「毛ぼうし」と「ニットキャップマン」

『Live Beautiful Songs』という2000年に発売されたCDを持っている。矢野顕子、大貫妙子、奥田民生、宮沢和史、そして、鈴木慶一の5人が一緒にやったライブを収録した二枚組。

その中に、鈴木慶一と矢野顕子が一緒に歌ってる「ニットキャップマン」という歌があって、もう、死ぬほど聴いたし、またさっきも聴いた。輒ち、20年以上も聴き続けているわけだが、その理由はただひとつ。とにかく、いついかなる時にも、琴線に触れ、わけのわからん涙がこぼれ落ち、それが、自分でも面白いからだ。所謂「名曲」というやつなのだろう

この歌に出会ってからは、もはや他の掌編小説の類は読まなくてもいいと思ってしまった。4分ちょっとのこの一曲で、自分自身の「この手の物語に対する需要」は満たされてしまっているのだ。

さて、さっきまた聴いたときに、ふと思いついて、ライナーノーツを調べたら、ムーンライダースの歌であることが分かった。それでまたふと思いついて、YouTubeMusicで「ニットキャップマン ムーンライダース」で検索してみたら、なんと、小津安二郎的な映画を装ったPV『毛ぼうし』が出てきて驚いた。主演は鈴木慶一と糸井重里という悪ふざけ。監督は岩井俊二郎とあったから、岩井俊二なのだろう。面白かったが、歌のほうがいい。それも、20年以上聴き続けたBeautiful Songs版の方が、歌としても、掌編物語としても、好い

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