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きのこ帝国活動休止に寄せて。初めて日本のバンドをこんなに好きになったのに。








パンク、メロコアに小学生からハマり、抜け出せなくなって十数年。


このアーティストまるっと大好き!!って言えるのなんて片手で数えられる程度だ。しかも似たようなジャンル。パンクやメロコアだ。あーね。はいはい。


今までで、一番好きなった日本のバンドは間違いなくELLEGARDENだろう。

今となっては全く聴かなくなってしまったが、ふと口ずさむ曲はいっつもELLEだったりするから、10代の頃に聴いていた音楽は魔物に違いない。










が!!!!!!






大学も終わりを迎えるこの瞬間に、ごりごりの日本のバンド、しかもパンキッシュなサウンドでなく、英詞でもない、女性ボーカルのバンドに全てを持っていかれると思ってもみなかった。




今まで好きな女性ボーカルのアーティストと言えば、Special ThanksやParamoreにJohn Jettくらいだった。あとムラマサ☆。








きのこ帝国って知ってる????(ちなみに唯一好きじゃない曲はクロノスタシスです)









僕の人生の中で、トップ5に食い込みました。本当にありがとうございました。

きのこ帝国
Something Corporate
Jack's Mannequin
Implants
です。(あんどりゅー超えてるやんけ!)







名前は知っていた。最近のバンドかーくらいにしか思っていなかった。


というのも、最近のバンドはどれも名前の捻り方やふざけかたが妙に似ているのだ。

やばいTシャツ屋さん、おいしくるメロンパン、夜の本気ダンス、ゲスの極み乙女、キュウソネコカミ、ぼくのりりっくぼうよみ、おめでたい頭でなにより...。



なんやねんお前ら!!中高生の身内ライブに必ずいる「アデノシン三リン酸」と同じレベルのバンド名やぞ!!くたばれや!!!



(ちなみに個人的に好きな学生バンドの名前はUNIDON  SQUEAR  GARDENです)




名前を聞いた瞬間に聴く気が若干失せるんじゃい!!クソッタレが!!だせぇんだよ!ばーかばーか!




キノコホテルときのこ帝国は違うんですか?あ”ぁ”ん?


マジで印象はこれのみ。どうせゆら帝の真似事やろ。(マジでそうらしい)







そんなこんなで毛嫌いしてたわけですよ。本当にお前ら名前で損してるって!!だって意味わかんないもん、きのこ帝国って。カペリートかよ!

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そこから何年か経ち、バイト先の子にしれっと勧められるんですね。東京って曲を。

そのことはここにも書いてある通りです。







まぁハマるわけがないですよね、そんなん聴いても(ドン!)





当たり前だろ!!

20年以上メロコアパンク畑で育ってきたくそガキが、東京という街を叙情的に歌った、胸がありえんほどギュッとなる名曲「東京」をいきなり勧められたところで、琴線どころか鼓膜すら揺れやしないよ!!




音楽ってのは聴くタイミングによって全く違って聴こえるから面白い。










そして時は経ち

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2018年9月にタイム・ラプスがリリースされるんですね。



7曲目に収録されている、「金木犀の夜」を聴いてから僕の人生は変わり始めます。


ヒットチャートを適当に流す友人の車。


この曲が流れた時、「あら素敵やん」と思い、調べたらまさかのきのこ帝国。


シャザムして勝手にApple Musicに追加されたおかげで、通学途中の電車の中で、勝手に流れるきのこ帝国。



流れる車窓と金木犀の夜が合うのなんのって...


そこから10月11月は一曲しか聴かなかった。けど他のアルバムを入れるほど入れ込まなかった。







転機は、15万詐欺られて住む家が無くなった時だ。




まぁ相当にテンションダダ下がりだったわけで、そこにシャッフルでBlink182やNew Found Gloryなんて流れようものなら、

引っ込んでろくそガキ!!!

と疾走感全開の楽曲ににブチギレていたのをよく覚えている。


明らかにメロコア聞いてる場合じゃないだろって時に、ザッピングで流れてきたのがきのこ帝国だった。




もう、沁みるのなんのって...。



荒れ果てた心に水をゆっくりと注ぐよう、佐藤千亜妃の声が身体に吸い込まれてゆく。



気づいたらアルバム全部追加していた。


そこから1週間はきのこ帝国以外聴かなかったと思う。もうね、めちゃくちゃブルー入ってた。








そして現在、精神的にもだいぶマシになったのにも関わらず、聴いているのはきのこ帝国。

普段は冴えない顔して、自分がカリフォルニアのティーンエイジにでもなった気になりながらメロコア聴いてるのに。



俺の体はまんまときのこ帝国に乗っ取られたようだ。




今までは、聴いた瞬間にオワッ!!これはカッケェ!!このアーティスト好き!ってなることがほとんどだった。

それは、パンクメロコアならではの、スピード感と展開のわかりやすさ、そして僕がイントロで8割型曲の良し悪しを無意識に決めているからだと思う。






精神が不安定な時に僕がよく聴くRATM、SOAD、などは普通の時に聴くとうーん、、、ってなってしまうのだが、彼らは違った。


オンオフ両方いけるのだ。サッカーでいうならベッケンバウアー、野球でいうなら故木村拓也なのだ。全ポジションいけるし守備も攻撃もいける。




僕は、顔が良いアーティストは基本的にみんな嫌いだ。
なんで人生イージーモード奴が楽器弾いて目立ってんだよ。と思ってしまう。

お前ら勉強も運動もできるんだからバンドやるなよ、と。


もっと不器用で取り柄もない奴が、夢中になってかき鳴らすギターこそ、ロックこそがかっこいいと、心の底から思っている。


ヨレヨレのシャツにずれるメガネ、テレキャスターの音はまるで人を刺しているのでは?と感じさせる向井秀徳。ロックだ。


出ない高音、ミスるギター、手数バカ、ハイスタは現代にデビューしたらどうだったのだろう。俺は英語もギターもベースも下手だからという難波とKenはどうあがいたってカッコいいのだ。

職質受けてそうなGONGON。適当めちゃくちゃアドリブ語でもカッコいいのだ。

甲本ヒロトだって歌はうまくない。マーシーのギターだってシンプルで音圧もあるわけではない。しかし涙が止まらなくなる。



最近のバンドをよくYoutubeでチェックするが、悪いけどため息しか出ない。顔が良くて演奏も上手い。キャッチーだと思うし、ライブでも乗りやすい。

しかし微塵も魂を感じないのだ!!!クソが!ふざけたこと歌いやがって!ロッキンポジャパンとかカウンコダウンジャパンとか2度といかねぇ!



と思ってたんですけど、あー、、、そうですね、、、えーと


そりゃ女優上がりってずるいじゃーん。
あんな可愛いのに、あんな音楽作詞作曲できるって超ずるいじゃーん。


佐藤千亜妃くっそタイプなんだが???どうしてくれる???

地面割れるまで土下座するから結婚して欲しいんだが?


あ、でも、俺顔から入ったわけじゃないから!音楽好きになって、調べたらめっちゃ可愛かったって感じだから!ノーカン!ノーカン!

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はい。

もっとコッテリしたアーティストが出てきて欲しいですね。







そしてなにより大事なこと。




捨て曲がほとんどないじゃないか!!!!!


自分にとって、本当に好きなアーティストの条件は、たった1枚でも捨て曲がないアルバムがあるということ。



アルバムの中で何曲かは、うーんこれは自分からは好んで聴かないなぁってのがあるんですけど、きのこ帝国のアルバムにはそれがない。

は?どゆこと?


加えてとんでもないことに、アルバムによって曲調はおろか、Vo.佐藤千亜妃の声質まで思いっきし変化しやがる。

こいつ何者?バックもすげぇな?



何がすごいって、曲調も歌声もガラリと変わっているのに、バンドとしての芯がビシバシ伝わって来ることだと思う。


えー◯◯の3rdアルバムはあんま好きじゃなーい。とか

〇〇は1stが一番良いよねー。ってのが全くない。僕、全部好き!!!





2012年リリースのミニアルバム「渦になる」

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気だるさ全開の佐藤千亜妃の歌声。サビでシューゲイズ全開のサウンド。


歌声を聴かせる、バンドとしての緩急が大好きな作品です。


3曲目「スクールフィクション」では"幸せだよと嘘をついた"後の吐息
混じりにBメロへの入り、ラストの"生きろ"で脳天を金槌で打たれる。

高校生の時に出会いたかった一曲。


そして4曲目「Girl Meets Number Girl」

このタイトルよ。

壊す365日 しらけた通学路
走れ 突っ切って 脳ハウれ 青の音と

音楽で息を飲むのは久しぶりです。 


7曲で43分というボリュームながら、一曲に対しての没入感が半端じゃないです。




2013年1stアルバム「eureka」

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アルバムの雰囲気とジャケットが見事にマッチしている。のくせに前作に比べて佐藤千亜妃の声はよりクリアになっている。


もちろん「春と修羅」が好きです。

一言目の歌詞から一気に五感が一点に注がれます。

”どうでもいいことばかり気になるから午前3時にギターを弾いてる”

これを歌詞にできるのは佐藤千亜妃か、マキシマムザ亮君くらいだと思います。

最近のゲロクソ顔が良い甘ったれクソバンドにはわからんだろこの感覚!!

あ。佐藤千亜妃一番可愛かった(てへ)




2014年「フェイクワールドワンダーランド」

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はい。僕が一番好きなアルバムです。きのこ帝国のなかじゃなくて、今まで聴いてきた音楽の中でです。

一曲目「東京」
今だに、聴けども聴けども別の表情を見せてくる、高2の冬の思い出みたいな曲です。

一発目で、あぁ、アルバムによって全然表情変えて来るやんけ!って感じられると思います。ところどころにシューゲイズっぽさを残しつつも、より聴きやすくなった。

アルバムのラスト3曲が、人生の3曲になりました。多分一生聴いていくだろうし、大学生活を思い出すんだろうなぁと。



そして「ラストデイ」
一番好きです。これは佐藤千亜妃が高校の時に作った曲だそうです(インスタライブより)

こんな詞書ける?だめだ。本当にだめ。日常を感じさせといて、それが思い出につながり、今に残るちょっとした希望を歌にするの本当しんどい。

もう一度言わせてください。一番好きです。

インスタライブで、佐藤千亜妃が弾き語りでラストデイ歌った時に、今まで聴いた音楽のなかで4番目に鳥肌たちました。画面録画してあります。宝物です。


そして「疾走」
どうして3度目の季節は、こうも人の心に響くのだろうか。

ドリカムの未来予想図Ⅱ、yonigeのさよならアイデンティティー、そしてきのこ帝国の疾走。


朝方のコインパーキングは、まだ僕の思い出にないから、こんな思い出を作りたい20代前半でございます。


「Telepathy/Overdrive」
この曲がアルバムの締めなのは、個人的にさすがと思いました。

このアルバムで、さらに爆発した佐藤千亜妃の作詞センスが、如実に現れていると思います。



メジャー移籍1枚目「猫とアレルギー」

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全曲好き!以上!シューゲイズとはかけ離れたきのこ帝国。よりポップになりバンドとしては賛否両論あったと思う。

しかしだ。僕のように、新しいリスナーを巻き込める懐の深さに、バントとしてのポテンシャルを感じた。

メジャーに移籍して、佐藤千亜妃が刺さりやすい音楽を作りにいった結果だと思います。本人もインタビューでそんなこと言ってたような...。



といいつつ、「YOUTHFUL ANGER」を聴けば、やっぱこいつら確信犯だ!となり、まんまと踊らされたのがわかる。

イントロで踏んだのはファズかな?ノイズ入りまくりな歪みと、佐藤千亜妃の声は無敵だ。



「桜が咲く前に」なんて曲じゃない。映画ですこれ。


上京した佐藤千亜妃の気持ちはこんなのだったのだろうと。ちらつく思い出と、それを胸に前を向く姿勢がもう映画です。



女の子に「怪獣の腕の中」歌われたら一瞬で惚れます。くたばりてぇ〜


2016年「愛のゆくえ」

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佐藤千亜妃ソロの感じが見え隠れするアルバム。このアルバムだけあんま聴かないので割愛!(全部好きじゃないんかーい)



2018年「タイム・ラプス」

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ポップ感は増していくのに、どうして嫌にならないのか。どうしてここまで感情を表現できるのか。不思議でしょうがないです。

「金木犀の夜」が元凶です。ありがとうございました。

「ラプス」、僕の言葉で表現するのは失礼です。お疲れ様でした。

最後の曲、これがバンドとして最後の曲になるのかもしれないけど「夢見る頃を過ぎても」

はぁ。ため息しか出ない。







きのこ帝国は、切なさが溢れているのだと思う。

それは臭いラブソングのようなコテコテなものでなく、考えてもいないのに、ふと思い出してしまう。そんな切なさがアルバム、曲のいたるところに存在している。

聴いている人に思い出させて、ちょっぴり歯がゆくさせてくれる。なのに清々しくもあるのは、バンドとしてのサウンドが完成されているからだろう。


残りの20代は、きのこ帝国の曲が、思い出とリンクするようなことをたくさん経験したいです。



僕は運が良いことに、音楽を好きでいられた。好きな曲を聴いただけで1日がハッピーになり、朝起きてまたあの曲が聴けると思うと、ワクワクして仕方がない。

ライブにはあまりいくタイプではないが、どんなアーティストよりもライブに行きたかったのがきのこ帝国だ。


活動休止。いいだろう。


解散や、メンバーの死、活動休止したバンドばっかり大好きになる僕にとって、生まれて初めて、好きなバンドが活動を休止するショックを味わえた。ということは復活した時に、喜びが倍になるということだ。



いつの日か、彼らの曲がまた聴けると思うと、ワクワクして仕方がない。




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