あられ工場

すきなもの:きれいなおはじき。オムライス。ラムネ。おかき。夜明けの空の色。ピアノの曲。…

あられ工場

すきなもの:きれいなおはじき。オムライス。ラムネ。おかき。夜明けの空の色。ピアノの曲。最近特に好きな事:詩を読むこと、詩を書くこと。

マガジン

  • サニー左手首にリボンを結んであげるよ"日々のこと"

    写真とか日々の気付きについて書いてあります

  • まず思い出したら読みたい記事

  • 桃月堂本舗 ひなの巣にて "あられ工場の詩、お話"

    このマガジンでは、米菓工場の2階にある通称「ひなの巣」のことを綴ります。「ひなの巣」とは、小さなお煎餅や干菓子の詰め合わせ、”ふきよせ”を作る部署のことです。そこで起こる日々の様子を綴っております。お話・詩作です。

  • サニー  シロップ付けの こももをあげるよ "詩とか散文"

    詩や歩き方・過ごし方 出来事を綴ります

最近の記事

ケアする、される間に潜む狂気

冷たい雨が降る中、人間の条件 第四回本公演『桜の森の満開の下』を観てきた。 3月も下旬というのに、寒い日が続き、桜は全く咲いていない。静まり返った住宅街の真ん中にある「劇場バビロンの流れのほとりにて」に足を踏み入れた。 ********************************* 桜の花びらが舞う様子は劇場を出た後もチラついた。暗い夜道で、ふと思ったのは心の中に処理されることなく溜まっていた体験が作品を通して激しく散らばり、宙を舞った様な感覚だった。視覚的に捉えられ

    • 冬の雛の巣

      窓際の温度は冷気で少し下がる 暖かい部屋と外気に挟まれ 外が見えないほど窓ガラスは曇る ここは、おせんべい工場の2階 吹き寄せを作る部署通称『雛の巣』 休憩室から出て来た佐々木さんがぼやいていた この寒い季節に初夏の商品を検討するなんて 思いつかないと 清水さんが椅子へ座り直す これで全員揃ったね 来年の夏にだす商品を考えよう 足先が冷えるリノリウムの床は 曇り空と同じくらい鈍く光る こんな感じの透明の丸い筒型の容器にあられや豆菓子など何層か敷き詰めたらどうですかね

      • 君の街

        橋を渡り、バスはロータリーへと入って行く ロータリーの真ん中 やや高い位置に ポニーテールにレオタード姿で 向かい合うふたりの少女の像がある その周りを囲むように 薔薇は植えられている 朝も昼も夜も、ロータリーに入って来るバスは 少女たちの前を通り過ぎて行く 右手を掲げ、左足は後ろへ一歩下げて爪先立ち 背中は少し逸らしてハイタッチをする 少女たちの前をぐるぐるとバスはお客を乗せて通り過ぎて行く 真夜中の月が西へ傾く頃 そっと手を離した少女達は 静かに息を吐く そして

        • まっしろいもの

          玄関を出て 傘をさす 湿度を蓄えた空気が 歩き出した途端に 寄ってくる 地下鉄の階段で 色とりどりの傘を持つ人とすれ違う ひなの巣から かぼちゃのデザインをお願いされたんだ そう言いながら暖かいお茶を進めてくれる 目を細めてこちらをみつめる いつでも正しい答えを用意して 君を待つわけではない デザインしたスケッチを差し出される スケッチを見ながら もう一度 頭の中で繰り返す いつでも正しい答えは用意されていないと ココアパウダーを机の上にこぼした時 おぎさん

        ケアする、される間に潜む狂気

        マガジン

        • サニー左手首にリボンを結んであげるよ"日々のこと"
          24本
        • まず思い出したら読みたい記事
          1本
        • 桃月堂本舗 ひなの巣にて "あられ工場の詩、お話"
          10本
        • サニー  シロップ付けの こももをあげるよ "詩とか散文"
          15本

        記事

          新しい1年

          コマの真ん中に軸足があるだろ? そこからグルグルと糸を外側に向かって巻いていくのさ そう、それで、巻き終えた糸を勢いよく離すと コマは一本足で回転する いま、正確に答えがわからないことでも 同じ作業の繰り返しに見えることでも このコマに糸を巻きつけて行くように 続けていると 糸を離す瞬間、変化が起こる 離す瞬間は躊躇なくだ そうするとコマは勢いよく回る だから物事も同じさ 今までわからなかった答えが突然見えたり 続けて来た意味に気がついたりする 部署が変わっ

          新しい1年

          金網の向こう側

          キラキラと光るもの 緑色の苔が高架下でこんもり育っている アスファルトの黒い海で浮かぶ島のよう 青々としげり 朝日を浴びて光っている 高架下の箱庭 金網で囲まれた敷地の片隅にある世界 金網の向こう側は フードコートでカレーライスを食べながら 同期と話す わたしが発見する真実 金網の向こう側に広がる世界には ベッドがきしむ様な激しさはなく 頭が痛くなるほどの甘さもない 風はそよそよ 波も凪いだ ジオラマ世界 人通りの少ない駅のコンコース 金網の向こうから

          金網の向こう側

          乾いた空気の下で(4)

          眠っていたら般若心経が聞こえて来て目を覚ます。しばらく、聞き入り、あら、わりと般若心経覚えているものね…と関心したが、いったいこれは何かな?なぜか聞こえて来るかな?と思ったら息子の携帯が足元にある。あさの4時に般若心経をわざわざわたしの寝ている部屋で鳴らす悪戯はやめて欲しい。 お天気がいいので、洗濯物を干そうとベランダへ出たら、土曜日の夜に少し濡れたエナメルのバレーシューズを干していたことをすっかり忘れ、放置してあったので固まる。残念な自分… エナメルシューズがぁー!となる

          乾いた空気の下で(4)

          乾いた空気の下で(3)

          土曜日は、ようやく自宅を片付けしました。本来なら、春休みの間に前年度の教科書など整理して新学期を迎えられるように子ども達と準備するはずでしたが、全くやる気になれない状態のまま、4月になりようやく取り組めたのです。夜は、Live配信のお手伝いをして、なかなか貴重な時間でした。 日曜日は、家具が届いたので家族で組み立てをしたのですが、工具がないので近くのショッピングモールに入っている、ホームセンターまで行きました。先週日曜日にも一度訪れていたこのモールでしたが、緊急事態宣言が出

          乾いた空気の下で(3)

          乾いた空気の下で(2)

          昨日は、公園のベンチで記録整理など行いました。空が曇りだして寒くなってきましたが、ベンチの周りは鳩が数羽行ったり来たりしていました。 キッチンでのお話 帰宅が遅くなると、出来るだけ短時間で簡単なものを作り、食事は早く提供した方がいいと考えがちですが、なぜかそうならないことが多いです。我が家では、食事時間を気にするより美味しいものが出て来る方がいいという、不思議な空気があります。 ごはんまだ出来ない? お腹すいたよ? そんな催促をするはいい匂いがして来ると、時々顔を出して言

          乾いた空気の下で(2)

          乾いた空気の下で(1)

          コロナの影響で、通勤する人はグッと減りました。わたしは、訪問看護のお仕事故に自宅勤務は難しく、毎日変わらず通勤をしますこれからもずっとね。 そんなわたしも、ふと昨日から何か毎日書き残すことを始めてみようと思いました。 わたしが毎日、帰宅してから1番好きな家事は家族に食事を作ることで、この時間がとても落ち着きます。疲れているはずが、野菜を刻んで、お肉を炒めて、ひとつひとつの作業を連続して続けるうちに出来上がる美味しい料理は、なんというか達成感があって楽しいんです。 なので

          乾いた空気の下で(1)

          キッチンの片隅で

          キッチンの片隅で キッチンでケーキを切り分けていると 「不器用なんだね」って やっと切り分けたケーキは、 お皿の上で倒れる バタン バレたか そう、小さい頃から みんな、わたしの手元 見ていられないって言いながら 横から手を出すの 手が小さいから下手なんだねー って言いながら 姉はシャンプーをしてくれたし 大きなお皿をしまえないと そっと受け取って片付けてくれる 小さいからね まだ無理なんだよ その呪文は 細い路地裏を道草するみ

          キッチンの片隅で

          移動するという事

          踏切を渡る 桜の木は葉を赤く染めているだろうか 線路沿いに生えていた桜の木 桃月堂のおせんべい工場から 離れて半年が経つ 桃月堂の吹き寄せを作る部署 通称「ひなの巣」で吹き寄せを作っていたが 4月に部署移動となったのだ 地下鉄の改札を出て 階段を登る 大通りを右に曲がり 小さなうらみちを歩いて行く 古びたエレベーターに乗り 三階のボタンを押す 白いドアには四角い窓ガラスがはめ込まれ そこにはマーケティング企画部と書かれている 覗き込むといくつものパーテ

          移動するという事

          ソーダ水とこんぺいとう

          湿度の高い空に気泡が立ち上がる 雨が地上の空気を押し出すように降りはじめる 冷たい風を少しだけ吹き 地面に着地した気泡が空気に触れて弾け 水滴を撒き散らす ソーダ水のようだ 駐車場へ 降り注ぐ雨を見ながらそんなことを思う ここは桃月堂のおせんべいを作る工場 あられや金平糖、砂糖菓子で吹き寄せを 作る部署 通称「ひなの巣」 休憩室の扉が閉まる音がして振り返ると 森本さんが掲示板を眺めている ハジメさんの提案で金米糖工場の見学へ行くことになったのだ 森本さんは

          ソーダ水とこんぺいとう

          春のあさ

          熱を出して 三日ほど寝込んだ 明け方に見た三日月は春らしいむらさき色 何も食べていない事を思い出し、フローリングの床を裸足で歩く 少し頭が痛い 午前5時のキッチンに立ち ゆっくりとガス台に火を入れる 東の窓が明るくなる頃気温が下がる お茶の入ったカップをしっかりと包み、足先を丸める イングリッシュマフィンにバターを塗る マーマレードジャムの瓶にスプーンを突っ込む 久しぶりにのる自転車は ペダルが重たくて、なかなか進まない のろのろ走りひなの巣を目指す

          春先の寒さと草花

          明け方ベッドの隙間から 声を押し殺して泣く声が聞こえたので そっと隙間を覗いてみたけれど 何もいない 隣で眠るあなたは規則正しい寝息をたてている シャツのボタンは一番上まで止めて 胸元にモノレールの刺繍が入ったジャケットを羽織る コーヒーカップを置き、手袋を持って外へ出る わたしの職場はお煎餅工場の2階にある吹寄せを作る部署で 通称「ひなの巣」と呼ばれている ひなの巣では、春を祝う行事として 3年前からイースターのお菓子もつくり始めた これは予約を受け

          春先の寒さと草花