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「ズルムケ理論」

「ブラック企業の作り方」
https://lineblog.me/nishino/archives/9298155.html

西野くんの言っている「全員で巨大な石を持ち上げている姿」というのは比喩として素晴らしいなと思った。

しなくてもいい、もしくは「なぜするのかわかっていない」ことを全員でやっていて、そこから抜け出せない構図。さらに独特の相互監視システム「隣組」っぽさもあるのかもしれない。

俺が我慢しているんだからお前も抜けるなよ、というのはまったく論理的ではないんだけど、いつの間にかそれを無自覚に自分も信じるようになっていくのが怖い。

中島みゆきさんの、輝かないが献身的な人を歌った「地上の星」を現代の軍歌だと言った人がいて、なるほどと感じたことがある。マゾヒスティックとまではいかないが、その気持ちは会社に10年勤め、20年フリーランスをやったわずかな経験でどちらも理解できる。

俺は巨大な石の下から抜け出せないことを「ズルムケ理論」と呼んでいる。西野くんは連帯責任を言っているけど、自分個人が抜けたいと思っているのに抜け出せないという意味でのパーソナルなブレーキのことだ。

電車が走っている。その電車がブラック企業だとすると、それに気づいたときに電車から飛び降りればいいのだとわかる。でも飛び降りると全身が叩きつけられてズルムケてしまう。それが怖い。気持ちはわかるけど、ズルムケが怖いから乗り続けるという選択肢は、のちに谷底に落ちて死ぬ、ということのモラトリアムでしかない。

しかし俺はサラリーマンを辞めるときに、同じ速度で並行して走っているフリーランスという電車に執事とメイドと医療班がいるような、かすり傷さえ負わない経済的状況を確認してから乗り移っただけなので、偉そうなことを言える立場ではないのだ。

理論だけは知っているのだ。天文学的に説得力がなくてすまぬ。

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多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。