プレ紙_日建-01

[後編]ノートPCって何を買えばいいの?


後編です。ノートPCについて、ちょっと詳しく書いていきます。

前回の記事↓


■メーカーについて

macならappleしかないので迷うことはありませんが、windowsの場合かなりメーカーがあって悩むと思います。
例えばDELLとHPはそこそこ高いよね、とか。msiはめちゃ高いよな、とか。mouseはやたら安いよね、とか。同じ性能でも値段が数万円違ったりします。


どのメーカーが良いのかと聞かれると正直私ではリサーチ不足のため分かりません。ただ、学生時代に色々な人のPCを見てきて感じるのは排熱性能とバッテリー性能、充電器の大きさの違いです。
安いからダメ・高いから良い、というわけではないですが高いPCの方が排熱性能が高い傾向にあります。排熱はかなり重要でこの部分がダメだと最悪PCが落ちます。特にレンダリング中など重たい作業では排熱が間に合わないとCPUの性能を一時的に下げて冷やしたりするのでレンダリング時間が伸びたり止まったりします。
ですが排熱性能やバッテリー性能がどれくらいかは正直わからないので、こればっかりはという感じもしますが、PCの販売サイトでそのあたりを各社詳しく説明してますので、説明がある物を買えばよいかと思います。


■ディスプレイについて

最近ですと4kディスプレイRetinaディスプレイFHDなど様々な解像度が用意されています。またディスプレイの種類もIPSパネル、TN、VA、有機ELなど様々です。
正直よくわからない方はFHD,IPSパネルでAdobeRGB色域の高い物を選んでおけばよいかと思います。

どれが良いかといわれるとこれも一長一短ですので、印刷画質と画面上の解像度に視点を置いて説明しようと思います。

例えば4kディスプレイで15.6inchのPCを購入した場合
・画面解像度は282dpi
これは一般的にプレボを印刷する際多く使われる印刷画質300dpiに近いものとなり、画面上でほとんど印刷物と同じ感覚で確認することができます。

FHD15.6inchであれば141dpiとなり、確認のためのドラフト印刷画質となります。十分画面上で確認できますが、本気でPhotoshopをしたい方には物足りないかもしれません。

また一般的に解像度の高い高画質なディスプレイを利用するとPCに負荷がかかり、作業が重くなることが多いです。
4k画質はFHDの縦横2倍、面積4倍のドット数になります。分かりにくいですが4kディスプレイを写そうと思うとFHDディスプレイ4枚分の負荷がPCにかかるということです。
ただでさえ重たいCAD作業をするのに更に負荷をかけてどうするんだということです。
しかし4kは魅力的です。細い線も良く見え画面にはかなりの情報を映し出すことが出来ます。値段は高いですがそれだけの価値はあるかと思います。

画質と作業効率、値段を天秤にかけて本当に必要なディスプレイを選択してください。


■CPUとGPUについて

CPUはPCのメインパーツ。これでおおよそPCの能力が決まると思っていただければいいです。
コアi3~i9までありますが、多くの学生はi5i7の末尾にH.HKが付いたものでいいと思います。

GPUはグラフィックボードと呼ばれ、画像を処理したり、めちゃめちゃ計算してくれたりします。
重たいソフトを使う際は、大体GPUが必要となってきます。
CAD向けのQadro,RadeonProシリーズと
ゲーム、ムービー向けのRTX,Radeonシリーズがあり
傾向としてゲーム用の方が安いです。

ざくっとCPUとGPUの組み合わせでPCは動いてると思ってもらえればよいかと思います。

じゃあ建築向けソフトでは何がどうなっているのかというと
正直CPUだけで何とかなっちゃうことが多いです。

例えばArchiCADに入ってるCineRenderCPUレンダリングですので、CPUのみで動きます。GPUは関係ありません。よってコア数が大きいもの、クロック数が大きいものが早くレンダリングできるということになります。

一方でlumion等のムービー系のソフトはGPUでレンダリングを行います。こちらに関してはGPUが付いていないと動かなかったり起動しなかったりします。またQuadro系よりRTX系の方が動作が良かったりします。
やたらお金はかかりますが、ちゃんと動いた時はものすごく便利です。

CAD系はQuadroシリーズというCAD用のGPUを使います。RTXでも動きますがQuadroの方がヌルヌル動きます。難点はやたらと高いこと、値段の割にLumion等の動画ソフトがヌルヌル動くかというとそうでもない事です。


■メモリ


最近のPCですと8GBか16GBが多いかと思います。
ハイスペックなもので32GBもありますが、こちらをいきなり買う方はこの記事を読む必要は無いかと思います。

何もしていなくても常に3~4GB程度システムの方で使用されているので、実際のソフトに割り当てられるメモリ量は思っているより少なくなります。
私の場合16GBのメモリを積んで作業をしていますが、ごくまれにPhotoshopを使っているときにメモリ不足になる事があります。
特にRhino等と並行して立ち上げてるとそういうことが起きますので可能であれば16GBを積んだ方がいいかと思います。
ちなみにPhotoshop内で使用するメモリ量を調整することができます。特にA1で600dpi等のパースを書く際はほとんどメモリを使い切るような設定になって来ます。

感覚ですが8GBあれば基本的には問題ないかと思われます。
パースお絵描きマンだと16GBは欲しいですね。


■ストレージ


いわゆるHDDSSDとかそういった類です。
SSDの方が読み込み書き込みが早いですがお値段が高いです。
HDDは安くて大容量ですが壊れやすいという特性があります。

MacですとすべてSSDになってますし、windowsであれば買ったものによって変わってきます。

例えば2GBあるフォトショファイルや、大きなCADファイルを保存するのにSSDだと数秒で保存し終わるのに対し
HDDだと数十秒かかったりすることが多々あります。
特に重たいイラレ作業をする際には保存中に落ちることが多々あります。こういったリスクを避けるため、SSDにすることを強くお勧めします。
この辺りは作業効率に関わってきますが、気長に待てる方であればHDDでいいのかなと思います。


また容量ですが、500GBが一つの目安になってきます
500GBですと、実際に使えるのは450GBとかそれくらいになります。素材に100GB程度、ソフト関係で50~100GB、課題ごとのデータが1つ5GB~120GB程度であると仮定すると500GBであれば課題をいくつかとソフト山盛り、素材も小盛くらいの感覚になります。

よって128GBや256GBしか容量のないPCを買う際はかなりデータのやりくりを考えないといけないことになります。
余程の理由がない限り500GBをお勧めします


■外付けGPUについて


近年外付けのGPUが増えています。mac,windowsの両方で使えるようになってきているようです。
外付けGPUとはthunderbolt3で接続するGPUであり、ノートパソコンのグラフィック処理性能をデスクトップのゲーミングPC並みに引き上げる物です。
thunderbolt3はMacbookproであればすべてに搭載、windowsであれば高いPCに搭載されているイメージです。
例えば自分の使うPCは低価格で最低限のGPUと高い性能のCPUを搭載したPCにし、研究室などで外付けGPUを購入してもらい、持ち運び時は軽く、腰を据えて作業するときは高性能に、みたいな使い方ができます。
特にmacbookproの13inchを購入された方などはこの方法であればデスクトップ並みに作業をすることができ、PCを買い替えるよりも少ない投資でアップグレードできます。
自宅では軽作業、学校では重作業といったメリハリも付けれるので選択肢としてアリだと感じます。


■最後に


最後になりますが、自分が思っている以上に技術力は成長します。
特に夏休みや春休みなどの長期休暇を挟むと、コンペなどを通じてかなり自分のスペックが上がっています。また学年を重ねるごとに色々なことが見えてきて、やりたい表現や分野が増えてきます。その際に後悔しないように目先の値段だけで選ばないことが大切です。

例えば私であれば、Lumion4が出たときにPCスペックの関係で本腰を入れて練習が出来ませんでした。今会社に入って練習していますが、あの時にケチっていなかったら、もっと調べていたら、などなど思うことはたくさんあります。
投資した分は自分が頑張れば無駄にはなりませんので、是非自己投資していただき、自分で回収して頂ければと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?