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歯周病への効果が認められた成分とは?おすすめのデンタルケア商品

・獣医さんに歯周病だから歯磨きを頑張るように言われてしまった
・おすすめのデンタルジェルってある?
という疑問に答えます。

世の中には無数にデンタルジェルが売っていますが、最近では、より先進的な有効成分を含んだデンタルジェルが人気を集めています。

ネットで検索すると、「〇〇が効果が高い」とか「△△が歯の汚れを吸着してくれる」とか、ざっくりと解説されています。

実際のところ、効果が認められている成分って具体的にどんなものなのか、知りたくないですか?

この記事では、犬の歯の健康に効果的な成分について解説し、あなたの愛犬に合ったデンタルジェルを選ぶお手伝いをしたいと思います。

歯磨きジェル難民になっている飼い主さんの参考になれば幸いです。

歯周病に効果が期待できる有効成分

乳酸菌、ビヒィズス菌

1つ目は乳酸菌やビヒィズス菌といった口腔内善玉菌です。

腸内細菌叢があるように、お口のなかにも口腔内細菌叢があります。

つまり、お口のなかも多数の善玉菌と悪玉菌が存在し、バランスを保っています。

歯周病の犬のお口の中は、歯周病菌(悪玉菌)が過剰に増殖した状態であり、悪玉菌の独擅場となっています。

それに対抗する善玉菌を増やしてやることで、悪玉菌の増殖を少しでも押さえつけようという作戦です。

ラクトフェリン

ラクトフェリンとは、母乳に多く含まれる物質で、細菌感染から身を守ってくれる糖タンパク質です。

その役割は非常に多く、多機能性タンパク質として知られています。

ラクトフェリンの機能

  • 抗菌・抗ウイルス作用

  • NK(ナチュラルキラー)細胞の活性化

  • 過剰な免疫反応を抑える

  • 善玉菌増加(善玉菌の餌となる)

  • 貧血を予防する(鉄吸収率を上昇させる)

  • 過剰な活性酸素発生を抑制

  • ストレス緩和作用

非常に多くの機能が認められており、ヒトでは様々な疾患への効果が認められています。

このうち、犬の歯周病に関わる機能は、主に抗菌作用と善玉菌増加作用の2つです。

歯周病菌はLPSという毒素を作ります。

LPSは炎症反応を引き起こし、歯肉のコラーゲンを分解して歯肉を破壊していきます。

ラクトフェリンはLPSを無毒化し、歯肉炎やコラーゲン分解を抑えてくれることが分かったのです。

ラクトフェリンのビーグル犬自然発症歯肉炎抑制効果https://www.jstage.jst.go.jp/article/amjsp/2006s/0/2006s_0_82/_article/-char/ja/

ラクトペルオキシダーゼ

こちらもお乳の中に含まれる成分の一つです。

唾液に含まれるチオシアン酸イオンと過酸化水素の化学反応を手助けし、次亜チオシアン酸という物質を産生します。

これが強い抗菌活性を発揮するのです。

グロビゲンPG

以前から紹介してきたグロビゲンPGです。

グロビゲンPGは、別名リベチン含有卵黄粉末と呼ばれる成分で、特殊な加工によって細菌毒素を無毒化してくれる仕組みになっています。

もう少し具体的に説明しましょう。

歯周病菌が作る毒素の1つにジンジパインという毒素があります。

先程のLPSと同様、歯周組織を破壊する破壊魔の1つです。

これを無毒化できる有効成分がグロビゲンPGなのです。

グロビゲンPGの中身は、抗ジンジパイン抗体というタンパク質を粉末化したものです。

抗ジンジパイン抗体とは、歯周病菌が作るジンジパイン毒素に対して、鍵と鍵穴のように結合して無毒化してくれるタンパク質。

簡単にいうと、ジンジパインをピンポイントでやっつけるスナイパーのようなタンパク質です。

鶏にジンジパインを接種すると、鶏の体内でジンジパインに対する抗体が出来上がります。

その抗体は卵黄の中にも分泌されますから、それを粉末化することで抗ジンジパイン抗体が製品化できるのです。

これがグロビゲンPGの正体です。

抗体というタンパク質は、非常に強力に目的の物質に結合します(私達が風邪をひいたときに、原因ウイルスを攻撃してくれるのも抗体です)。

お口の中がジンジパイン毒素だらけの子には、グロビゲンPGが特に効果を発揮すると考えられます。

実際、「グロビゲンPGが歯周病に対して効果を発揮しそうだ」というデータは積み上がりつつあり、以下のような科学論文でその効果が認められています。

犬の歯周病に使用して効果が得られたというデータがまだまだ乏しいですが、予備的な結果だけ見れば、効果が期待できそうなデータは揃いつつあります。

http://www.igy-research.com/CAP2013.04.pdf
http://igy-research.com/2016.5 CAP 歯周病罹患猫.pdf

ヒトの歯周病患者さんのデータが多いですが、ヒトの歯周病と犬の歯周病、原因となる主な細菌は共通している部分が多いです。

ヒトの歯周病に対して効果が認められるということは、犬への応用が効く可能性は多いにあるでしょう。

今後は犬の歯周病に対する直接的な検証が進むといいなと思っています。

注意!ちなみにグロビゲンPGは卵由来の成分ですから、卵アレルギーの子は控えたほうがよいでしょう。

シソの実エキス

シソの実エキスに関するデータは限られていますが、ヒトの虫歯や歯周病に対する効果が認められています。

Biosci Biotechnol Biochem 2002 Apr;66(4):921-4. doi
https://www.oryza.co.jp/pdf/japanese/口腔カタログ4.1.pdf

シソの実エキスに含まれるルテオリン、ロスマリン酸などのポリフェノール類が、ヒトの虫歯菌(S. mutans や S. sobrinus)や代表的な歯周病菌(P. gingivalis)に抗菌活性を発揮します。

しかも、その他の犬の歯周病菌(P. gulae 及び P. salivosa)に対しても抗菌活性があったことが示されています。

また、ルテオリンには活性酸素を除去する作用もあり、炎症部位の活性酸素を取り除くことで歯周組織の破壊を防ぐ効果が期待できます。

シソの実エキスには消臭作用も認められていますから、歯周病による口臭が気になる飼い主さんにも一押しの成分です。

おすすめデンタル製品

ビルバック (Virbac) C.E.T酵素入り歯みがきペースト

多くの動物病院で取り扱いがあるであろう、王道の商品です。

有効成分:ラクトペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ

Pero One (ペロワン)

こちらは、歯磨きジェルではありません。舐めるタイプのサプリメントで、獣医歯科専門医がおすすめしている商品です。

可能であれば、歯磨きをしたあとの歯茎(特に歯と歯茎の間)に塗り込めるとよいですが、難しければドッグフードの上に乗せて舐めさせるだけでも構いません。

美味しく作られているので、好んで食べてくれる子が多く、歯磨きができない子たちにもおすすめしています。

有効成分:ラクトフェリン、グロビゲンPG、乳酸菌(KT-11)

オーラルガード

粉状のふりかけタイプのサプリメントです。ドッグフードの上にふりかけて食べてもらいます。

主成分はグロビゲンPGです。

有効成分:グロビゲンPG、乳酸菌、ラクトフェリン、カテキン

t/d

ヒルズの療法食、t/dです。

すごく粒が大きく、ガリガリと噛みごたえのあるドッグフードです。

物理的に歯垢を取り除く効果が認められており、科学的根拠のある療法食です。

普段のごはんに少し混ぜることで、歯垢を落とす効果が期待できます。もちろん、これだけを与え続けても問題ありません。

療法食になりますので、かかりつけの動物病院で手配してもらってください。


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