今日のプチ解剖:下垂体について正しいのはどれ?
こんにちは。かずひろ先生です。
今日も解剖学のプチ勉強をしていきましょう。
<鍼灸-1999-26>
問題7-2 下垂体について正しい記述はどれか。
1.視神経交叉の前方に位置する。
2.下垂体門脈は視床下部と前葉とを連絡する。
3.後葉には多数の有髄神経線維がみられる。
4.中間葉は前葉と間脳との間に位置する。
さて、こちらはどうでしょう。
【答え】
2.下垂体門脈は視床下部と前葉とを連絡する。
単に「門脈」といえば、消化管と脾臓からの静脈血を肝臓へと運ぶ「肝門脈」のことを指しますが、視床下部と下垂体の間にも「下垂体門脈」があります。
通常、血管は「動脈 → 毛細血管 → 静脈」ですが、
門脈の場合「動脈 → 毛細血管 → 静脈① → 毛細血管 → 静脈②」
と流れます。この場合の「静脈①」を門脈といいます。
肝門脈の場合は、脾臓や消化管で一度毛細血管となり、門脈に集められ、肝臓内で再び毛細血管にわかれます。
下垂体門脈の場合は、
視床下部ホルモンが下垂体の付け根(正中隆起部)の毛細血管網に放出 → 下垂体門脈に集められる → 下垂体前葉で再び毛細血管網に分かれる → 前葉の腺細胞に作用
という流れをとります。毛細血管網と毛細血管網に挟まれた静脈なので「門脈」です。
その他の選択肢について。
1.視神経交叉の前方に位置する。→ 視神経交叉の後方に位置する。
3.後葉には多数の有髄神経線維がみられる。 → 後葉には多数の無髄神経線維がみられる
これは、細かいですが、視床下部から下垂体後葉へ伸びる神経線維は「無髄神経線維」です。神経細胞がホルモンを分泌する「神経内分泌」ですが、素早い活動電位の伝導を必要としないので「有髄である必要はない」から無髄だと考えるといいでしょう。
4.中間葉は前葉と間脳との間に位置する。
→ 中間葉(中間部)は前葉と後葉との間に位置する。
■ まとめ
解剖学を深く知ることは臨床力の土台
国試のためだけではもったいないので、深く勉強する
臨床家目線でつくった、身体内部の構造をありありとイメージできるようにするための資料。それが「かずひろ先生の解剖学マガジン」です
私の知識やスキルなどが、どこかの誰かのお役に立てることはとても嬉しいことです。ありがとうございます。