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ドル円 フラッシュクラッシュの警告 24年4月29日

ーフラッシュクラッシュとはー
為替や株価における短時間での非常に大きな急落。
取引の薄い時間帯を中心に大口の売りなどをきっかけにアルゴの追随、ストップロスを巻き込むこと等が原因と考えられる。

週末、日銀政策会合および上田総裁の会見において改めて日銀の緩和的姿勢が示され、円相場は大きく崩れ158.345でひけ。

ドル円日足

個人トレーダーを中心に為替介入への期待があったが、イエレン財務長官からの否定的な発言もあり、結局介入はなし。失望を誘ったか安心を誘ったか一日の円の下落(ドル円の上昇)としてはここ半年ほどで最も大きな下げとなった。

年初から右肩上がりに上昇してきたドル円は買われすぎ水準をとうに通過しているためピークアウトは時間の問題といえる。ただし得手してこういった一方通行的な動きは反転前にセーリングクライマックスを迎えるものである。週明け月曜は日本市場は祝日で薄商い。その後もGWで商いの薄い日が続く。 フラッシュクラッシュが起こる蓋然性は相当に高い。また22年のシルバーウィーク前、為替介入が実行される直前にはフラッシュクラッシュの警戒が呼びかけられていたのに対して今回はあまり耳にしないことも可能性の高さを感じさせる。

さて仮に月曜日フラッシュクラッシュが起こったとしてどのように対応するかを考えてみたい。まずは過去の事例を振り返りたい。

22年9月のポンドドル
19年1月の豪ドル円
16年10月のポンド円


通貨のフラッシュクラッシュで思い出されるのが22年9月のポンドドル、19年1月の豪ドル円、16年10月のポンド円だろう。いずれも日本時間の午前であったように記憶している。下落幅は約4%~6%(FX会社によっては8%以上)程度であった。すなわち直近158.35からであれば164.5~168円程である。 

まず断っておきたい。フラッシュクラッシュが起きた場合価格のピーク時は大抵のFX会社では取引停止になり再開後もスプレッドが大きく(30~100程度)開くということだ。このような不確実性とリスクの高い相場に喜んでエントリーするトレーダーは残り余命が長くないことは自覚しておくべきだろう。

そのうえで私がエントリーをするのであれば、フラクラのピークに損切を置きドル円の戻り売りを考えたい。
通貨のフラシュクラッシュの多くはセーリングクライマックスとなり、戻りを試すが更新できずに反転。あるいは直線的に反転していくからである。

また以下はDXY(ドル価格指数)と米10年国債利回りの比較チャートである。

ローソク足米10年金利 オレンジドル指数

明らかに金利のピーク時にドル高値のピークが切り下げている。これはドル高がすでにピークアウトをしていることの示唆であるように思う。

次にCFTCによって発表されたIMM通貨先物の円ショートポジションがネットで18万枚と過去最大の売り越しとなっていることである。 これは順張りを好む欧米の大口が、通常ネットで12万枚程度が限界とされる円ショートを限界を超えて売っており、このポジションは必ず解消される。すなわち円が買い戻されることを意味する。

さてうまくドル円の戻り売りができたとしてドル円はどこまで下がるだろうか。
いったんの目途として確実に意識されるのは上昇の起点であり3月後半から長くレジスタンスされた152円を試しに行くことであろう。ただ所感としてはあまりにも円売りポジションが過剰であることと円の買戻しは一方通行に大きく振れがちなため夏ごろまでに150を割れ145円。極端な場合は138円程度まで振れる可能性はあるだろう。

為替介入はあるのか?
先週まで為替介入に期待していた個人トレーダーの中にはすっかりあきらめてしまった人も多いのではないだろうか。
私はフラッシュクラッシュがあった場合、介入はそれなりの確度であると思う。
一昨年からの為替介入は、初回はSWのフラッシュクラッシュを防ぎ、
二度目はまさにドル高の転換点をとらえており、三回目は為替介入は円売りと信じドル円に買い向かった浅いトレーダーたちを焼き尽くす一撃であった。介入の担当者らが相場に精通したプレイヤーであることは疑いようがない。 その彼らが何を見どのように判断をするのか推す術もないのだが、少なくとも私が担当であれば、介入のタイミングと判断するだろう。
失敗は許されない介入ではあるが介入がなくともピークアウトする可能性が高いポイントである。また介入しなければここまで口先介入を続けた財務省の威信を守ることができないのだから。

2024/04/28 反FX

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