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彼岸花の咲く頃 昔と今

「彼岸花は家に持って入ったらアカン!」
亡き母の言葉はいつまで経っても忘れられない。
真っ赤な花は家の中に入れると火事になると言う。
知らなくて彼岸花の束を喜んで抱えて帰ったら、ものすごく叱られた。
後で火事になったらどうしょう…💧としばらく子供ながらに怯えていた。
幸いにして火事にはならなかったのであるが。

私の子供時代は田んぼは何処の誰の田んぼであっても気にせずに入り格好の遊び場となっていた。
稲が稔るととてもいい香りがしてくる。
刈り取った後は稲の香り、稲木に掛けられた風景、藁の香りもしてそれは今も記憶に残っている。
幼い私は色んな季節の草花を摘み遊んでいた。
彼岸花を抱えきれないほど摘んで首飾りを作り独り占めできた贅沢な時間…
そんな幼少期を過ごしていた。

凛と咲く

だがいつの間にか田んぼは神聖な場となり
「田んぼに入らないでください」の看板も見るようになった。
当然持ち主の許可なく入る事は許されず、子供達も遊べなくなり、畦に咲く彼岸花さえ満足に見ることができなくなってしまった。
どんな場面でもよくある事だが「映え」を追求するあまりその場所が私有地かどうかも理解できなくなる時がある。
畦や田んぼを踏み荒らす行為は持ち主の農家さんにとって大変失礼極まりない事であるし、そこに咲いてる草花を折ったり踏んだりするのも許される事ではない。
美しい写真の裏側ににそんな酷い悲しい行為を隠してほしくない。
観光地となっていてもマナーを守り、ますばこの目で彼岸花を愛でよう。
そして美しい姿をそっと撮らせてもらおう。

子供だったあの頃はカメラもなかったし、あったとしても私の周りではカメラは人を撮るものであった。
幼い自分に会えるなら毎年同じ場所にいきなり姿を現す彼岸花に囲まれて無邪気に遊んでいる自分を撮ってみたい。
それはもう叶わぬ夢だから今の自分の姿で我慢しておこうか…笑
しかしいざ彼岸花を目の当たりにするとお花の美しさばかりに夢中になり、後で自分を一枚も撮ってないことに気付くのである。

雨上がりの彼岸花が美しくて…

今年は暑かったから咲くのが遅い気がするね。
君たちの姿は狂おしいほどに真紅でドキドキするんだ。
また会えるだろうか…



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