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抑え込みは格闘技の本質である。抑え込みシリーズ②

 今日も今日とて柔術は楽しい。子育ては大変で楽しい。寝かしつけで空いた片手のスマホで書いています。最近は週一の中でいかに強くなれるか、ということを日々考えています。週6の競技練習+筋トレ+ケアが一番強くなるとは思うのですが、現実難しい。制限のある中で工夫する面白さを楽しんでいきます。まあぶっちゃけ強くはならんでしょうが多少うまくなるのは可能だと思っています。

 今日は抑え込みシリーズ第2弾。前回の記事はこちら



抑え込みは格闘技の本質

 前回はMMAと柔術では抑え込みの評価がされづらい(けど重要な技術である)と書きました。今回は抑え込みは格闘技の本質だと書いていきます。

1.格闘技の本質とは?

 格闘技の本質とは?という問いを突き詰めるとそれだけで本が一冊書けそうです。でもまあ自分なりに頑張って書いてみます。

 自分の柔術哲学では、

格闘技の本質
「相手を制圧すること(コントロールすること)」

です。「相手にダメージを与えること(相手を壊すこと、戦闘不能にすること)」も格闘技の本質に近いですが、自分としては「ダメージを与えること」は「相手を制圧する」という目的のための手段という考えです。

「ダメージを与えること」≒「相手を制圧する」
 (ニアイコールって感じです。)

 打撃、投げ、サブミッションでダメージを与え、腕が折れたり、打撃でダメージを与えたり、絞め落としたりすれば相手は戦闘不能になるので結果的に制圧できます。

 究極、相手を殺してしまえば相手を100%制圧できます。それが格闘技の本質かどうかはまあ、置いておきましょう。

 では、ダメージを与えないテクニックは格闘技の本質ではないのか?というとそんなことはありません。

 抑え込みは「相手を制圧(コントロール)している」という点から格闘技の本質だと思います。そして、そこから相手にダメージを与えるアタック(パウンド、サブミッション)につなげることもできます。

 また、強い人の強烈な抑え込みはダメージも与えられます。それだけでタップしそうになるくらい強烈です。ポイントを抑えたクロスフェイス(首を殺すマクラのコントロール)は首が折れて顔がつぶれそうになります。肩であご下へプレッシャーをかける抑え込みはマジで落ちます。重量級のタイトな抑え込みは苦しくてスタミナをガンガン削られます。

2.抑え込みはあらゆる格闘技、ルール、武道、武術、格闘術、護身術、逮捕術で評価される

 組み技のない打撃格闘技は別として。柔道、レスリング、MMA、柔術といった競技化された格闘技でも、逮捕術や武術や古武道でも抑え込みは評価されます。あとプロレスも。柔道では抑え込み一本があるし、レスリング、プロレスはフォール勝ちがあります。逮捕術や武術や古武道でも抑え込んだ形をフィニッシュとしているものが多いです。もちろんMMAと柔術でも抑え込みは有効です。

 「抑え込み=有効」ということはあらゆる格闘技で共通認識となっています。どんなルールでも評価されているという点で、抑え込みは格闘技の本質であると考えられます。

 それに、多くの人は感覚的に本能的に上を取って抑え込んでる方が勝っていると感じるのではないでしょうか。なんなら動物どうしの喧嘩でも上を取ってる方が勝っていると感じると思うんですよね。みんな感覚的に抑え込みが格闘技の本質だと理解している気がします。

3.抑え込みは格闘技のゴールの一つ

組技とはいかに相手を抑え込むか(抑え込まれないか)>

 前回の記事でも書きましたが、抑え込みは格闘技のゴールの一つです。

 「テイクダウンされて背中をマットにつけられる=抑え込みされる」というのは格闘技として負けに等しいくらい制圧されている状況なのです。レスリングのフォール、柔道の抑え込み一本は負けです。柔術やMMAではそれだけでは負けにはなりませんが、かなり制圧されています。完璧に抑え込めたら、殴ることも極めることもできます。抑え込みはMMAや柔術でもゴールにかなり近いです。柔術で「パス(抑え込み)されたら実質ほとんど負け」です。

 「組技とはいかに相手を抑え込むか(抑え込まれないか)」といっても過言ではありません。何度も書きますが、抑え込みとは格闘技の本質です。

・エスケープ→抑え込みから逃げる技術
・テイクダウン(投げ、タックル、ガブリ)→上をとって抑え込む技術
・スイープ→上を取って抑え込む技術
・パス→ガードを越えて抑え込む技術

抑え込んだ時点でかなり有利。一気にコントロール(制圧度)が上がる。だから柔術でパスは3点でポイントが高く、柔道やレスリングなら抑え込まれたら負けとなる
柔道レスリングのゴールは抑え込み。組技のゴールは抑え込みにあるといっても過言ではありません。
MMAや柔術のゴールは一本、KOです。でも柔道やレスリングと同様にテイクダウンとパスの攻防はめちゃくちゃ大事です。

4.背中をマットにつける柔術は、組技の本質からズレている?

 「レスリングではフォール負けとされるクローズドガードが柔術では有効なポジションとなる」

 これはルールが違うから当然なのですがこの矛盾について説明していきます。実は矛盾していませんし、柔術は格闘技の本質からズレていません。

 先の項で「組技とはいかに相手を抑え込むか」と書きましたが、同時に「組技とはいかに相手に抑え込まれないか」でもあります。

柔術のガードポジションは

「下になっても相手に抑え込まれないための技術」
「下からでも相手をコントロールする(下から抑え込む)技術」
「下から上下を入れ替えて有利なポジションを取って抑え込みにつなげる技術」

です。

 また、護身術の流れを汲んでいる柔術は、強い相手にテイクダウンを取られてもそこから身を守る手段として下からの技術(ガード)が発展したと考えられます。

 レスリングにおける抑え込みの定義は「背中をマットにつけさせる」ですが、柔術では「足を越えて背中をマットにつけさせる」です。この定義の違いによって「レスリングではフォール負けとされるクローズドガードが柔術では有効なポジションとなる」という矛盾のようなことが発生します。

 それに、クローズドを取っていても背中をマットに押さえつけられていたらコントロールされている状況です。MMAなら殴られます。

余談。レスリングクラスでクローズドすな

 あとレスリングプラットフォームの有元先生が言っていましたが、レスリングクラスでクローズドを取るのはやめましょう。レスリングのルールと定義でスパーリングをするからこそレスリングの技術は身に付きます。

その中で倒された際に、クロスガードを試みる方がおられます。
すみません。それだけは勘弁してください。


レスリングは両肩がマットに付くと負けになります。スパーリングで片方が違う国のルールを採用されると競技が成り立たなくなります。

有元先生のnoteから引用

5.まとめ 「抑え込み(パス)ってかっこいい」

 定義の違い、ルールの違いはありますが、あらゆる格闘技(組技格闘技)において、抑え込みは勝ちにつながります。格闘技の本質です。

 個人的な価値観ですが、抑え込みってかっこいいですよね。柔術だとパスって最高です。自分は下から瞬発的にサブミッションを極められるよりも完パスくらって抑え込まれた方が敗北感があります。パス、抑え込みを決めると制圧した感、コントロールした感があります。

 柔術の攻防の中で「ガード→抑え込み」のパスの壁が最も高いと思います。「サイド→マウント、バック」や「マウント、バック→一本」の壁はそんなに高くないです。最も高い壁であるパスを越えるのが一番気持ちいいです。シュラプネル柔術の金古先生も「パスが一番気持ちいい」と言っていました。

 前回と重複する部分もありましたが、抑え込みのことをたくさんかけて満足です。次回は抑え込みの有効性を書く予定です。

2024/3/8 アンディ

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