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要らん技術に飛びつくな

トッププレイヤーの試合が簡単に観られるようになった昨今。華々しくてわかりやすい技術を追いかけ回していると、もっと大事なものを見失うのではないかという話。


「技術」は目に見えてわかりやすい

複雑なコンボ、単発ヒット確認、オート対空、前ステ止め、バクステグラ、見てから差し返し、歩きガード、必殺技仕込み。

スト5には様々な技術が存在します。上級者やプロはそれらを上手く活用し、ハイレベルな試合を展開します。

実況解説でも「前ステ止めるー!」とか「誰の前で飛んでんだァ!」といったアオリがしばしば聞こえてくるので、こういった画面の上にわかりやすく見える技術には目を奪われがちになってしまいます。

こんな誰も読まない記事を読んでいるあなたはきっと、そういった情報や技術に流されて上っ面だけプロの真似をして気持ちよくなりたい人ではなく、ちゃんと自分の上達に技術を導入して強くなりたいと願う人だと思います。

なので敢えて問うておきたいのです。
その技術、本当に「あなたが勝つ」ために要りますか?

「技術」は「幻想」を植え付ける

プロのハイレベルなテクニックを観て、真面目なプレイヤーほどある種の「幻想」を抱いてしまうかもしれません。

あ、この技術を手に入れれば勝てるようになるんだ。

「プロがみんな使っているテクニック」みたいなものを導入することで、自分が抱える問題が全て魔法のように解決するという錯覚に陥ったことは、誰もが多少はあるのではないでしょうか。

確かにたった一つだけでゲームのパワーバランスを変えてしまいかねない技術は、たま〜〜に見出されます。

例えばスト5ならS1のジャングラ、S2のPunkの中足確認など。

しかし、改めて言うまでもなく、それは幻想でしかないわけです。もっと大事なものが分かりづらく見えづらいが故に、表面的に見えているそれだけを崇拝してしまう危険があります。

「技術」を下支えする「戦略」と「判断」

例えば中足確認

中足確認は物凄くリターンを上げることができるため、一部のキャラを使うなら絶対にないよりはあった方がいい技術です。

一方で中足を当てる技術については画面上にはほとんど反映されないため、議論されることがほとんどありません。いわゆる地上戦の領域。

偉そうにこんな記事書いてる僕自身もほとんどこの技術を持ってません。しかし、中足を当てるための戦略(というかプロセス、方法論)がありそうだなと、対戦していて半ば確信しているわけです。

一言に中足を当てると言っても、複数のフェーズがありそうです。まずは中足のリーチ内に近づく方法から始まり、次に相手に後ろ下がりをしたくなる圧の掛け方、または相手に技を置かせて差し返しの形で狩る方法など。

中足を当てる過程を確立してこそ確認のリターンが活きてくるわけで、こここそ自分より上手い人の考えを聞いたりリプレイを見たりして磨く価値がある技術ではないでしょうか。

確認精度というわかりやすい技術とは独立に、中足を当てるためのわかりにくい「ミソ」が存在するし、そっちの方がずっと大事と思うのです。

例えば前ステ止め

前ステを見てから止める。素晴らしい技術です。何がすごいかって反応速度ではなく、相手が前ステしてくるという読みと判断です。

「え、前ステを止めるって技術じゃないの?」と思ったかも知れません。まあ確かに技術ではあるのですが、ちょっと考えてみてください。前ステって速いんですよ。

どういう意味かというと、前ステを見てないと前ステは止まらないのです。お互い色々な選択肢がある中で、こちらが前ステを見る時間と向こうの前ステが噛み合わないと止められないのです。

相手の行動の選択肢はいくらでもあります。飛びも弾も様子見も技置きもあります。全対応は人間やめないと無理です。

その中で前ステを止めるためには、他の大部分の選択肢がケアできないぐらいリソースを割くわけです。いつまでも前ステだけを見るわけにはいきません。

したがって、前ステをしてきそうだという判断が重要になります。

じゃあどこで判断するかというと、例えば立ち回りなら
・こちらが体力リードしている
・地上戦を制圧し、対空もある程度見せて、相手が触る手段を一通り封じる

といった状況でやぶれかぶれな前ステが臭ってくるわけです。こういう状況を作れてこそ前ステを見るべきです。

ゆえに前ステを止める技術とは前ステを見てからコパンを押すというトレモ的な反射というより、数ある攻め手の選択肢を潰し、前ステ以外の手札を封じる過程から成るといえます。

だから例えば、同格以上の相手には大体の選択肢がを通されてしまう以上、前ステより先にテコ入れすべきところがきっとあると思います。

対戦中に前ステされてしまう場合は「見てから止める」という究極の解決を模索するのではなく「置きが少ないから前ステされるでは」と疑った方がずっと簡単だと思います。

お互いに何も届かない状況では、弾に潰されない程度に技を置きつつ上を見る。そうすると相手もやれる事は結構制限されます。

これは特定の技術ではなく地味な立ち回りの知恵です。わかりにくいところですが、やっぱり目立つ技術より大事だし、単なるトレモでは得難いものと思ってます。再三書いていますが、経験が何より重要だと思うのです。

要る技術と要らない技術の差

ここまで要らない技術について書いてきましたが、もちろん必要な技術も多くあります。基本的なところではコンボとか重ねとか。

要るか要らないかを判断するのは難しいですが、少なくともそれが勝ちに直結するかどうかを考えてみると、一つの指針になると思います。

あとは自分より少し上手いプレイヤー数人に話を聞くのがいいかなと。

この記事は特定の技術を身につけることを否定するわけではなくて、その技術の成り立ちというか前提、難易度、コスパなどを考えてみる必要があるという趣旨で書いてます。

自分自身、変な技術に囚われている部分もあるので、ほどほどに切り上げて、もっと大事な部分に向き合わなきゃなと思う次第であります。

結果をだせる努力には法則がある

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