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#23 熟字訓まつり①

遅い。とにかく遅い。


今月のnoteに何を書くのか、
最近、決まるのが本当に遅い。

名前集めは日々、狂ったようにしているのだが
これというトピックがなかなか思いつかない。
そのくせ、トピックが決まったらどんどん書きたいことが浮かんで、長くなるのだ。

まあそんなわけで、過去の記事を見返して
何か題材はないかと探していたのだが、
数日かけてようやく内容が固まったので
こうしてnoteを書き始めている。

また今日も、なんだかんだ長くなりそうだ。



あ、そういえば。

"ようやく"で思い出したが、
"漸く"と"暫く"が長いことごっちゃになっていて
"漸く"を見ると"しばらく"と読んでしまい、
「いや違う、"しばらく"じゃないんだよな、なんだっけ?……ああそうだ、"ようやく"だ」
と無駄に時間を要していた。

それが最近やっと覚えて、
一撃で"漸く"と"暫く"を読み分けられるようになったのだ。大いなる成長である。✌︎


ちなみに"漸く"と"暫く"を検索してみると、
この並びに"悉く"も入っていた。

いや、"悉く"はどう見ても"ことごとく"でしょ!
字形も違うし、間違いようがないって!笑


……と、誰に向けてか分からないマウントをとったところで、本題に入ることにする。



過去の記事から見つけた題材というのは、
#2で取り上げた熟字訓というものだ。

熟字訓とは、七夕(たなばた)/梅雨(つゆ)/紫陽花(あじさい)/田舎(いなか)など、
決められた漢字の並びのときに初めてそう読む
特別な読み方をする言葉
のことで、日本語にはたくさんの熟字訓が存在する。

本来、漢字と読みを切り離すことはできないのだが、それらをぶった切って名前に使用する例が数多くあり、それを③熟字訓ぶった切りという名前の分類として、#2で説明した。

そこでは、私が集めた2019年度生まれの子どもの名前の中にあった③熟字訓ぶった切りの名前の例をいくつか記載したのだが、
その後、生まれ年関係なく収集した大量の名前を整理していたところ、他にもたくさんの熟字訓を使用した名前が見つかったので、
一覧にしてだだーっと紹介していこうと思う。


(今回の記事のみで終わらせる予定だったが、
一度に書くには種類が多すぎるので今回は前編ということにする。次が後編になるのか、中編があるのかはまだ未定である。)



熟字訓ぶった切りいろいろ

▼明日【あした・あす】

🚹多(あした)
🚺彩夏(あか) 愛花(あか)
  朱菜(あな) 天奈(あな)

✍️誰もが読める熟字訓。女の子の名前では「あす」を「明日」にせず、「あ」の部分に他の漢字をあてる例が見られた。



▼飛鳥【あすか】

🚹真(あすま) 希(あすき)
  陽(はる
🚺伽(あすか)
  飛美(み) 玲(り
  美(み
  朱(あすか

✍️「飛=あす」「飛=あ」「鳥=か」「鳥=すか」という、4パターンが見つかった。
「飛=あす」というぶった切りの名前は昔からあるようで、NHKの酒匂翔(あすか)アナウンサーは1986年生まれである。



▼和泉【いずみ】

🚹海(いずみ)
🚺美(いずみ)

✍️字面だけを見たら、「かずみ」と読まれるに違いない。



▼大人【おとな】

🚹凜(りとな

✍️この名前をはじめて見たとき、なぜ「人=とな」なのだろう?と疑問に思い、「大人」から来ていることに気づいた瞬間、これはすごい!と衝撃を受けたのを覚えている。
熟字訓ぶった切りの奥深さを感じた名前だ。



▼陽炎【かげろう】

🚺千(ちかげ

✍️「陽=かげ」「炎=ろう」というぶった切り方もわかりやすく、熟字訓ぶった切りのお手本のような名前だと個人的に思っている。



▼花梨【かりん】

🚹太郎(りんたろう)
🚺りん)  愛(りんあ)  実(りんみ)
  結(ゆりん)  舞(まりん

✍️「花梨」や「梨」は女の子の名前のイメージが強いが、男の子の名前にも使われている。



▼如月【きさらぎ】

🚺良(きさら) きさら

✍️「如月」、私は綺麗な響きだなあと思うのだが、その由来は「衣更着(きさらぎ)」=「厳しい寒さに備えて重ね着をする季節」というものだそうで、生活感が強くてなんだかあんまりお洒落じゃない。



▼今日【きょう】

🚹朱(しゅ

✍️「今日」という言葉は見慣れすぎて、「日=う」という視点で見たことがなかったので、どうして「う」に「日」をあてているのかすぐには分からなかった。
「日=う」ととれる言葉は、他に「昨日(きのう)」や、京都府の「向日(むこう)市」なんかもある。



▼果物【くだもの】

🚺玲采(れあ)

✍️「果=く」ってなんか見たことあるな、から「果物」の「く」かあ!と気づいたときのスッキリ感。ちょっとした謎解きの気分ですらある。



▼胡桃【くるみ】

🚺來(くる) 一(いつ
  桃姫乃(きの) 優(ひろ)
  胡海(くるみ)
  紅(くるみ

✍️専ら女の子の名前で、「桃=み」「胡=くる」「桃=るみ」の3パターン。



▼独楽【こま】

🚹優(ゆう

✍️「ま」の響きに使われる漢字は「真」「眞」「馬」「磨」「麻」「茉」「舞」などたくさんある中で、「独楽」のぶった切りを用いる独創性。
名前って面白いなあと思うのは、こういう名前に出会ったときだ。



▼飛沫【しぶき】

🚹稀(しぶき)

✍️名前で「しぶき」と言えば、小説『DIVE!!』の登場人物が思い浮かぶ。だいぶ昔に読んだので、どういう話かいまいち覚えていないのだが。
調べたら、彼の漢字はそのまま「飛沫」だった。



▼玉響【たまゆら】

🚺ゆら)  羽(ゆらは)  真(まゆら

✍️「玉」がそのまま「たま」なので、「響=ゆら」も読めそうな気がするが、正しい音訓読みや名乗り読みではない。
ちなみに「玉響」とは、「ほんのしばらくの間」「一瞬」という意味。



▼永久【とわ】

🚹和(わ) 歩(む)
  遥(はる) 景(けい
🚺愛(あ) 美(み
  幸羽(こは)

✍️最近の子どもの名前では、「と」にあてる漢字として定着しつつあるように思う。
有名人では、Kis-My-Ft2のメンバー・千賀健(けん)の例がある。



▼朱鷺【とき】

🚺和子(わこ)

✍️こちらも、気づいたときにスッキリした系の名前である。



さて、今回はここまで。

結構長い記事になってしまったが、
熟字訓ぶった切りネームの紹介は全く終わっちゃいないので、続きは来月書くことにする。




ところで今日は、
戸籍の氏名に読み仮名を記載する、そして
読み仮名の付け方に一定のルールを設けるよう
戸籍法を改正する検討を進めている審議会が
その要綱案を取りまとめたというニュースが出た。

去年の6月(#16)にこの改正案について
自分の考えや疑問などを書いたのだが、
私の興味はやはり、いわゆる「キラキラネーム」がどういう扱いになるのかという部分である。

とりあえず現時点では、
すでに使われている読み方については基本的に認め、今後も反社会的なものなどを除いて認められる余地を大幅に残すということだ。
私は自由な名前の文化を愛しているので、
それが閉ざされないことを願っている。

認めるものと認めないものの詳しい線引きなど、
#16で書いた疑問は解消されていないが、
今後も名前オタクとして、流れを注視していきたい。


それでは、次回に続く。





※上記の名前は、誰でも閲覧可能なネット上に載っていた名前です。

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