利益や企業成長に直結します。エンジニア視点でもわかるこのシンプルさに惹かれて、入社を決めました。

仮説と検証を繰り返す日々の先に見える、アメーバコンピュータ実用化の未来

――ジョイン後、改めてアメーバコンピュータのどのような点に高揚感を感じますか?
若宮:やはり応用先の想像がついて、それが実現できそうだと感じられたことです。さらにその事業を広げていくことも容易に想像できたので、今はワクワクしながら開発に臨んでいます。

――開発していておもしろいことは?
若宮:プログラム上に表現した個々のアメーバ足の状態遷移は、難しいものではありません。しかし、私たちは複数のアメーバ足たちがあるルールに従ってローカルに相互作用するように制御することで、全体として目的に適った探索を行うように誘導し、複雑な問題の解を得ようとしています。ここでアメーバ足の挙動やルールのほんの一部を変えるだけで、全体の結果は大きく変わります。ときには解に到達できなくなったり、逆に性能がガラっと良くなったり。生きものを扱うように仮説と検証を繰り返してアメーバコンピュータを進化させていくことに、醍醐味を感じています。

――まさに「複雑系」ですね。私がかつて研究していたテーマにつながるところでもあります。若宮さんの目から見て、計算機としての新しさはありますか?
若宮:多数のアメーバ足たちの状態遷移を並列処理することが可能で、しかもほとんどの変数の状態値が高々3階調程度の整数値だけで表現できます。実数値の足し算や掛け算などの浮動小数点演算は、どこにもあらわれません。また、確率的にサイコロを振って値を決めるような処理が多いのも独特です。そのため、浮動小数点演算に優れたGPUを使って実装するのではなく、アメーバ処理だけに特化した専用チップの開発を目指しています。この開発が成功すれば、アメーバコンピュータの計算速度は飛躍的に上がるでしょう。その未来を考えると、今からとても楽しみです。

開発に集中できる環境や信頼に基づく人間関係が働きやすさをつくる

――AMOEBA ENERGYの現状と今後について感じていることを教えてください。
若宮:『ヤワラカい最適化エンジンで世界を救う』という言葉が目指す未来を描きつつ、現在は共同開発企業の課題解決に向けてアメーバコンピュータを進化させている途上です。現在の取り組みも非常に難度の高いものですが、これを乗り越えたら、また別の分野にアメーバコンピュータを広めていくことができると確信しています。あらゆる企業や業界がアメーバコンピュータを利用する世界はまだ先のことですが、その成長を支えていきたいと思っています。

――ちなみに私(代表の青野)に対する印象は……?
若宮:正直、まだ全貌がつかめていません(笑)。学生の頃に初めてお会いしたとき、青野さんだけTシャツで来たことが印象に残っていて。ふつうは研究者や先生らしい服装をして来る方が多いですからね。

――TPOはわきまえていますよ(笑)。印象に残ったなら狙い通りですね!
若宮:(笑)。あれから年月が経ちましたが、青野さんは当時の印象のままの方です。常識にとらわれず斬新だけれど、その根拠は緻密に考え抜かれている。そこに私は研究者らしさを感じますね。青野さんが現在掲げている、“次のNVIDIAになる”という目標も非常に野心的で、一見すると荒唐無稽に感じるかもしれませんが、その根拠はしっかりあります。仕事を一緒にする仲間としても、こちらの質問や要望に真摯に対応してくれます。自由に働かせてもらっていて、信頼していただいているという感覚も強く、とても働きやすいです。

――働きやすさの面について、働き方についても教えてください。
若宮:私は地元である札幌でフルリモートで働いています。必要に応じて月1回程度東京のオフィスに出張し、そのほかのやりとりは基本リモート会議とSlackで行う形です。私は一度関東で生活していましたが、いつか札幌に戻って家を構えるという夢があったので、現在の働き方にはとても満足しています。これまで経験してきた職場と比較して、ほとんどの業務時間を開発に集中できるので、非常に助かっています。スタートアップだから他の雑務なども増えるのでは……と不安だったのですが、全くそういったことはありませんでした。ひたすら開発だけに専念している毎日です。

――どんな人がAMOEBA ENERGYに向いていると思いますか?
若宮:私はこれまで市場ですぐ使われる製品やサービスの開発に携わることが多かったのですが、そういった環境では何か課題が見つかったとき、その解決策をすでに世の中にある成功事例から模索しようとします。一方、AMOEBA ENERGYでは、課題の解決策を自分自身がアメーバコンピュータに向き合うことで見つけ出していくイメージが強いです。あくまで個人的な感覚ですが、社会人になってから経験した職場よりも、「研究」に近い能力が要求されますね。次々に直面する課題にもへこたれることなく、自分の創意工夫で解決策を生み出し、粘り強く一歩一歩前進していく力が必要になります。そういった仕事や環境が好きな方は、AMOEBA ENERGYのエンジニアに向いていると思います。

――最後に、AMOEBA ENERGYに来てほしい方にメッセージをお願いします!
若宮:私たちが向き合っているのは、アメーバコンピュータという技術を進化させることが自分と会社の成長に直結する、とてもシンプルな戦いです。その先には、コンピューティングの世界で日本からテクノロジーイノベーションを起こすという壮大な夢があります。目標がとてつもなく大きいだけに、開発サイドとビジネスサイドのメンバーが力を合わせ、オリジナリティとクリエイティビティを全開にして取り組む必要があります。ぜひ共に戦っていきましょう!

AMOEBA ENERGYにお気軽にcontactください!

メール:public@amoebaenergy.com

記事執筆|宿木屋
写真|上野なつみ

この記事が参加している募集

仕事について話そう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?