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【映画感想】ファンタスティックプラネット(1973)

50年以上も前の伝説的アニメ作品をyoutubeの期間限定公開で視聴。

ストーリーとしては、文明を持つ巨大二足歩行生物(ドラーグ族)と人間の主人公のジャイアントキリング的なシンプルストーリー。70年代らしいドライな根本解決の無いご都合主義エンドも雰囲気にピタリ。湿っぽいのは違うよね。
少しのエピソードで表現する不思議な文明と倫理観の説明の大雑把さとシンプルさが絶妙なバランスで、そしてなんといってもビジュアルが素晴らしいのです。

ドラーグ族の青い肌とまばたきしない赤い目にかわいらしいリアルな口元は無邪気で反省の無いピュアさを良く表していて、主人公を拾う女の子はすぐに女の子だと分かるし、社会的地位の高いお父さんも男性だと分かる佇まいが不思議。あとフランス語でしゃべっているのがかなりイメージ通り(異星人語に聞こえすぎる)。ぜひ字幕で見てほしい。
そして、100点満点なのが、かなりの違和感がありつつちょっと愉快でキュートで危険な生物たち。造形も生体もクセになるシュールさ。口笛で壊れたり、服とか作れるのかわいすぎる。
人間たちはリアル狩猟民族で原始的に生きていて、その小ささや迫害される様子は何かのメタファーに感じられつつもやはり人間らしく描かれている。前半のシーンで、ドラーグ族に飼われていた主人公は珍妙な(ドラーグ族的にはきっとオシャレでカワイイ)衣装を着せられていて、たどり着いた人間コミュニティでめっちゃバカにされるところがあるのですが、違和感しかないこの世界での文化の違いを表すのにシンプルにかつユーモアと皮肉を込めた表現を使っていていいんだよなぁ。文化の差異を評価する頭脳はあるんだよっていう感じで。

後世に与えた影響をびんびんに感じるアートすぎる独自世界のエネルギーがすごい。これはやられちゃう。
70年代にこれってすごすぎるよな…。
同じく70年代のカルト映画「サスペリア」を思い出さずにはおれません。音楽も電子系でミョンミョン攻めて来るし。

子どもにはトラウマになっちゃう気もするので、大人のみなさんは機会があればぜひオススメしたい。
ポスタービジュアル見て絶対無理!と思わなければ、大体大丈夫です。メタファーな深読みもいいですが、まずはシュールなビジュアルを楽しみましょうよ。


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