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(エーリッヒ・フロム

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〈エーリッヒ・フロム〉

本屋さんの入り口付近に平積みされていた。学生時代、よくわからずに手にとったもののなかの一冊(一人)だ。社会心理学者で フロイトにマックス・ヴェーバーとマルクスを'接ぎ木'して、精神分析学を「修正」し、上記の分野を生み出したという。

The Art of lovingというこの本は、私は4章が
面白かった。 フロムは、ユダヤ教の律法学者の曾祖父 祖父の家系に生まれ自身もタルムード(ユダヤ教聖典)学者を目指したが、社会心理学者となり、後年、仏教の研究にも没頭し、禅に取り組み、移住先のメキシコに鈴木大拙を招き共同でゼミナールを催しているという。

哲学という'接ぎ木'が、心理学という横の広がりに垂直的な深みを与えていると思う。『二人の人間が自分たちの存在の中心と中心で意志を通じあうとき、すなわちそれぞれが自分の存在の中心において自分自身を経験するとき、はじめて愛が生まれる。この「中心における経験」のなかにしか、人間の現実はない。人間の生はそこにしかなく、したがって愛の基盤もそこにしかない。そうした経験にもとづく愛は、たえまない挑戦である。それは安らぎの場ではなく、活動であり、成長であり、共同作業である。」』また、ナルシシズムの克服には「信じる」という行為
が必要で、その信念を持つには勇気が必要、である。そして、欠かすことのできない一つの姿勢が「能動性」— 内的能動、つまり自分の力を生産的に用いることである、と述べる。2章には、「自己愛」についても述べられている。

哲学書などで「愛」についての考察を読むと 非常に硬質なものが残るが、心理学というフィールドでは その硬度(軟度)が、ここ2~3日の自分には、今まであまり積極的に取り入れてこなかったけれど、少し息を抜けるような、自身の(心の内部の)場所で感じられた。

それにしても、店頭での平積みで つい買ってしまう私は 未だ カナリの情弱だ な。 


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  ( '14/2/11. ).

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