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サービスとおもてなしの違いとは?星野リゾート流のおもてなし

こんにちは、あんでぃです。

私は日々のお仕事として、温泉旅館で「おもてなし」をしています。
おもてなしという言葉は当たり前に使っていますが、とってもふんわりした言葉だなぁ、と感じています。
実際よく使う言葉なので、雰囲気ではわかっているつもり。
だけど、具体的に定義しようと思っても、
「はて?」
と立ち止まってしまいます。

本日はおもてなしとサービスの違いから、
おもてなしとはなんなの?
という疑問を整理してみます。



西洋型ホテルサービスと日本旅館のおもてなし

以前、星野リゾートの戦略に関する記事で、西洋型サービスと日本旅館メソッドの違いについて触れました。

図解してみるとこんな感じでしょうか?

西洋型サービスでは、顧客の要望に応えるサービスをします。
顧客とスタッフは縦の上下関係。

一方、星野リゾートが目指す日本旅館メソッドでは、顧客の期待を想像し、もてなします。
つまり、主客が対等の横の関係。


要望に対応する受動的なサービス

上下の関係である西洋型ホテルサービスにおいては、顧客が多種多様な要求をしてきます。

顧客の要望にいかに適切に、素早く応えるか?
といった対応力が大きな肝となることでしょう。

顧客の要望が先である西洋型ホテルサービスは受動的な行為というのがポイントです。


自ら考え、行動する能動的なおもてなし

一方、おもてなしでは、
顧客はどんな期待を描いているのか?
と想像することで、顧客の真のニーズを探り当て、
知識やスキルを持って期待に応えることを成し遂げます。

また、おもてなしの面白いところは
「こう過ごしてもらいたい」
「ここを知ってもらいたい」
といったご当地自慢もするところ。
ある種お節介にもなりうるスタッフのこだわりを伝えることもおもてなしの一要素と言えます。

つまり、おもてなしとは、
スタッフの想像から始まり、
顧客の期待を推し量ることや、
スタッフのこだわりを体験していただく、
といった一連の流れであります。
おもてなしはあくまで能動的な行為であると言えるでしょう。


星野リゾートではどんなおもてなしをしているのか?

ではいったい星野リゾートではどんなおもてなしが行われているのでしょう。
私の職場、界 玉造の日本酒BARを例に挙げてみます。

日本酒発祥の地、島根県では古くから日本酒が醸造されてきました。
島根県内の40種類以上の地酒を揃え、それらを飲み比べしていただくのが界 玉造の日本酒BARです。

「日本酒は種類が多く、どれを飲めばいいかわからない」
「自分の好みのお酒が分からない」
といった潜在的な悩みを持っているであろうお客様を想定し、
レパートリー豊富なお酒の中から、
島根地酒マイスターの資格を有したスタッフがアドバイスし、
島根県の窯元から集めた地元のお猪口に注いで、
日本で初めてお酒を飲んだ大蛇が天井を這っているBARスペースで、
日本酒を味わっていただけます。

日本酒BARにはなんとこの大蛇が天井を這っているのです!

お酒も、お猪口も実際は日本中どこにいっても見つかるものです。
しかし、日本酒発祥の地であるからこそ、
興味はあるけど、なかなか手を出せなかった方へ届けたい。
そんな我々のこだわりを伝えています。

実際に日本酒BARでお客様をお迎えすると、
「日本酒に興味はあったけど、わかりづらくって敬遠してたんです。」
という方が多くいらっしゃいます。
そんな時は、待ってました!と言わんばかりに、BARのスタッフが張り切ってお客様の好みになるであろうお酒を提案しています。


この日本酒BARはお客様の要望に応えて生まれたものではありません。
界 玉造現地のスタッフが自ら能動的に考え出したものです。
まさに星野リゾートらしいおもてなしと言えるのではないでしょうか。


以上、本日は西洋サービスと日本のおもてなしの違いを考えた上で、星野リゾートのおもてなしの一例を紹介しました。

おもてなしとはいったいなんなんだろう?
と考えるきっかけになり、よりよいおもてなしに繋がれば幸いです。


おもてなし産業をかっこよく。
あんでぃでした。

▼界 玉造で温泉と日本酒を堪能する滞在





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