今年の夏、ビールは商品化されない。

ビールってみんな飲んでますけど、苦いですよね。あれ、本当に美味しいと思ってますか。

俺は一度も美味しいと思って飲んだことがないので、他の人のことはよくわかりませんけど、ちょっと「おかしなこと」を考えてみますね。

元々ビールはヨーロッパで飲まれていて、日本酒などに馴染んでいた昔の日本人は違和感を持って飲んだはずです。「なんだこの味は」と。でも外国の飲み物なので「よくわからんが、こんなものか」と感じたはずです。つまり味に絶対的な基準を持っていなかった。

それから日本独特の研究熱心さで、発祥の地を凌駕するレベルに到達するわけです。これはラーメンでも焼肉でもまったく同じです。

中学生くらいの頃、法事の席などで「ほれ、健ちゃんも飲め」なんつってビールを飲ませたがる親戚のおじちゃんがいますよね。奥さんに怒られたりしながら。で、一口飲んだ健ちゃんは「苦くてマズい」なんていうわけです。

ここで「うまい。のどごしスムース、キレがある」なんていう中学生はいません。ほぼ全員が「苦くてマズい」なのです。じゃあなんでそんなものを飲んでんのよ、と疑問を感じるんですが、それって「俺は知らんけど、こういう味のモノらしいよ」という思い込みなんじゃないかと思うんです。

大人になって酒の席につきあうようになると「これは苦くてマズいけど、なんとか飲めるようになったから自分も大人になったのかな」などと自分を納得させるのです。あの味が大好きで飲み始めるんじゃなくて、先輩とかに「お前、ビール飲めないのかよ、ガキだな」と言われるのがイヤで飲んだりもします。

で、たとえば今の日本にビールが入って来ていないとして、ある酒造メーカーが今年の夏にまったく新しい飲み物を開発したとする。それがビールとまったく同じ味のモノだとしましょう。

試作品が出来上がってグループインタビューにかける。出てくる意見は「苦くてマズい」ばかり。はたしてこれは商品化されるでしょうか。

今の時代では絶対に商品化されないでしょう。これがマーケティング至上主義の貧弱さです。消費者の要求を超える提案ができなければ、企業は迎合するだけの商品を提供することになります。ビールは存在できないのです。

などと、最後にちょっとだけビジネスくさいことを書いたふりをして、おはようございます。

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何度も読み返したい素敵な文章の数々 vol.3