MAMAMOO、それは私が見た光

MAMAMOO《ママム》。結成9年目のベテランK-POPガールズグループ。歌、踊り、パフォーマンス、全てが高水準で、特に歌唱力においては「信じて聞くママム」というキャッチコピーまでつけられるような実力派。
そして、2023年現在、私名倉有夢《あむ》の最推しだ。つい先週末、ソウルにて行われた全世界ツアーのアンコール公演に3日間参戦してきた。海外旅行なんて行ったことないのに! それもひとりで! 相当勇気とお金が必要だったが、オタクには往々にして覚悟を決めて決断する瞬間がやってくるというものだ。
書きたいことはいっぱいある。3万字くらい書けると思う。卒論かよ。でもそれじゃ読んでもらえない。ひとりでも多くの人に読んでもらって、ママムの素晴らしさを伝播したい。ああ、私はなんて無力なんだろうな。もっとインフルエンサーとかになれてたらよかったんだけれど。

前置きはいい。ここでは、ありきたりな出逢いの話をしよう。ありきたりということは、誰に降りかかってもおかしくないということであり、つまり何が言いたいかと言うと、本稿を読んでいるあなたにも同じように、鮮烈で人生を変えるような出逢いをしてほしいと思っている。
2020年。虹プロが流行っていた。BLACKPINKがレディー・ガガとコラボしていた。そういう時勢だった。コロナ禍が始まった。YouTubeを観る時間が増えた。そういう時勢だった。
ふむ、K-POP聴いてみよう。思い立って、BLACKPINKのMVを観てみる。確かにどれもこれもかっこいいじゃないか。聞くところには、この手のガールズグループをガールクラッシュと呼ぶらしい。同性に憧れられるような、ガールズをクラッシュする存在。いいじゃないの。まんまとクラッシュされた私は、深く考えずにおすすめ欄に出てきたHIP -Japanese ver-をクリックした。どれどれ、サムネイルからしてゴリゴリに女性受けだし、これもガルクラなんだろうなぁ。
クラッシュなんてレベルじゃなかった。
脳天を突き抜けるような衝撃と、こういうのが見たかったんだという納得は、両立する。
神様が居るとするならば、きっと今はGoogleに勤めているのかも知れない。私は「運命」という言葉が好きだが、まさしくそうとしか言いようがなかった。
そこからすべては始まった。
発音が綺麗な日本語。貶す意図などないが、10数年前のK-POPより格段に片言感がない。念を押しておくが本当に貶す意図はない。というか10数年前のK-POPについてはド世代である。推すほどではなかったにしろ、普通にKARAとか東方神起とか結構聴いていた。ということはK-POPにハマる下地はあったのかも知れない……。
余談だが、ソシ(少女時代)もKARAも去年カムバ(リリース)していてぶち上がったよな。当時どちらかと言うと後者派だった。KARA先輩、何故かRBW(MAMAMOOの所属事務所)に買い取られてて何となく笑ってしまった。When I Moveめっちゃいい曲。好き。
閑話休題。
まず、多くの人はファサの他とは一線を画す個性的なルックスに目を向けるだろう。HIPのMVでの真っ赤なリップが、まるで人でも食べたのかと思うくらいで、恐ろしいほどよく似合っている。韓国人にしては色黒。スレンダーが主流のヨジャグル(女性アイドルグループ)には珍しい、メリハリのついたグラマラスボディ。三白眼にまつ毛バシバシ。パフォーマンス中によくするしかめっ面。好き嫌いは別れるだろうが、……そして実を言えば私もその斬新なルックスに最初こそ度肝を抜かれたものだが、何故だか目が離せずずっと見ているうちに、こんなに美しくて愛らしい人は居ないなと考えを改めてゆくこととなる。
大胆で、時に炎上するほど煽情的なパフォーマンス、重心が低くてダイナミックなダンス、ハスキーで深い色気たっぷりの歌声、優雅で絵になる仕草の数々。彼女こそ歩くゴージャスそのものだ。Divaという言葉がぴったりである。何を着ても絵画のようで、そりゃハイブランドのモデルに匹敵されるのも頷けるというもの。彼女は、本人が明言している通り、「新しい美の基準」を体現しているのである。だが、それだけではない。すっぴんでバラエティ番組に出て、美味しそうにご飯を食べて、くしゃっとした、何だかあどけない笑顔を浮かべながら、マイペースにのんびりと喋る。そんなステージ上との激しいギャップ。こんなの、好きにならずに居られるか!
次に、大抵の人はムンビョルの、体躯こそいちばんスレンダーで華奢なのに、男性キーと聞き間違えるほどの低音でラップしている意外性にやられるのではないだろうか。オク下ハモリを担当していることも多く、ラッパーだからと言って決して歌えないということはない。というか、歌唱サバイバル番組で普通に優勝していた。ラッパーが歌唱サバイバル番組で優勝するの、どゆこと? 彼女は音楽科出身で、そもそもメインボーカルとしてデビューするはずだったのだ。そんな人がラッパーをやっているグループの歌唱力はつまり……まあ、聴いてみてほしい。
そして、何を隠そう彼女こそまさしくMAMAMOOのガールクラッシュ担当である。曲中、バースが始まれば、彼女はいとも簡単に全員の視線を掻っ攫っていく。ラッパーという性質上、曲によっては見せ場が少ないこともあるのだが、彼女のショーが始まった途端、聴き心地のよい低い声にも、すらっとした体つきにも、長い手足を活かして軽やかに踊る姿にも、聴き入り見惚れることしかできない。あまりメンバー間を比較することは言いたくないが、誰にどう聞いてもムム(MAMAMOOのファンネームで、「大根」という意味がある。ペンライトは「ムボン」と呼ばれ大根型をしている。是非1度見てみてほしい)内1位の人気を誇る彼女。一挙一動、パフォーマンス中の挑発するような表情、それにメンバーやファンから「くどい」「ギトギト」と評されるねっとりとしたファンサ、すべてに黄色い歓声が挙がる。女性ファンが9割とも言われているMAMAMOOの、特に女性ファンが多い人、それがムンビョル。裏付けるような体験談としては、コンサート初日、ファサやフィインが見えるスタンディングエリアにしたら前列は背の高い男性ばかりだったのに対し、次の日ソラやムンビョルが見えるエリアにしたら前が女性ばかりでとてもよく見えた、等がある。
さて、あと2人。最初は見分けがつかなかったりするのではないか? 彼女たちは自グループの曲名に準えて自分たちのことを「デカルコマニ(ー)」と呼んだりするほど似ている。HIPのMVで、顔に傷を作ったりしている金髪のおねえさんがソラで、青い髪のいかにもシャレオツな女の子がフィインだ。彼女たちの見分け方は、パッション溢れるほうがソラ、エモーショナルなほうがフィイン。
わかるかボケ。
まあそう言わず。
我らがMAMAMOOのリーダー。声量抜群、時に音割れまで起こすパワフルボイスの持ち主がソラだ。彼女のシャウトが背骨になっている曲の多いこと。目鼻立ちくっきりのわかりやすい美人だが、なかなか過酷なボディメイクを行っているため可愛らしい顔に反してムッキムキである。それが歌声にも反映されているのかも知れない。YouTubeチャンネル「Solarsido」をやっており、金の盾保有者だ。彼女のチャンネルにあがっているボディメイク動画を試したら2分と保たなかったので、そこからも彼女のマッチョ度合いが計り知れる。ソラが挑戦する(韓国語で「シド」)と名付けられた本チャンネルは、親知らずを抜いたりスカイダイビングをしたりアグレッシブな一方で、ホッキョクグマキャンペーン等社会派な内容のときもあり、彼女の天真爛漫さと聡明さが両方味わえる。歌メドレー等もあり、韓国語や英語がわからなくても見やすく、彼女の抜群の歌唱力が楽しめておすすめだ。ちなみに「同僚1」としてしょっちゅうムンビョルが出てくる。2人はとっても仲良しなのだが、それについて話すと5万字は書けるので省略する。
元々はCAを目指していたそうで、語学が堪能なのか、主観だが日本語の発音がいちばん上手い。メンバーやファンからよく「美人なバカ」と呼ばれているし、確かに普段の振る舞いは天然ボケ大炸裂なのだが、実は誰よりも真面目で敏いのではないかと私は思っている。かなり我が強い他3人をリーダーとしてまとめようと、ときに厳しく強く接することも多かったそうだ。実生活では姉しか居ない末っ子だったのだから、「オンニ(韓国語で、女性から女性を呼ぶ、『お姉さん』)」としての苦労は想像を絶するものだっただろう。楽曲内でもグループ内でも、彼女が大黒柱なのである!
少女のようにピュアでイノセントな外見と元気で明るい性格をしているものの、「ゴリッゴリに年上のチャラ男と付き合ってま〜〜〜〜〜すクラブ入り浸ってますが??????」みたいな(比喩ですよ)セクシーさと魔性を併せ持つのがフィインという女性である。そうです、ここが沼です。フィインペンみんな狂い方がおかしい(偏見)。あんまりメンバー間を比較することは以下略、歌唱力、ダンスの上手さ、表情管理、すべて頭ひとつ飛び抜けている。とにかくすごいので、とにかくすごいしか書くことがない、逆に。彼女だけ既に事務所を移籍しているものの、MAMAMOOとしての活動は今年まで続ける旨の契約を結んでいる。ありがたいことに、事務所を移籍してから、MAMAMOOのシーズングリーティング(カレンダーと手帳とその他諸々のセット)にも参加してくれるのにソロのシーズングリーティングも出してくれるので、ここ2年くらいカレンダーと手帳が2つ以上ある。幸せ。
特筆すべきはやはりその歌声の繊細さだろう。自在に歌い方も声色も変えることができ、激しく踊りつつもほぼ音源通りのピッチで歌い切る。過去の動画なんかを見るとブレてるときがたまにあるから、現在が特に脂の乗った究極完全体なのかも知れない。彼女の真骨頂はバラードにあり、儚い歌い出しからクライマックスの歌い上げまでパーフェクトにこなすため、OSTにしょっちゅう起用されている。だが、ダンスのほうもとんでもない。トーシロの1意見に過ぎないが、リズム感が完璧だ。これのなにがすごいことかと言うと、人間、普通脳から電流で指示を流して体を動かすわけだが、それによる出力遅延が過度に少ない、ないしは予想して動くことができている、ということになる。ならない? なるよね? 余程運動神経がよいのだろうか。ダンスを覚えること自体誰より早いらしく、天才肌を感じさせる。

いや長いて。少しでも魅力が伝わっただろうか? 気になっただろうか? 是非MVを観てみて、私と同じように出逢ってしまってほしい。そして光に目を焼かれ、盲目に彼女たちを信仰しようじゃないか。なんてったって当のファサもソロ曲でこう歌っている。「Excuse you, I'm a 빛(光)(Bichと発音するのでBitchとかけている。よすぎる)」
運命の導きにより私と推しとの物語が始まってしまったからには、終わるまでついていく他ない。彼女たちは既に9年活動している。韓国アイドルには、7年を期に契約満了となるルールが定められており、そのときに、ソラとムンビョルは再契約、ファサは2023年6月中旬までの再契約(つい昨日、円満退社が報じられた。MAMAMOOの活動をどうするかについては続報が待たれる)、フィインは事務所を移籍しつつも2023年末までは活動に参加という契約をしている。
推しは推せるときに推せ。
これが、韓国に飛んだ理由である。オタクには往々にして覚悟を決めて決断する瞬間がやってくるというものだ。
さあ、ムム予備軍かもしれないそこのあなた。もっと早いうちに知りたかったと嘆く前に、今すぐ、MAMAMOOに触れてみてほしい。やらなくて後悔よりやって後悔。たかが4分強だ、Not for youでもそんなに損失はないはず。For youだった場合の推せる期間を考えたら、そっちのほうがロスが大きいと思わないか? 私は今日も今日とて大根畑からあなたを待っている。

HIP -Japanese ver-

余談。
来週から冒頭に書いた韓国旅行記の連載をします!
MAMAMOOについてというよりはなんかこう診断のつくタイプのおっちょこちょい秘話を1ヶ月超に渡り毎週公開していこうと思っています!
韓国に興味のある人、同じようなおっちょこちょい(笑)の人、なんでもいいから文章が読みたい人、その他全員、たくさんの愛とご関心をお願いいたします(K-POPでよく言うやつ)!

https://twitter.com/anagramargura
https://www.youtube.com/@nAgra_aM

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