見出し画像

2ヶ月前

ちょうど2ヶ月前の今日の今ごろ
私は母と温泉宿の送迎バスに乗って駅に向かう途中

駅に荷物を預けて近くの
ちょっといいスーパーでちょっといいお酒を買って
タクシーに乗って母の実家に向かう

私なんかもう何十年ぶりだろう、の、母の実家へ

小さい頃は毎年行っていた母の実家
商売をやっていることもあって
子供3人連れた母の滞在は大変だったと思う
よく迎え入れてくれたものだ

最後に行ったのは高校生の頃
ちょっと嫌なこと言われて「もう絶対行かない」と思った
思春期はいろいろ難しいのだ

それから本当に行くことはなかった

結婚前に小旅行を兼ねてお墓参りには行った
それだってもう20年以上も前の話

久しぶりの母実家は
記憶より街も建物も小さく見えたけど

何も変わっていなかった

連絡もなしに顔を出して
忙しそうだったらお土産だけ渡して帰ろうと言っていた

商売口から入って行ったら、ちょうど従姉妹がいて

すごくすごくびっくりした顔をしていた

「どうしたの?」

「昨日お墓参りに行って、近くの温泉に泊まってきた」

時々ショートステイに行くという伯母も今日は家にいるという

「伯母さんいるの?会っていい?」

上げてもらうことになった

そういえばその間、母はあまり口きいてなかったような

裏の方から家族の居間の方に通してもらって
その隣の和室、今伯母さんが使っている部屋に

「姉ちゃん」

母は言って、伯母さんに抱きついて

ちょっと泣いてしまった

「どうしたの」

伯母さんは、ちょっとびっくりして、笑っていた


みんなで居間の方に移動して、席を囲む

何度も何度も来たことのある、見覚えのある空間

伯母さんも従姉妹も、全然変わっていなくてびっくり

病気して痩せたと伯母さんは言っていたけど
そのせいかすごくおばあちゃんに似ていた

従姉妹は私を、亡くなったもう1人の伯母さんに似てると言った

そこにいる皆、どことなく似ている

やっぱり、繋がっているんだな

母と並んで話しはじめたら伯母さんが

「私もきついこと言って悪かったな」と言った

そう、母自身、同窓会で地元には行っていたものの
実家に帰るのは久しぶりで

もうけっこう前だと思う、伯母さんと喧嘩になって
従姉妹に「もう来ないでくれ」と言われたとか何とか

うちの母も言葉足らずというか
思い込みの激しいところがあって
知らずに人を怒らせてしまうようなところがある

そんな母を知っているので
また母が変なこと言ったんだろうな

くらいに、思っていた

他県で遠いこともあって普段ほとんど行き来もないし
正直、私は全然深刻に捉えてはいなかった

けれど

自分の実家から「もう来ないでくれ」と言われたら
それが勘違いとか思い込みだったとしても
なかなか哀しいことだと、今なら思う

だから今回の再会は

母にとっても

母実家にとっても

もちろん、私にとっても

大きくほっとしたというか

本当に、よかった

顔を合わせて話してしまえば、そこは家族だから
身内の話題で、話は盛り上がる

商売も忙しいのに、いそいそと世話を焼いてくれる従姉妹
コーヒーやお菓子に美味しい果物に、お茶に

お昼近くなって
そしたら「出前を取るけど」と

一緒にラーメンを食べることになった

そうこうしているうちに家業を継いでる従兄弟の子も戻って来て
やっぱりすごくびっくりしている

「どうしたの?」

お墓参りと温泉に行ってきた話をして
全然変わらないねと言い合って

届いたラーメンを皆で食べる

地域独特の麺の感じ
出前で麺がちょっと柔らかい
そこも含めてとても美味しい

皆どこか似ている

私もその中に存在している

親戚って

血って

不思議だな


ちょっと顔出せたら、のつもりが
結局3時間ほどの滞在になって
思わぬ歓待も受けて

帰途に着く


後日、母から電話で

今回のことがなかったら
実家に顔出すこともなかったかもしれない

だから本当に、ありがとう、と

でも、私自身

この訪問で何か自分の中にあった
わだかまりみたいなものを

すごくリセットできたと思う

母と実家に行ったことで
私の姉妹も喜んでいる

きっとおばあちゃんとか
ご先祖さまも

喜んでいるのではないのかな

だからみんなにとって

よかった

よかった

母の実家に行ったことでまた

母方のルーツに思いを寄せることになって

会ったことのない従姉妹や

叔母や、祖母や、曽祖母や

女系の祖先に気持ちが向く

そう、母自身三姉妹
私も三姉妹

母の姉たちも娘しかおらず

女系の家系なのだけれど

そんな女性たちに意識が向く

会ったことのない従姉妹や

叔母や、祖母や、曽祖母や

たくさんの女性たちに

気持ちが向いた

この小さな旅

また

行きたいな

行ってみようか

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?