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徳富蘇峰先生に会いに行く〜神奈川県中郡二宮町『徳富蘇峰記念館』編〜

これは2024.1.12の旅行記です。


徳富蘇峰記念館正面(正力松太郎筆)

徳富蘇峰先生に会いに行く

 明治・大正・昭和の3時代を生きた徳富蘇峰先生の足跡をたどるべく、旅を始めました。一文学オタクである私のパーソナリティはあまり関係ないので、ここでは現地での感想と、その時撮影した写真を豊富にして語りたいと思います。

 熊本で生まれて熱海でお亡くなりになった徳富蘇峰先生。一番最初にお伺いしたのは、『徳富蘇峰記念館』です。

立派な看板が見えている3階建ての建物でした。

東京から徳富蘇峰記念館へ

東京都内からたっぷり2時間かけて訪れた『徳富蘇峰記念館』。
品川から上野東京ラインで行くと、比較的スムーズです。熱海行きの電車に乗った後、道中の景色は大変のどかでありました。

最寄りの『二宮駅』からは徒歩で12分。
駅前にはバスがありますが、『徳富蘇峰記念館』へ直通のバスは見当たらず、徒歩でのんびりと向かいました。線路沿いをずっと歩き続けるのですが、目印となる蘇峰記念館の案内板を見ると、やはりほっとします。

看板の通りにまっすぐ行くと、右手に見えてきます。

とっても親切な看板。
そして入口へ!蘇峰堂の揮毫は蘇峰先生なのかな?

記念館の由来を読む

 案内板によると、蘇峰先生の記念館は元々民家です。それも蘇峰先生の助手を務めていた塩崎彦市さんのご自宅で、現在も塩崎さんの遺志を継承した徳冨蘇峰記念塩崎財団によって管理されているということでした。

入園料は一般500円。企画展示も見れますよ!
お庭には立派な梅の木が。生前の蘇峰先生も春秋に遊びにいらしていたそうです。

すごいぞ!蘇峰記念館

 立派なお庭を拝見してテンション高々。ついでに蘇峰記念館の素晴らしいコレクションを拝見できる記念館のサイトをご紹介します。

 蘇峰先生に宛てられた書簡約4万6千通と、書籍1万冊を扱う記念館さんの充実したコレクションを検索することができます。近代文学オタクは、ズラリと並ぶ文豪の名前を見て鼻水が出ました。

特別展『もう一度比べて見たい! 各界名士の書簡』展

特に目的なく手ぶらで文学館来てもいいの…?
もちろんです!

 期間限定の貴重な資料を展示してくれていたりするので、手ぶらでも楽しめます。現在の展示は『もう一度比べて見たい! 各界名士の書簡』展。
新島襄、新渡戸稲造、森鴎外、夏目漱石、伊藤博文、後藤新平、渋沢栄一、森永太一郎、新島八重、九条武子の直筆書簡が展示されています。

平時は古文書やくずし字には縁がないのですが、しっかりと解説がついているので安心です。可愛いはがきサイズのイラストでお手紙が要約されているので、これを見るだけでも楽しめます。

 甘党だったらしい蘇峰先生と森永製菓の森永さんとのお手紙から、森先生の「僕の書いたまずい作文なんぞ載せる価値無しでしたか?」というちょっとピリッとした関係をうかがわせるお手紙まで、いろんなものが揃っています。
(森先生、催促のお手紙の翌日にちゃんと新聞に掲載されたので、赤面ものだったはず……でも、蘇峰先生は森先生びいきだったようですよ)

 病身の新島襄先生からのお手紙で「無事療養できそうだ」と仰ったその2か月後にお亡くなりになってしまうなど、時代の流れも感じさせます。

現在の展示は特別展『もう一度比べて見たい! 各界名士の書簡』

館内でビデオを見れますよ

 この当時の文豪の皆さんのイメージといえば、大体が「白黒写真」もしくはイラスト。そんな中で、蘇峰先生はカラー写真と動画が残っている稀有な偉人です!
 中に入ると20分ほどのビデオを鑑賞することができるのですが、この中に蘇峰先生の在りし日の姿が見れる貴重な動画があります。

 映像が撮影されたのは昭和16年とのことで、真珠湾攻撃のあったこの年、本当に映像が公開されたかはわからない、しかしとても愛されていたと思う……という学芸員さんのお話が大変印象的でした。

映像には蘇峰先生の一日がおさめられており、朝の日の出前に『近世日本国民史』執筆に取り組み、大体お昼ごろまで執筆し、その後はお散歩に出るといった日々を送っていたようです。

既に杖をついていらっしゃったのですが、歯も揃っていてとてもお歳には見えない…!というしょうもない感想しか残せなかったのがただただ残念です。

 同志社大学に在学中洗礼を受けた恩師新島襄先生との交友、多くの文士を率いた『国民之友』記者時代、一代で東京5大新聞の一角まで名を上げた『國民新聞』社長時代、多くの人々から愛され国民的な英雄となった戦前、そしてすべての栄誉を返上してA級戦犯の認定を受けた時代まで、多くの写真と共に詳しい解説を聞くことができます。

お庭の梅が開きかけていました(撮影は1月12日)

萬古仰天皇の書

 内部の写真はなにもないのですが、中にはたくさんの美術品があります。特に目を引いたのは、恐ろしいほど大きな「萬古仰天皇」の書でしょうか。

「萬古(ばんこ)天皇を仰ぐ」は「神州(しんしゅう)孰(た)れか君臨(くんりん)す」への答えとして書いてある、とのことでした。

「神の国日本に君臨するのは天皇である。」 

その力強い書の前に立っていると、この言葉を胸に命を懸けた人が確かにいたのだなと考えされられました。

1月下旬には梅が開きそうです。

新島襄先生ゆかりの木を背に

 たくさんの方と交友し、時代を作った蘇峰先生。
その人生の一端に触れる貴重な資料館にお邪魔しました。梅の木と仲良く並ぶカタルバの木も必見なのでぜひ楽しんでください。この木を海外から取り寄せて友に贈る新島襄先生のスケールに感服です…

新島襄永眠125周年記念の年に同志社から寄贈されたカタルバの木

二宮の街から何処へ

 蘇峰先生についてもっと知りたい!という思いを深くして、二宮の街を離れました。次なる旅の候補地は3か所です。

・山王草堂記念館(東京都大田区)

蘇峰先生の旧居の一部と資料が残っているようです。

・山中湖文学の森三島由紀夫文学館・徳冨蘇峰館(山梨県南都留郡山中湖村)

山梨県にもゆかりがある…!?
記事を書くために調べていて初めて知りました。

・古屋旅館(静岡県熱海市東海岸町)

蘇峰先生が年間100泊以上利用していた熱海一の老舗旅館。
徳冨蘆花先生が愛用した千明仁泉亭といい、温泉大好きなご家族だったのかな。
一度でいいから泊まりたい…!!

そして熊本にも、いずれ行ってみたいなぁと思います。
また旅の記録を書くと思うので、読んでいただけたら嬉しいです。
ありがとうございました。(冬哉)

可愛い椿のマンホール。


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