ドライブイン•シネマというスタイルの映画館を知ったのは、貧しいタンザニアの首都(当時)ダルエスサラームであった。日本でも見たことのなかったこのスタイルの映画館がこの国にあるということが不思議だった。ここだけ別格の雰囲気があった。

大きな野外スクリーンに車で乗り付けて、映画を楽しむ。昼間の暑さも忘れるほど夜気が心地よく開放感に浸れた。野外スクリーン故、タンザニア人たちは映画館の外からこの巨大なスクリーンを見ることができた。木に登ったり、壁に登ったりと館外は黒山の人だかりだ。オートバイ族の我々は地面に座って鑑賞する。そこで売られていた「サモサ」(サンブーサとも言っていた。三角形の形をした春巻きのような揚げ物。カレー味だったからインドの食べ物だろう)を食べながら。

この時見たのが「ディアハンター」ベトナム戦争の悲惨さとあのロシアンルーレットのビリビリする恐怖感がいつまでも心に残った。もう何十年も前のことで、詳細は忘れてしまったけど、その時知ったロバート・デ・ニーロという俳優。いい俳優だと思った。

夜風と野外スクリーンとサモサ。今でもあのドライブイン・シネマ、あるのだろうか？

#映画館の思い出