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人のリアコを笑うな

失恋すると決まっている恋愛ほど不毛なものはない。というのに、何故人々は芸能人やVtuberに恋をしてしまうのか。答えは簡単だ。そういう売り方をしているから。
時折、ガチ恋やリアコと呼ばれる人を嘲笑する声が聞こえる。まあ、聞こえるというのは比喩で、SNSなんかで見かけるという話なのだが。私が最も嫌いなのは、推し・担当の熱愛報道や結婚発表に対して、「こういうときに素直におめでとうって言えないならファンじゃないよ」等とあたかも自身が「正しいファン」であるかのごとくアピールし、本気で恋をしていた人を見下すムーブである。
人のリアコを笑うな。
恋なのだ。叶う見込みがなくたって、本気で慕っているのだ。人の目に、どんなに醜く映ろうとも、心の底から恋愛的に好きなのだ。それを嗤う権利も見下す権利も、貴様にあるものか。
そもそもオタクが醜いと指摘する前に、そんな醜いオタクを作り出すエコシステムがおかしいと思わないか。
事務所が恋の対象として売り出し、芸能人やVtuberが疑似恋愛的な振る舞いをして、それで恋に落ちた哀れなオタクは、お金を吸い取られ、時間を吸い取られ、最後には失恋する。
学習しろ、と思うかもしれない。だが、どうしたものか、リアコ癖というのは繰り返すものである。
中学生の頃、ゴールデンボンバーの歌広場淳が好きだった。メイド喫茶の女性との熱愛報道が出て失恋した。後にメイド喫茶の女性と結婚したと聞いたときは貫いたなあ(よい意味で)と思ったが、結局メイド喫茶の別の女性たちとゲス不倫したときは貫いたなあ(悪い意味で)と思った。
高校生の頃、声優の鈴木達央が好きだった。LiSAとの熱愛報道が出て失恋した。結構あとを引いたもので、2人がそのまま結婚した後も、ずっとやんわりLiSAアンチを続けていた。そして結局、鈴木達央もゲス不倫した。
あれ、もしかして私、クズ男が好きなのか?
そんな2023年、1月にあったヒプノシスマイクのライブを機に、頭から斉藤壮馬さんが離れなくなっている。顔よし、声よし、高学歴しかも文学部出身(名倉は文学部だったので文学部出身の人間がなんとなく全般好きである)、文章も書けて歌も歌えてギターも弾けて作曲もできる。何より、ライブのパフォーマンスが完璧だった。きっと、お忙しい中でも少なくない時間を割いて、このライブに照準を定めてくれたんだな、ヒプノシスマイクを本気で愛して、夢野幻太郎(名倉がいちばん好きなキャラクター)を全力で演じてくれたんだ。感動は感謝になり、やがて恋心に近い何かに変容しそうになって……いくのをなんとか食い止めようと必死である、なう。
こんなに完璧な人間なんだ。裏があるに違いない。31歳だぞ。絶対結婚してるだろ。しててくれ。そしてそれを今すぐ公表してくれ。失恋は早いほうが傷が浅い。
でも、絶対公表しないだろうなとは思う。何故なら斉藤壮馬さんは、ガチ恋営業の声優なのだから。『デート』という楽曲を拝聴して、身にしみてわかった。
失恋すると決まっている恋愛ほど不毛なものはない。やっぱこの売り方、やめませんか。

https://twitter.com/anagramargura
https://www.youtube.com/@nAgra_aM

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あなぐらまえすとろ

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