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「ウクライナ語で叫びたい」(NHK ドキュメンタリーから)ウクライナ🇺🇦の人々に思いを寄せ続けたいー何もできない無力感にさいなまれながらでも・・・(11)

「ウクライナ語で叫びたい」(NHK ドキュメンタリーから) 

私の全く知らなかったウクライナの実情であった。このドキュメンタリーの主人公はNHKのウクライナ人女性ディレクターである。彼女が語る母国、母語とアイデンティティの問題。それらが複雑にからみあう狭間で苦悩する彼女の姿を見て、プーチンが大義名分に使った「ロシア語を話す国民の救済」とか「ロシア語話者が差別されている」などと言う単純なスローガンが、いかに虚偽と欺瞞に満ちているかを知った。

彼女にはキーウ近郊に暮らす両親と妹がいる。ウクライナ人だが、家族の日常語はロシア語だったそうだ。楽しかった子供時代の思い出は全てロシア語と共にあった。ビデオの中には、ロシア語で歌い踊る子供時代の彼女の姿があった。

しかし、2014年ロシアのクリミア侵攻を境に、父親はロシア語をやめウクライナ語を使用するようになった。つたないウクライナ語を話すようになった父にすれば、ロシア語は自分にとっては武器だからだと言う。家族の中では、父親以外の三人はロシア語を使い続けた。ロシア語とウクライナ語は6割がた似ているそうだ。人生の途中でそんなことが起こるとは。今まで慣れ親しんだ言葉を捨て、違う言葉に切り替える!

日本にいて、2022年2月24日ロシアのウクライナ侵攻を知った彼女は、怒りと恐怖と混乱状態に陥る。再び母国と言語とアイデンティティの問題に苦しむ。プーチンが言う「ロシア語を話す人々の救済??」。「私たちはロシア語を話すけど、誰もプーチンに救済なんか求めていない」と言う彼女。そして「プーチンはこの侵攻で、私たちを一層ウクライナ化した」とその皮肉な事態に苦笑いする。

自分はロシア語を話すけれど、ウクライナの国を愛するウクライナ人だ。苦しんだ結果、侵攻以降「今まで自分が悩んでいたことはどうでも良くなった」と彼女はロシア語をやめウクライナ語を選ぶ。

一国一言語の日本では起こり得ない事態だが、世界のある国では、このように複雑に入り組んだ状況が存在している。かのゼレンスキー大統領もロシア語話者だったようだ。

この話からすると、プーチンの言う「ロシア語を話す人々とか親ロシア派の救済」とはなんだ。ウクライナでは日常的にロシア語が使われているのに。「親」も「反」もないだろうに。侵行したばっかりにロシア語を話してきたウクライナ人をウクライナ語しか話さないウクライナ人にしてしまったようだ。

プーチンの大義名分が虚偽と欺瞞と悪意に満ちたものであることがより一層明確になった。ウクライナでの虐殺と破壊行為をプロパガンダで正当化し国民を欺き続ける為政者のウソに気づいて立ち上がってほしい。ウクライナを救うには、ロシアの人々の力が必要なのだ。

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