Zelsuvmi (berdazimer)が伝染性軟属腫(水いぼ)の治療薬として承認された

Zelsuvmi (berdazimer)が水いぼに対する治療薬としてFDAに承認されました。

【水いぼとは】
水いぼは伝染性軟属腫ウイルスが皮膚に感染することが原因で生じる病気です。
小児で発症することが多く(小児の5〜10%)、特にアトピー性皮膚炎などで皮膚のバリア機能が低下している小児で発症しやすいです。成人においては稀ですが、HIV感染症などで免疫機能が低下している患者で認められることがあります。
1~2年程度で自然治癒しますが、接触やタオル等の共有により伝染すること、見た目が気になることなどから積極的に治療することがあります。
積極的に治療を行う場合、ピンセットでつまみとったり、液体窒素で凍結させたりする方法がありますが、痛みを伴います。
2023年にYcanth (cantharidin)が水いぼの治療薬として承認されました。Cantharidinは伝統的に水いぼの治療に利用されてきたハンミョウなどの虫の体液中に含まれる物質で、水いぼの部分に塗布することで水疱を生じさせ、ウイルスに感染した表皮を剥離することができます。劇薬なのでピンセットや液体窒素を利用する方法と同様、何度も病院に通って医療従事者の治療を受ける必要があります。

【作用機序】
Zelsuvmiはberdazimerを10.3%含むハイドロゲルです。BerdazimerはポリシロキサンポリマーにNO(一酸化窒素)供与体を結合させた構造をしています。NOは強い酸化作用やニトロソ化作用があり、非特異的な抗ウイルス作用および抗菌作用を示します。

【臨床試験】
B-SIMPLE試験(NCT03927716, NCT03927703, NCT04535531)は二重盲検化された試験で、1,598人の水いぼ患者に対して偽薬(ハイドロゲルのみ)および10.3% berdazimerが12週間にわたって毎日1回患部に塗布されました。偽薬を塗布された患者の19.8%に対して10.3% berdazimerを塗布された患者の30.0%で水いぼが完全に認められなくなりました。副作用として患部の痛みや紅斑が認められました。https://doi.org/10.1016/j.jaad.2023.09.066

【その他】
Berdazimer含有ハイドロゲルはにきび(尋常性ざ瘡)に対する治療薬としても開発が進められていますが、偽薬群と比較した臨床的な差をはっきりと示すのに苦しんでいますね (NCT02667444 NCT02672332 NCT02798120)。


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