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「競合」について考える

こんにちは、あんでぃです。

今日は「競合」について考えてみます。
正直なところ、私は星野リゾートに入社するまで、競合について1ミリも考えたことがありませんでした。
事業部長クラスの上の人が考えることだろう、と。

しかしながら、星野リゾートの特徴はフラットな組織。
「上の人だけが考える」
という意識は全くもってありません。
全てのスタッフが日常的に同じ目線で競合を意識します。

何か企画を考える時も、
競合に比べて何が特徴的なのか?
と、マーケティング思考を働かせることが求められます。

では、その「競合」とはそもそも何なのか?
無意識に競合といっても、人それぞれイメージするものが違うので、もう少し掘り下げてみましょう。

界 玉造の競合とは?

私が所属する温泉旅館「界 玉造」
界 玉造と聞いたとき、おそらく価格帯が高めの温泉旅館と考える方が多いと思われます。(一旦違うよ!っていう意見は置いておいて…)

そうした場合、

・島根県にある高価格帯の旅館・ホテル
・玉造温泉にある価格帯の高い旅館・ホテル

といったところが競合になるでしょうか。

「来月あたり、温泉に行ってゆっくりしたいよね。
 気になってた出雲大社も行ってみたいし。」
なんて思った時に、上記の宿泊施設が競合相手となるのかもしれませんね。

でも、本当にこれだけで、十分な競合分析となるでしょうか?

顧客が界 玉造を選ぶ理由とは?

接客する際には、お客様にこんな質問を投げかけることを心がけています。

「今回、界 玉造を宿泊先に選ばれたのは何かきっかけがあったんですか?」

すると、さまざまな答えが返ってくるのです。
何人か振り返ってみましょう。

Aさん「界にハマっていてね、界巡りをしているの。」

Bさん「なんか島根の地酒が40種類以上飲み比べられる日本酒BARがあるってのを聞いてね。」

Cさん「客室に露天風呂がついていたから。」

Dさん「お父さんの還暦をお祝いしたくって。界さんだと両親も落ち着いて楽しんでもらえそうだから。」

このようにお客様のお話しを聞いていると、世の中のニーズは本当に多様化しているなぁ、と実感します。
そして、とても大切なことは、
顧客は体験価値を選択している
ということ。
すなわち、

Aさんは「界を味わい尽くす」という体験価値

Bさんは「島根の日本酒を満喫する」という体験価値

Cさんは「プライベートなお風呂でゆったりする」という体験価値

Dさんは「安心できる環境で父親に感謝を伝える」という体験価値

このような体験価値を求めて、界 玉造を選択したことが想像できます。
価格帯が高めの温泉旅館を探しているわけではなかったのです。


競合は体験価値から逆算して考える

このようにそれぞれのお客様の求める体験価値から考えていくと、新たな競合像が浮かび上がってきます。
例えば、

Aさんは「界を味わい尽くす」という体験
⇨星野リゾート界の他施設、特に同じエリアにある界 出雲か?

Bさんは「島根の日本酒を満喫する」という体験
⇨日本酒に力を入れる居酒屋さん
⇨日本酒飲み比べができる酒屋さん・お土産物屋さん

Cさんは「プライベートなお風呂でゆったりする」という体験
⇨露天風呂付きもしくは家族風呂付きのホテル・旅館
⇨プライベートサウナ

Dさんは「安心できる環境で父親に感謝を伝える」という体験

⇨お父さんのことをよく知る行きつけのお店

さぁ、大変。
さまざまな競合相手が出てきましたね。
果たして、彼らと比較して、私たちが提供する価値にはどんな魅力があるのでしょう??


私たちは日々、無意識のうちに求める未来をイメージし、それが叶えられるサービスを比較検討し、購買活動を行っています。
そして、サービス提供する側のマーケティング活動とは、
顧客の体験価値をイメージする想像力をもって、
より明確な競合を設定すること

から始まるのではないでしょうか。

以上、今日は「競合」について考えてみました。


おもてなし産業をかっこよく。
あんでぃでした。

▼参考記事
「マイクロツーリズム」という新たな体験価値の提案



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