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野球殿堂入り特別表彰選出者について考える

 1月16日、今年の野球殿堂入りのニュースが報道され、プレーヤー表彰は該当なし、エキスパート部門には元阪神・西武の田淵幸一氏、特別表彰には慶大元監督の前田祐吉氏、早大元監督の石井連藏氏と決定した。だが、同時に特別表彰者を選出する投票にはこのような状況であるとの報道も見られた。 

 プレーヤーやエキスパート表彰のように順次票を伸ばしていくケースではなく、昨年の3票から一気に票数を伸ばしたことには違和感があり、特別表彰選考委員に対するロビー活動が行われた感は否めない。実は最近10年間に限ると特別表彰当選の14人中、10人までがOB会の結束力が高い東京六大学関係者で占められている。もちろん各人の功績は高いにせよ突出しすぎと思うのは私だけだろうか。(スポーツ報知 https://hochi.news/articles/20200116-OHT1T50058.html)

 そもそも「公益財団法人野球殿堂博物館」には野球殿堂は「日本の野球の発展に大きな貢献した方々の功績を永久に讃え、顕彰するため創設されました」とあり特別表彰の資格要件としては
①現役を引退したアマチュア野球の競技者(選手、コーチ、監督)で、選手は引退後5年、コーチ、監督は引退後6ヶ月以上経過している人。
②プロ及びアマチュア野球の審判員で、引退後6ヶ月以上経過している人。
③プロ及びアマチュア野球の組織または管理に関して野球の発展に顕著な貢献をした人、しつつある人。
④日本の野球の普及及び発展に顕著な貢献をした人、しつつある人
以上4項目に該当する方が選出される訳で、今回選出された2名も要件を満たしているので問題は無いものの「近年の六大学野球の関係者が選出される割合が高い」「ロビー活動(要は根回し・グル)にて投票者を決めている」事実が高そうであることから、特別表彰の選出方法に疑問を持たざるを得ない。特別表彰は六大学野球関係者の箔付けのため私物化されていると言ってもおかしくない状況に感じられる。
 別に選出されたからと言って、名将と呼ばれ野球殿堂入りしても問題無い素質や実績があればそれはそれで構わないが、持論を展開させてもらうと「彼らより日本の野球発展に計り知れない影響力を持った人物がいる。その人が選出されないことがおかしい」ということ。

 その人物は誰か?私が真っ先に思いつくのはマンガ家の水島新司である。

 彼がどんなマンガ家か説明する必要は無いだろう。野球漫画の第一人者であり、ドカベン、大甲子園、球道くん、一休さんなどの高校野球、野球狂の詩、あぶさん、ドカベンプロ野球編、などプロ野球を題材に扱ったマンガを描き、プロ野球選手となった選手の中には「ドカベンを読んで野球を始めました。プロ野球選手になろうと決めました」という方が今まで何人いただろうか。

 また「あぶさん」は主人公の景浦安武が1973年にドラフト外で南海で入団し当時の南海だけでなく他のパリーグのチーム・選手をタイムリーに登場させていた。1970~90年代は野球中継は巨人が中心でセ・リーグの情報は入りやすいものの、パ・リーグの情報と言えば、中継も乏しくラジオ放送も文化放送の「ライオンズナイター」程度。試合結果も「プロ野球ニュース」の深夜放送を除けばニュースや新聞で僅かに触れる程度の時代。それが連載されていたビックコミックオリジナルで月に2回タイムリーなパ・リーグ情報や現状に触れられるのは大変貴重だった。単行本も読み返すと当時(1970年後半~1990年代)のパ・リーグの状況が分かり、ある意味歴史的資料と言っても過言ではないだろう。

 このようにプロ野球選手の人生に影響力を与えただけでなく、陽の目を殆ど見ることができなかった時代にパ・リーグを長年世間に発信し付けてたにも関わらず「何故殿堂入りできないんだ!」という無念さが野球ファンの私として年々強まっている。
 野球殿堂、特別表彰の真意について改めて考え直してほしい。決して一部の集団が箔をつけるため私物化する者ではない。純粋に日本の野球の発展に寄与した人物を選んで欲しいものだと切に願いたい。

野球関連の事柄を書きます NPB:千葉ロッテ、BCL:埼玉武蔵ヒートベアーズファンです