見出し画像

「デカメロン」

どんな人に「才能」を感じますか、という質問をされることが多い。30年仕事をしてきた経験で言うと、ひとつしかない。

単純だけど、「自分に足りないモノを知っている人」だと答えている。能力が足りないとわかっていて、それを素直に認められる人は向上する。

今持っている能力でどうにかやりくりできると過信して努力をしない人の仕事は、元が小さいのに時間が経つほどさらに縮小していく。年齢にしては能力がないなと思われるバイアスがかかるからだ。

誤解して欲しくないのは、一流の人にはいい仕事が来るとか、有名な人には黙っていても条件のいい仕事が来る、と思ってしまうことだ。これは順番が逆で、いい条件の仕事を頼もうとしたときに名前が挙がる回数が多い人が「能力のある人」だ。

同じことを言っているようで、この差がわからない人がいる。

重要なのは「素直」ということで、あなたにはここが足りないと言われたときに、教えてもらったことをヒントに勉強を始める人と、言われたことだけに腹を立てるタイプがいる。

仕事は見えている結果がすべてだから、誰かに助言を受けたり、教えてもらったりしても、それが見た人に伝わることはない。だからもらった意見を自分の結果に加えた方が圧倒的に得だ。でも売れないミュージシャンみたいな人は、「俺たちは俺たちの音楽をやる。助言は受けつけないぜ」みたいなことを居酒屋で言っている。

「一生やってろ」と思うのは、そういう人ほど心の中では音楽性に対するプライドなんかじゃなく、有名になりたいとかお金が欲しいとか思っているからだ。

ハムスターがいくら汗をかいてクルクル回っても、同じ場所にとどまっているのにな。

俺はずっと畑仕事をして土地を改良したり肥料を試したりしながら、割と大きめのメロンを収穫できるようになってきたんだけど、そこにやってきた人が「儲かりそうだから俺もメロン作ろうかな」と言われても、何の助言もない。

まず畑の土地を買って、汚れてもいい作業着に着替えてから言えよと思いながら、おはようございます。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。