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ホンモノとニセモノ。

今回のロケは天候があまりよくなくて、想定していた場所での撮影をあきらめなければいけない可能性もあった。最悪の場合を想定して別カットを撮っておき、天気予備日に賭ける。

翌日ほんの数十分だけ天気が好転し、なんとか思っていたカットを撮ることができた。こんなことを30年もやっているとだいたいのことには驚かなくなるし、神経は土管くらいに太くなる。

写真にはホンモノとニセモノが写る。スペイン村はスペインじゃないし、ハウステンボスはオランダじゃなく、パリっぽいカフェはパリじゃない。

イタリアまで行って砂浜のアップで商品を撮ったこともある。「それなら江ノ島でもよかったんじゃないか」と言われても、そうじゃない。光も砂も違うのだ。

ニセモノを撮ることは、ニセモノでもいいという甘えを生む。それが効率的で合理的だと思うならそれでもいいんだけど、それなら俺は写真を撮る仕事なんかしない。

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多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。