寄生獣Ⅱ~血の絆~
【第一話 始まり】
「シンイチ、君は息子の変化に気付いているのか?」
15年ぶりに夢に出てきたミギーは昔と変わらない平坦な口調でそう言った。
始まりは交通事故。
息子ケイイチは、交差点を曲がってきたトラックと接触。撥ね飛ばされ、大量の出血をした。
「俺の血を使って下さい。」
病院へ搬送されたケイイチに、俺は迷わず自分の血を輸血した。
それから数週間。ケイイチはベッドから立ち上がれないほどの重傷だったが、経過は良好だった。いや、正直に言うと良すぎた。骨折を含めた全身の傷は全治3ヶ月と言われていたが、もう、ほとんど完治していた。また、その頃からだろうかケイイチは病室で独り言を言う事が多くなっていた。
シンイチ、シンイチ。
目の前のミギーが手のようなもの?を振りながら、ゆっくりと語り始めた。
「結論から言おう。寄生獣同士が性交しても、子孫を残す事は出来ない。だが、寄生獣の組織が混ざった血液を輸血する事で、仲間を増やす事は出来るようだ。
この事実を知られれば、お前の息子ケイイチは貴重な実験動物として、寄生獣と人間の両方から追われる立場となるぞ。」
絶望が全身を駆け抜けた。
「……どうすればいい?」
俺は言葉を振り絞った。
「簡単だ。私を殺せばいい。本体が死ねばケイイチの身体に宿った私の分身も死ぬだろう。」
ミギーを殺せばケイイチは助かる。
だが、それは、あまりにも失うものが多すぎる。
完全に沈黙した俺に、ミギーは
「シンイチ、早くしろ。これは即決しなければならない問題だ。だから……」
途中で話をやめたミギーは俺を見つめ
「少し遅かったようだ。寄生獣がこの病室に近づいて来ている。」と言った。
【第二話 遭遇】に続く
子供の頃からアニメが好きで、そのまま大きくなった40代です。(*´∀`)♪懐かしいアニメから最新のアニメまで、何でも見てます。