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必然的な敗北で地に墜ちたメッシ戦術 リバプールvsバルセロナ 2018/19CLベスト4

90年代に退化したバルサ

今さら言うまでもなくメッシとスアレスの2トップに前プレは期待できないのでリバプールのビルドアップを敵陣で食い止める事は出来ない
この2人をディフェンスの組織に組み込めないバルセロナは中盤の4人がその分一糸乱れぬ連携でブロックを作り前線の分までカバーしなければならない

言い替えれば誰か1人でも抜ければその穴を突かれて瓦解してしまうリスクがあるのだ
それは後で結果となって表れる

それにしてもバルサともあろうチームが今更90年代のイタリアのような戦いぶりと負け方を見せるとは

バラバラの意思統一が生んだバルサの失点

リバプールのCKをクリアしたところ前残りのアルバが敵陣深くまでボールを追いかけてしまうが

そもそも根本的な問題でここでSBが無理にプレスをかける必要がどこにある?

こんな間合いからプレスをかけても全く効果は無くミルナーからシャキリにつながれるがここにコウチーニョも上がってきたのでメッシとスアレスで囲い込めば網にかかったかもしれないが

しかし2トップは微動だにせずあっさり間を通されマティブにつながれる(分かりきった事のはずだ)
逆サイドのラキティッチは後方から遅れて上がって来ているので間に合っていない

さあこれでバルサの左サイドはがら空きとなり案の定マティブにそのスペースを狙われアルバは慌てて帰陣する
メッシとスアレスは全くチェックに行かない
しかし右WGのシャキリはこの位置にいるのだから誰もいないかと思いきや

そのアルバの裏のスペースはマネが左サイドから移動して抜け目なく奪っていた
そのマネにアルバのヘディングのバックパスをかっさらわれてしまった
それはアルバの凡ミスと言えば凡ミスである

しかし一つ言えるのは人間は全力で長い距離を走れば走るほど周りが見えなくなりやすいのだ
だからこそフットボールではこんな無駄な徒労が多くなるほどリスクも生じやすいと言える
ましてやコウチーニョに後ろのカバーなど期待できないにも関わらず上がったアルバがいかに不用意だったかという事だ

更に問題なのはこの中盤と最終ラインの間延びでビダルら中盤の選手達がこのロングパスで置き去りにされヘンダーソンを誰も捕まえられずにPA内に切り込まれて失点につながった事だ

すなわちボールへのプレッシャーが不十分なのだから最終ラインを上げられないのは当然
にも関わらずブスケツを除く中盤の選手達全員が不用意に上がり過ぎたのが招いた失点と言える

右サイドの突破が停滞してしまうバルサ

左サイドから右サイドのセルジへ一気にサイドチェンジしこのまま敵陣深くまで切り込みたいところだが

フリーランニングという発想が無いメッシ

メッシがこれに反応せずに歩いているのでリバプールは守備ブロックを崩さずにスライドできるので結局どうしても中途半端な位置で停滞してしまう
普通のFWならこれだけ最終ラインの裏にスペースがあればそこに走り込んでラインを引っ張り中盤の選手達の為にスペースを作るところだ
欲を言えばこの時リバプールのCBと左SBの間隔が開いているからそこに斜めに走り込めば右サイドにもっと大きなスペースも作れるので空間認識力が証明されるのだが

しかもセルジのパスを受けたビダルにはパスをもらおうという動きも見せず知らん顔

いや大した王様気取りである

左サイドはアルバ、コウチーニョにラキティッチが絡み誰かが3人目の動きをかけるので右に比べて突破の成功率は高い
このシーンではアルバのパスを受けたコウチーニョが自分に食い付いたアーノルドの裏にCHのラキティッチを走らせた

しかしせっかく左サイドを深く崩してもバルサの右サイドがこれに連動しないので

リバプールディフェンスはPAの幅だけを守っていればいいのだ

ビダルの技術レベルの低さ

もう1つ右サイドが停滞しやすい要因がビダルの展開力の無さだ
バルサの左サイドにはバリバプールも警戒し左インサイドのミルナーもカバーに回るほどだ
そうなれば当然バルサの中央から右サイドが大きく空いてしまうのだが

そのせっかく空いたバイタルエリアでブスケツからパスがもらえる位置に顔を出してもビダルは

後ろに下げてリズムを崩すビダルにスアレスは何でだ?と叫んでいるか?

これではいくら左で組み立てても右に展開する効果が無い

更にこのシーンではわざわざメッシへのパスコースを塞ぐ位置に立って

またしてもバックパスで展開を遅らせる

王様メッシに前を向ける形で何とかしてもらうという古典的なチームのコンセプトであるならそれを根底から崩している

このシーンはスアレスとコウチーニョが左サイドのスペースへビダルが右のスペースに走ってディフェンスを引っ張り中央のメッシには十分なスペースが与えられ正に“メッシシステム”の形が生まれたが

しかし右サイドにスペースができてもビダルでは縦に突破出来ないのでメッシに戻し

時間をかけている間にマネが戻ってしまう
セルジはメッシをフォローする気が無いかのような傍観ぶり

最終ラインはミルナーにハーフスペースを埋められ5ー4のブロックを築かれメッシの得意ゾーンも両サイドの幅も消滅してしまった

これがバルサと違い全員ディフェンスができるチームの利点だ

しかしそれを差し引いてもバルサは不甲斐ない

前半のリバプールはCBがノープレッシャーでビルドアップできるにも関わらず先制点以外でインサイドハーフが守備ブロックに侵入するシーンがほとんど無かった
その流れを変える為かクロップは後半開始からワイナルドゥムを投入しミルナーを左SBに回したがこの采配が大当たりする

バルサディフェンスの構造的欠落を突いて決めたリバプールの2点目

相変わらずメッシら前線の選手が傍観している中でファビーニョはノープレッシャーで左サイドのミルナーに展開しようとしている
そのミルナーにはセルジが釣られ更に引いて受けようとするマネにはピケが釣られ右サイドのスペースは大きく空いてしまった

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