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初夏に限りなく近い春の夜半に【詩】

記憶の鍋をぐるぐる引っ掻き回し
アクをとる

顔色の悪い老人の横を通りすぎる
果たして自分なのか別人なのか

LINEの通知が鳴る
おそらく誰からでもない何かだろう

昼のあたたかい陽気が嘘のように
半袖にマウンテンパーカーを羽織っただけの体は薄寒さに震えながら

要するに晩春の憂愁に閉ざされている


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