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正方形のトリミング。

初めてフィルムのハッセルブラッドを買ったのは25年くらい前か。上からのぞき込む正方形のファインダーは鏡像なので、見えている左右逆にカメラを動かすのに慣れるまでしばらく時間がかかった。

スクウェアフォーマットは、雑誌裁ち落としなどで必ずトリミングが必要になる。135サイズも長辺方向がカットされる。だから645や67を使う方が便利なんだけど、プリントして額装した作品になると正方形はいい。

乱暴に言ってしまうと、それらしく「いい写真」に見えてしまうのだ。ポラロイドが格好良く見えるのも同じ。最初はそんなもので、雰囲気が良ければやった気になる。ハッセルを日常持ち歩くのは面倒だからMamiya new6も使っていた。これはMakina67と並んで、コンパクトでいいカメラだった。

デジタルに慣れてしまって135の比率に戻りしばらくしてから、instagramでまたスクウェアを意識するようになった。撮るのは難しいけどやはり正方形はいいものだ。

昨日RX100m6を買ったときに、正方形の比率があるのを思い出したので、instagramにはこれを使おうと思う。やはりトリミングではなく、のぞいた時の画角をそのまま使いたいから。

正方形のフレーミングが難しいのは、人間の眼の構造とはかけ離れていて、競走馬のように左右の視野を遮られている不自然な状態だから。映画のスクリーンでは135よりさらに左右が広い 2:1 くらいで見ている。人の視野にはその方が自然で、ぼんやりと見ている状態では180度より少し狭いくらいの範囲が見えている。

映画の半分くらいに左右の視野を狭めると何が起きるか。より「何を見つめているか」が明確になるし、明確にしなければならないということ。だからポートレートに向いている。とは言うものの、人間は立っていれば縦長にできている。正方形では左右に無駄な空間ができてしまう。

これが構図の難しさに繋がっている。では座っていたらどうか。それも一つの答えであり、そういった写真も多い。床に膝を抱えて座っている写真も見たことがあると思う。これは人間を正方形の箱に閉じ込める方法。

というようなことを後処理のトリミングでやってしまうとあまり自覚できないので、できれば比率の違うそれぞれのファインダーの中で解決するクセをつけておいた方がいいというお話でした。

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多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。