『VIVANT』(全10話):メモ

橋爪功の存在感ってなんか、凄いなあ、と思った。最後の最後にチョロっと出てきて、「やめろ!ちがう!』言ってるだけなのに、結局、『VIVANT』って、橋爪功のドラマだったような気がしてくるから恐ろしい。いや、実際、橋爪功の演じる公安課長(当時)が、この『VIVANT』という物語の最初の最初のキッカケと作ったんだから、言ってみれば、橋爪功のドラマだって言えば、そうななんだけどね。

演技(芝居?)で一番感心したのは、堺雅人に「テントの最終目的地は日本なのか」と訊かれた役所広司が「昔は恨みに思っていたけど、今はもうどうでもいい」的なことを言って、それを否定するところ。

つまり、本心をズバリと言い当てられた人間が、「いやそんなことないですよ。それは違うます」と、嘘をついて否定するときの、「嘘がつききれてない感じ」「なんとかしてはぐらかそうとしているのが透けて見える感じ」「本当のことを言われて心穏やかでないけれど、できるだけ平気な顔をして、相手が勘違いしているだけだと思わそうとして、しかし、挙動が微妙におかしくなる感じ」が、見事に表現されていて、凄いと思った。

が、その「凄い」が本当なのか、単なるこちらの「勘違い」なのかは、最終回を見るまで確かめようがななかった。これもまた、橋爪功(が演じたキャラ)が登場によって、「勘違い」ではないことが分かった。やはり、凄かったのだ。ただし、この場合は、橋爪功じゃなくて、役所広司が凄かったんだけどね。

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