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メイクにうるさいニーチェ。

たとえば、ソクラテスやプラトンが生きているときに俺が写真家をしていたとして、撮影を頼まれるとする。それはエキサイティングなことだよな。

「同時代性」というのはどうにもならないから。ソクラテスは今の人に置き換えると誰だろうと思っても、ちょっと比較のしようがない。社会の構造が変わっちゃってるからな。

シェイクスピアみたいな文学者にしても、今の小説家とは意味が少し違う。現在というのは、有史以来の過去という「圧倒的な重し」に押し潰されている一枚の紙みたいなものだから、それを過去の「全部の歴史」とは比べられない。

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当時でも、「はい、ニーチェさん、スタジオに入ります」みたいな、今、撮っているのと同じだったんだろうな。「あのさ、超人っぽいカンジで撮ってくんねえか」「はい。できる限りやってみます」「あの人、けっこうヘアメイクにもうるさいんだよね」みたいなことだったのか。

何の話かわからなくなったけど、今ポートレートを撮るなら、自分と同じ時代に生きていて写真を撮れていてよかったと思える人と出会いたいよね、っつー話。

それはソクラテスじみた有名人じゃなくたっていいんだよ。誰だって俺のカメラの前に立つ人は同じ。あなたでもね。

2020年1月末に発売。予約受付中です。
『ロバート・ツルッパゲとの対話』
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多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。