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青森県八戸市のブックセラーバーhttp://www.instagram.com/and_books2018

最近の記事

10大にはちょっと足りない重大ニュース2023

1.フォーラム閉館、あおりもろに 年初の閉館からほぼ一年が経ったが、その影響を受けまくりだった。当店は立地場所の関係から映画前の時間調整や映画後の余韻や感想を言い合う場としてフォーラムのお客様が足を運ぶ店だった。それがフォーラムの閉館でゼロになってしまった。少なくなったのではなく全くのゼロになったのだ。キツイ。その後の映画好きのみんなは車で隣町まで行って映画を観てそのまま車で帰宅。私は味気ないなあと思うのだ。映画後のグラデの時間をどこかで過ごしたいよね。と言いつつまずは映画

    • 試みの地平線

       北海道出身のある女性シンガーは、高校の卒業文集に「ビッグなシンガーになる」「ユーミンになんか負けるもんか」と書いた。その数年後、当時絶頂期で絶対的な存在だったユーミンをCDセールスで追い抜き、本当にその通りになった。〈夢は叶う〉との意味のグループ名で活動する彼女は本当に夢を叶えたのだ。  去年の今ごろ、この「ふみづくえ」への執筆依頼をしていただいた。本好きならば誰もが思うであろう文章を書く人への憧れや畏敬の念があったから、原稿料を頂いて新聞に自分の文章が載るなんてことはまさ

      • 正解は吹奏楽部

         私が運営する「AND BOOKS」のお客さんのコア層は20~30代の若い人だ。若くても他者への配慮など場の空気が読める人が多く、店を運営する上でとても助かっている。  そんなお客さんたちに高校時代に入っていた部活動を聞くと、文化系部活動出身者が多い。硬式野球やサッカーなどの花形運動部の人もいるが、当店では少数派だ。中には「一刻も早く帰って自室で筋トレをしていた」とか「夕方に再放送していた水戸黄門を欠かさず観ていた」とかの個性的な帰宅部もいた。  文化系部活動の中でも最大派閥

        • 読書のススメ

           新年あけましておめでとうございます。旧年中は「AND BOOKS」へのご来店、誠にありがとうございました。今年はもう少し楽な生活を送りたいと思っておりますので、さらなるご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます。  さて、新年といえば何か目標を立てたり、新しいことを始めたりしがちだ。例えば日記を書き始めるとか、運動を始めるとか、それらは自分の生活を向上させようとする表れなのだから、何にせよ一歩踏み出すことは素晴らしい。ちなみに私が立てた目標は「無駄遣いをしない」だ。一見小学生の

        10大にはちょっと足りない重大ニュース2023

          決戦!ビブリオバトル

           今月12日、デーリー東北新聞社本社において「第9回ビブリオバトルinハチノヘ」が開催された。ビブリオバトルとは、自分が読んだ本のプレゼンをし合って、一番読みたくなった本を投票で決める書評コミュニケーションゲームだ。  我が「AND BOOKS」でもビブリオバトルによく似た「酔っ払いビブリオロイヤルランブル」(以下、YBR)という大会を開いている。内容はほぼビブリオバトルなのだが、決定的に違うルールがある。それは、発表者は飲酒状態でなければならないということだ。「酒と本」とい

          決戦!ビブリオバトル

          10大にはちょっと足りない重大ニュース2022

          1、「デーリー東北新聞社 ふみづくえ」連載開始 かつて前田日明は新日本プロレスにUターン参戦した際に、太宰治から引用して「選ばれし者の恍惚と不安、二つ我にあり」と言った。嬉しさと不安が同時にこの鳩胸に去来したエポックメイキングな事件だった。活躍の様子はこのnoteの過去記事でご覧ください。8回目は新年1月11日に掲載予定! 2、「直耕インスピレーション」連載開始 新聞の次はWEBだ! ということで、かねてから懇意にしていただいていた(株)金入さまのサイトで文章を書かせて

          10大にはちょっと足りない重大ニュース2022

          行きつけをつくる

           【サードプレイス】コミュニティーにおいて、自宅や職場とは隔離された心地の良い第3の居場所を指す。  今日では誰しも聞いたことのある言葉だと思うが、それを持っているかと問われたならば果たしてどうだろうか。人それぞれのライフスタイルや趣味趣向で変わってくるものがサードプレイスで、例えばチェーンのコーヒーショップや老舗のバーだったり、はたまた理美容院や映画館、本屋なども、その人が居心地が良いと感じられればそれに当てはまるのだろう。つまりサードプレイスとは「行きつけの店」と同義であ

          行きつけをつくる

          映画の館

           「読書、芸術、食欲、竹城、これらに共通する言葉とは?」。突然のクイズだが答えは簡単。皆さんはどんな「あき」を送っているだろうか。  私はもちろん「読書の秋」と言いたいところだが、今年に限ってはそうではなく「芸術の秋」だ。もっと絞って言うと「映画の秋」で、さらに具体的に言うと「フォーラム八戸の存続や、他の可能性について考えを巡らす映画館の秋」なのだ。  「フォーラム八戸」は入居する建物の解体、再開発ため、来年1月5日でいったん営業を停止するという。そして再出店については現時点

          映画の館

          本と私と八戸と。

           本が好きだ。読むことはもちろんだが、物体としての本も好きで、装丁や手触りなど味覚以外の四感を使って愛でている。  これまではただ趣味の買い物だったが、ブックバーを開店してからはそれが仕入れという仕事に変わった。趣味と実益。なんと喜ばしくも楽しい職業だろうか。元々買う冊数に対して読むことが追い付いていなかったのだが、開店してからの4年でそれに拍車がかかった状態だ。最近では「積ん読」という便利な言葉もあって、いつか開かれることを待っている本たちと共に暮らしている。  そんな私の

          本と私と八戸と。

          どういたしまして、私

           1996年7月、アトランタオリンピック。女子マラソンで2大会連続となるメダルを獲得した有森裕子さんは、レース後のインタビューで「初めて自分で自分を褒めたい」と語り、お茶の間の感動を呼んだ。  時は流れて2022年、奇しくも同じ7月。スケールの差はあれど、私もあの時の有森さんのように自分で自分を褒めたい気分なのだ。なぜか。それは私が運営するブックバー「AND BOOKS」が明後日の7月15日で開店から4周年を迎えるのだ。おめでとう私。よくやった私。いえいえ、どういたしまして私

          どういたしまして、私

          持続可能な肩書

           私が運営している店舗「AND BOOKS」はブックバーなのだが、古本販売もしていてちょっと変わった業態だ。それでも大元は飲食店なので、生き馬の目を抜くこの業界のこと、いつ何時閉店に追い込まれてもおかしくないのだ。今般のコロナ禍において、そのリスクは臨界点を突破していて、私が通っていた幾つかの店もいつの間にか姿を消している。とても悲しい。「いつまでもあると思うな親と行きつけの店」なのだ。  今年度、この「ふみづくえ」執筆陣の一人に選んでいただいた。大変光栄に思いつつも、それと

          持続可能な肩書

          惑いのススメ

           かつて人気を博した昭和のアイドルは「WAKUWAKUさせてよ」と歌い人々の喝采を浴びた。それよりはるか昔に孔子は自分の人生を顧みて「四十不WAKU」と言った(正しくは四十不惑)。彼曰く、40歳にもなれば生き方に迷わないのだという。  5年前、既に不惑の年齢に達していた私だったが、大いなる惑いの中にいた。その年、無意識にも形成されてきた死生観をグラグラに揺さぶる重大で不条理な出来事があって、ひどく悲しくメランコリックな気持ちになっていた。大げさではなく本当に毎日泣いて過ごして

          惑いのススメ

          沈黙とは消極的な肯定である

          「沈黙とは消極的な肯定である」 これは何だったかの本で読んだ誰だったかの言葉です(NO情報)読んで字のごとく、必ずしも賛成ではないが黙っていることで賛成したことになってしまうという状態。例えば、その案よりもっと良いやり方あるけど会議が早く終わって欲しいから黙ってよ的な経験ありますよね?私は数え切れないほどあります。  日本人には不言実行が美徳とされてきた連綿たる歴史があって、今日でもスポーツ、格闘技などのビッグマウスの選手は嫌われる傾向にあります。このnoteに書くことだっ

          沈黙とは消極的な肯定である

          僕はこんなスゴイ本を読んだ①

          『空手に賭けた青春 無心の心』山崎照朝著 本書は山崎照朝氏の幼少から空手との出会い、青春のあれこれなど余すことなく赤裸々に綴られている。自伝物が大好物な私のこと、サクサク読み進めた。 空手道へ進むきっかけとしてこんなエピソードがあったらしい。山崎氏が小学生の頃、通学途中に必ず会う中学生がいた。その中学生はすれ違いざまに殴っていくのだ。なにもしていないのに。理不尽。さらに中学に入ると「背が大きい」という理由だけで上級生に呼び出され、金的蹴りを食らったそう。なにもしていないの

          僕はこんなスゴイ本を読んだ①

          10大にはちょっと足りない重大ニュース2021

          1、分室構想がついに実現「分室」オープン 実は開店の早い段階から考えていた「分室」だったが今年7月についにオープンしました。コロナ禍真っ最中で店が暇すぎて逆に今が時間あっていんじゃね?と完全に勢いのみの着手でしたが、またもやDIYで極力コストを抑えて完成させました。かのブラックビスケッツも ”ズレた間の悪さもそれが君のタイミング” と歌っていますのでこれが私のタイミングだったと思います(?)分室で開催されたイベントは多岐にわたり、殿様の末裔のお声からモンゴルのホーミーまで様

          10大にはちょっと足りない重大ニュース2021

          木村

           ラッシャーだろうか、拓哉だろうか、世代によって思い浮かぶ人物の振り幅が大きい苗字、それが「木村」だ。 調べたところ苗字ランキング17位のメジャー苗字であるからして、伊兵衛だったり庄之助だったりカエラだったり各界に有名人も多い苗字ではあるのだが私にとっては実に忌まわしい苗字なのだ。「木村」と私はまさに血で血を洗う(血100%)闘争の歴史だったりする。  ご存知の通り(?)私は本村-モトムラ-と言います。これまでのみなさんの人生にアナザー本村はいただろうか。聞いた話で