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「〇〇のディフェンスだけ教えてください」はアリなのか?

 今日も今日とて柔術は楽しい。

 今日はディフェンスの話。加古拓渡先生のこちらのツイートを読んで自分なりにまとめてみました。このツイートを読めば伝えたいことは全て書いてあるのですが、自分の考えをまとめるためにも記事にしてみます


1.「〇〇のディフェンスを教えてください」という若者たちよ。焦るな

 だれでも強くなる最短距離を進みたいもんです。でも、焦るな。今が一番大事な時だ。焦るな。

 柔術でよく聞くのは「フットロックをとられるのでディフェンスを教えてください」「ベリンボロの~」「三角絞めの~」etc…

 特定の技のディフェンスを教えてほしいという質問はよく聞きます。これはMMAでも多くて、若い子は特に「打撃メインで、組技はテイクダウンディフェンスだけ、寝技は立てればいい」というスタイルをとろうとする人が多いです。

 そう甘くはないんだ。格闘技は。焦るな。

 実際、打撃中心のスタイルを取っているMMAプロ選手も実はめちゃくちゃ寝技も組技も練習してます。

2.ディフェンスは、技を理解しなければならない

2-1 「これだけやっておけば大丈夫」 コスパと効率。

 格闘技に限らず、「これだけやっておけば大丈夫」というコスパのいいものがみんな好きです。効率の良い(効率がよく見える)スタイルは人気です。YouTubeでもそういったタイトルの方が再生数が伸びます。

例:これだけやっておけば大丈夫!胸トレ3選!(クローズドからのアタック3つ!買いの銘柄3選!など)

 これらは間違ってはいません。最初からすべてを網羅しようとしてもうまくいかないです。「白帯のうちはとりあえずこれだけやっておけばいい」というのは理にかなっています。そのうちそれだけでは通用しなくなってくるのでその時が次のステップのタイミングになります。

2-2 「ディフェンスだけやる」は効率的か?

 でも効率的に最短距離を目指すのが一番早いかというとそうとも限りません。遠回りに見える道が実は早かったりします。

 「自分は使わないけど試合で相手が使うからディフェンスだけは身に付ける」というのは一見効率的ですが、実際はうまくいきません。

 かくいう自分も「ベリンボロのディフェンスだけでも知りたいです」と質問したことがあります。でもその質問はあまり意味がなかったです。

 ディフェンスは「相手が何を狙っているか」を理解する必要があります。

ディフェンスは先読みが大事、一歩先を読む

先読みは相手の狙いを理解しないといけない

相手の狙いを理解するには技を理解しないといけない

得意技は防ぐのも得意になります。

 ディフェンスのテクニックはありますが、ディフェンス単体で覚えようとしても技の狙い(コンセプト、理屈)が理解できていないと難しいのです。ディフェンスだけ身に付けるのは一見効率的に見えて実は非効率です。遠回りに見えても最初からその技をしっかり学んだ方が結果的に早く身に付きます。

3.特定の技のディフェンステクニックの身に付け方 具体例

3-1 最低限の技の仕組みを理解する

 これは強くなりたいなら必須です。ここまで書いてきたようにディフェンスをやるには技の仕組みを理解しないといけません。

 狙いを理解する
= 技のコンセプト、技の理屈を理解する

 結局はその技にちゃんと取り組まないとディフェンスはできません。

例(読まなくてもOK)
・ベリンボロのディフェンス
狙い「手前の膝を越える」
→ディフェンス「膝をひねられない、相手の足を取る」

・フットロックのディフェンス
→狙い「距離を作る」
→ディフェンス「立って距離を潰す」

・三角絞めのディフェンス
→狙い「頭を下げる」
→ディフェンス「頭を下げない、襟を取らせない」

・テイクダウンのディフェンス
→狙い「足を触る」
→ディフェンス「頭の位置(目線)を下げる」

狙いは一例です。

3-2 スパーでリアルなリアクションを知る

 スパーでその技をかけてみましょう。まずは格下相手に。格上だとそもそもエントリーすらできないことが多いので。(それはそれで「この技のエントリーには手前の〇〇の部分の攻防で勝たないといけない」ということが学べます)

 格下にかかるようになったらその技をそれなりに理解できるレベルになっていると思います。その段階に来たら格上にその技をかけてみましょう。そしたら格上の人が正しいディフェンスを見せてくれます。そのディフェンスを参考にしましょう。

3-3 自分のメインテクニックとして使うか決める(色帯以上)

 この段階になると、「自分は使わないと思っていたけどやってみたら意外と使える」現象が起きます。

 そこで自分の柔術システムに取り入れるか、とりあえず保留でディフェンスだけにするかを考えます。そんなに明確に決める必要もないですが、レベルが上がってくると試合でメインで使えるテクニックは限られてくるのでその技を突き詰めるかどうかをある程度決めておいた方がいいと思います。

 白帯は単純に自分のテクニックの一つに追加すればOKです。技を絞るほどたくさんもってはいないので。(持っていたとしたら白帯ではありません)

4.まとめ

 ダラダラと長くなりましたが言いたいことは「特定の技のディフェンスだけを学ぶのは非効率」ってことです。

 それに「自分は使わない」と決めて技の食わず嫌いをするのはもったいないです。柔術を楽しむ機会を損失してます。強くなるためにも楽しむためにも、技はディフェンスだけでなくイチからしっかりと学びましょう。

2024/4/8 アンディ

追伸。ディフェンスからスタートすることもある?

 本記事の主旨は「特定の技のディフェンスだけ学ぼうとしてもうまくいかない」というものなのですが、テクニック全体の優先順位としてはディフェンスが最優先です。これは金古一朗先生がおっしゃっていました。

 ディフェンスができないと、ボトムもトップもアタックできません。初心者はボトムのガードリテンションやトップのガード解除やベースをしっかりやりましょう。スパーがうまくいかない初心者はだいたいディフェンスができていません。やりたいアタックばかり考えてもディフェンスができていないのでアタックに行く前にパスされたりスイープされます。

 「結局ディフェンスとアタックどっちなんだよ」ってなるかもしれませんが、「ディフェンスだけやる」も「アタックだけやる」も非効率です。強くなるにはどっちも学ぶのが効率的です。コツコツ地道にやることが結局効率よく遠くまで行けます。

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