『ヒューマニエンスQ/死』:メモ

『ヒューマニエンスQ』の「死」の回を観た。

細胞の分裂回数を制限する「回数券」のような役割を果たすテロメア。しかし、老化を防ぐことを目論んで、テロメアに細工をして細胞が無限に分裂できるのようにすると、その細胞は癌になる。と専門家が話していた。これを聞いて、ついうっかり、「細胞が無限に分裂するようになったものが癌なんだから、そりゃアタリマエだヨ」と、全くマト外れなことを思ってしまった。

ソウジャナイ。

テロメアからの制限がなくなった細胞が無限に分裂を繰り返すことと、癌細胞が無限に分裂して増えていくことは、まるで違う話。

喩えて言えば、テロメアが消耗されない細胞の「無限の細胞分裂」は、後継者が絶えることがないということ。一方、癌細胞の「無限の細胞分裂」は徒党を組む仲間を増やし続けられるということ。つまり、前者は時間的に「無限」で、後者は空間的に「無限」。で、「時間的に無限」(テロメアの減らない細胞)が、「空間的に無限」(癌細胞)になるのは、先行する世代の細胞のエラーを後続の世代の細胞が引き継ぐということを「無限」に繰り返してしまうから。つまり、分裂を繰り返してきた「代々の細胞」のエラーの蓄積によって、その細胞は癌化する(あるいは死滅する?)。…と理解した。

或る物語本から写本Aをつくり、写本Aから写本Bを作り、写本Bから写本Cということを繰り返していくと、写本Zに書き写された物語は、オリジナルの物語とは色々と違ったものになっているのは間違いないし、もしかしたら、オリジナルの物語の最も大事な部分を失ってしまっているかもしれない。テロメアの制限を外された細胞が癌になるのもこれと同じような理屈だろう。

あと、織田裕二ってヘビースモーカーなんだね。



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